12話 紡いで紡がれて
そういえば、高校に入って新しい人に話しかけるのは、浜辺さん以来だったかな。
そんな事を考えながら、僕は会話の内容を考える。
「琥珀さんは好きな食べ物とかある?」
取り敢えずは、無難な質問にしてみた。
「鈴木君は、人と会話するのが初めてなのかな?」
笑いながらそうからかわれる。
「そうだね。カレーライスが好きかな!特に辛口が好き!!
最初に、カレーと聞いたときは見た目通りやっぱり子供っぽいのかな?と思ったが、辛口が好きと聞いて、意外とそうでもないことがわかった。
「鈴木君は、なにが好き?」
会話のキャッチボールが進む
「僕は…そうだな。カップラーメンかな」
変化球で投げ返した。
「なにそれ、体に悪そう。」
「悪いよ。スープまで飲み干したらだけど。」
そんなこんなで、多少の笑いを取りつつ琥珀と会話をした。
途中、ゆりや翔太郎と目があったが「俺はちゃんと仕事してるぞ」というウインクで返す。
…めっちゃキモがられた。
「鈴木君って、本当面白いね。基本に囚われないっていうか、自由って感じがするよ。」
彼女は、伸びをしながらそう答える。
「僕って、結構変わってるねって言われるんだ。」
彼女は少し遠い目をしながら「そうだね。変わってるよ。」と答えた。
「鈴木君は、一人っ子なの?」
今までとは、違う雰囲気で話しかけてくる。
さっきまでの暖かい空気とは別に、風が少し遅く感じたかのように思えた。
「うん。一人っ子だよ。琥珀さんは?一人っ子?」
僕が言葉のブーメランを返すと、彼女は少し悲しそうな顔をしながら、
「妹がいるよ。」とだけ答えた。
僕は、妹の名前は音って言うの?と聞きたい気持ちを堪えた。
「2人は仲がいいの?」
これ以上は、踏み込んで話してはいけない気がした。それでも、足を踏み入れたのは単純に、琥珀歌という人間に興味が湧いたからだ。
「仲がいいって言えばそうかな。お互いのことが手に取るように分かるよ。双子だからね。」
双子だと?つまり、妹の方は別の学校に通っているって事なのか?
「妹さんは、今何をしてるの?」
まるで、事情聴取のような話し方をしてしまった。
「それは…言えない。」
「ごめん…色々と聞きすぎたよ。」
確かに、さっきみたいな聞き方だと、話したい事も話せないな。反省しなければ。
「ううん。大丈夫。全然気にしてないよ。」
彼女は、優しい人だ。僕に気を使わせないように、優しい言葉を投げかけてくれる。
その後は、いろいろな話をした。
僕も探りを入れるような気持ちを捨てて、そのままの自分として会話を続けた。
そして、琥珀歌と友達になってから2週間を過ぎたある日、僕はある衝撃的な事実を突きつけられることになる。




