ラスボスも教育材料ですッ!
なんやかんや先生からの質問(尋問?教育?)を受けながら邪魔してくるものを斬り捨てているがこの階に来てから、静かだった。
それに気づいたのはこの階層に入ってから暫くしてから。
つまり、彼らの攻略ペースから見るともう既に最下層への階段の前にいた。
「先生…これって最下層ですよね?」
「間違いない…この魔力の濃さはボスフロアの感覚や…」
今更、状況を理解した先生は顔を青くして震えだす。
そんなに恐ろしい魔物がいるのだろうか?
探知できる限りだと、ちょっと攻撃的なトカゲがいるようにしか思えないんだが…。
「最下層のボスってなんですか?」
「暗黒竜や…過去に2回、討伐依頼が出てギルド総出で攻略に臨んだが返り討ちにされて9割が死んだんや…」
「え、下にいるのそんな大層なものじゃないですよ?誰かちゃんと鑑定して把握しました?」
「い、いや、近づく事すら出来ひんからちゃんとしたのは…って、まさかこの距離で鑑定できたんか!?」
「いや、これくらいの距離からできなきゃ戦闘時に使えないじゃないですか?」
「あぁ…そういやあんたには常識が通用しないんやったな…」
あ、そこそこ攻撃的な性格だから先生に魔法と魔術の違いを教えるのにちょうどいいかもしれないな。
「せっかくなんで、このボスで魔法と魔術の違いを教えてあげますよ。ほら、行きますよ」
「あ、待ていくらあんたが強くてもそれは…あぁもう!ヤケクソや!」
スタスタと歩いていく。
階段を降りるとコロシアムの様なすり鉢状の中心地に黒いトカゲが丸まって寝ている。
「良いですか?まずはお揃いです。まずこの世界には魔法と魔術の2種類があります。違いを簡単に言うと、魔法は魔力の直接運用。魔術は魔力の間接運用になります」
「そこまではなんとか理解できとる。一応な」
「良かった…そしたら初歩的なもので違いを実践しますね」
魔力を使って火球を右手に左手にはロウソクの様に人差し指の先から小さい炎が吹き上がる。
「右手にあるのが魔法。左手のが魔術です」
「ぱっと見の違いは術式を使っているかどうかしか分からんのやけど…」
簡単な説明とゆっくり実践を見せただけでその違いに気がつけるのはさすが先生だな。
「それが分かれば充分ですよ。それすらも分からない人もいますからね。その術式を使うかどうかが一番重要なんですよ」
「どう言うことや?」
「魔法っていうのは魔力をそのまま変換し使うものです。魔術は魔力を術式に通すことで魔力を変換する事になります」
トカゲに向かって両手の魔法と魔術を向ける。
「そして何よりも違うのは、威力です」
トカゲの右翼左翼にそれぞれ当てるが火球が当たった左翼のみ焼き焦げてズタボロにされていた。
火炎放射が当たった方は焦げてはいるがまだ飛べそうな状態だ。
「グォォォォォォォォォ!」
眠りを妨げられた竜が怒り狂う。
思ったよりも短気な竜だな。あれくらい寝てればすぐに治るだろうに。
「見て分かる通り、魔法の方が威力は抜群に高いです。そのせいで使える人が限られているのかも知れないですがね…」
「いいいいいいややああ!?何を冷静に!?竜が向かってキキキテイルヨ!?」
先生はさっきから軽い錯乱状態の様だな。あれは竜っていうほど立派なもんじゃない。
ただのエリートワイバーンだ。
ただこれじゃ、先生に教えることもままならないな…。
一旦、倒して黙らせるか。
そう決めると、ワイバーンに向き合う。
「良い教育材料になってくれよ?」




