逆教育は好評でした?
僕が作った水刃に雷種をくっ付ける魔法と魔法の組み合わせ技は、魔物相手なら効果覿面である。
対人になると、少々の工夫が必要になるのだが…それは、また今度の機会にしておこう。
ひとまず、これを仮称「雷水爆刃」としておこう。
「特にこの魔法に名前を付けていなかったんですが…そうですね、「雷水爆刃」とでも付けておきましょう」
「未命名の魔法ですか…!?それはつまり…新しく作ったという?」
「魔法なんて無限に作れるんですから、名前の無い魔法なんてたくさんありますよ?」
「え、いや、そもそも普通は魔法と言う考え方が珍しいので…。魔法名鑑等も存在はしていますが、理論的にあなたより遅れているので薄―い本しかないんですよ。魔術はそこそこ厚いですけど」
(この世界って…だいぶ遅れてる…?)
(君にとっては思いつきでできることも、この世界の環境で生きてきた人からすれば、その思いつきからがすごいんだよ。だから、あれほど自重してと…言った…?よね?)
(言われたような、言われていないような気がしなくもないが。まぁでも文明が進むのは良いことだろ!)
(あぁ、時代が変わるなぁ…)
脳内での神様との会話時間、僅か0.3秒。
にしても、ワイバーンが絶命してしまって、これ以上の講義ができなくなってしまった。
「あ、ゴーレム作って代わりにすればできるか」
「え、ワイバーンは…。あ、死んでるんですね。なんか、それくらいじゃ驚かなくなっている自分が怖いですよ」
若干、目が死にかけている先生だが…大丈夫だろうか?
とりあえず、ゴーレムを作り出す。
「ちょうど良いので、土魔法でゴーレムを作ります。「土人形創造」」
魔法で作り上げたので、ただの土から鉄のゴーレムが出来てしまった。
「魔術で作ると、この環境だと土ゴーレムが限界ですが…」
「コォンコォン…」と鉄ゴーレムをノックする。
「魔法で作るとこの様にワンランク上のゴーレムが出来ちゃうわけです」
「うん、まず魔術でゴーレム作るのも上級に匹敵するのに、それを魔法でですか…そうですかそうですか…あはは」
「いや、多分これなら、先生でもできるレベルの簡単さですよ?」
「ぜひ!後で!参考までに!教えて下さい!」
この日初めてのキラキラ瞳で生気が宿った目になった気がする。
普段が宿っていないわけではないが、この人、そこそこにオタクなんじゃね?
どことなく、その匂いがする。
「教えてもらえるなら、何としてでもこの状況から生きて帰らねば!」
「いや、別にもう帰るだけだから生きて帰るも何も無いと思うんですけど…?」
何故か死亡フラグを立てる先生の扱いに困りながらも、残りの魔法を構築していく。
さっき、火炎放射と風刃嵐の組み合わせがよかったからな、それの魔法バージョンでやってみよう。
アイアンゴーレムだから即分解とはならないだろう。
「さっきと同じように、炎の魔法で「蒼炎」を発動して…」
「あ、青い炎!?見たことないけど綺麗…」
「あ、触ると溶けてなくなりますよ」
「ひっ…」
いや、どんなに綺麗でも魔法に触れようとするのは危険だろ…。
この人どっかずれてんじゃ…。
「まぁ、いっか…その蒼炎を軸にして…風の魔法を発動。「嵐槍」」
蒼炎が中心に灯る、細長い槍の完成だ。
これをゴーレムに向かって投擲する。
完全に貫通とまではいかないが、お腹あたりに刺さって後ろに穂先が少し飛び出ている。
「アイアンゴーレムを貫通…信じられない…」
「いや、正確には貫きはしましたけど通ってはいないですね…もっと細くすればできたのか?いや、単純にスピードの問題なのかな…」
目の前の現実に開いた口が塞がらない人と思考の海に沈んでいく人、何と奇妙な絵面なのか。
崩れていくゴーレムも心なしか、ほっとかれて何とも言えない表情をしているようにも見えた。




