普通なんて存在しません
「そんで、二つ目や…」
すっかりキャラが変わってしまった先生からの問いがきた。
「なんなんや、空間収納って?そんな魔法聞いた事ないで」
「色で言ったら無色に属するんですかね…?多分、術式さえ覚えれば皆さんもできるものですよ。」
「いや、絶対に一般人には無理な難易度の術式だからね」
上で神様がなんか言ってる。
とりあえず、空間収納の術式を空中に投影して先生に見せる。
「これくらいの単純な術式ですよ。先生でもできるんじゃないんですか?」
「な、なんやこれ…なんでこんな術式が出来るんや…常人の魔力回路じゃ焼き切れるで…」
あれぇ、これくらいは出来るタイプの流れじゃないんか。
まさか、これからやる事なす事全てフラグになる人生なのか!?
それはそれで疲れるな…。
「わかったわ…君が常識だと持っていることは基本的に非常識になっていると思えや?何でもかんでも自分基準にして判断してたらそのうち死人が出る事態になるわ」
「…ちなみにさっきから気になってるんですけど魔法って言ってますけど、これは魔術ですからね?」
あれ、先生が固まって返事がない…。
まるで死人のようだ…。
「ウチは死人じゃあらへんで!」
「うわ!びっくりした…」
「それより、魔法じゃなくて魔術っていうのは何や」
え、基本的なことだよね!?
思わず上を見上げるが神様はそっぽ向いて知らん顔している。
これは教えた側に責任があると思うんだけど?
「えっと…簡単に言うと魔力をそのまま使うのが魔法です。形を変えたりするのも魔法なのでファイアーボールとかプロテクトウォールとかはこれに分類されます。そして、魔力を術式に通して使うのが魔術です。それこそ空間収納の術式や飛行術式なんかはこっちに分類されますね。もっとも魔法も極めると魔術以上に複雑なことができたりしますけど相当な魔力制御力と魔力が必要になりますね」
かなり噛み砕いた説明をしたつもりなんだけど、きっとこの説明でも理解され難いんだろうな…。
案の定、先生は難しい顔して固まってしまった。
一応、ダンジョンの下層部分に入ってきているから警戒は解かないでほしいんだけどな。
「ようはありのままか手を加えるかの差ですよ」
「いやそれは理解したんだがな?そうなってくると色々と根底が変わってしまうことだからな…無駄な混乱に陥れないためにも秘密にしておくかどうかの悩みだわ」
あぁ、確かにそれはあるな。
ここまで僕以外の人間との魔法・魔術力や戦闘力ってかけ離れていたんだな…。
僕はあくまでもスローライフを送りたいだけだし、純粋にこの世界で魔法を極めたいだけだからそこら辺は気にしたことなかったな。
「僕としてはただ、知りたいことが知れたらそれで良いんであとはのんびりスローライフのプランをやっていくだけですから」
「え、それだけの技術や力を持ちながらしたいことがただの隠居やと!?」
「隠居とは失礼な!僕は出来ることをやり尽くしたらのんびり魔法の研究に費やすだけですからね」
「それを隠居っていうんや!」
まさかの断言をされて衝撃のあまり返事ができなくなってしまった。
これまでフラグ回収だけは率先してきたが、この部分のフラグを否定されるとは…。
大体の英雄とかは大きな仕事したらのんびりスローライフをするのが定番だろう!?
これは、先生の認識を変えるところから始めなければ…。
ちなみにこれは余談なのだが、この二人。
会話しながら下層をすでにボス部屋手前まで攻略していた。
無意識のうちに素材回収などしているが、二人がその事実に気づくのはボスと相対する時までお預けのようだ…。
「ウチの弟子は片手間にダンジョン攻略するような教育はした覚えがないんだけどねぇ…」
そういう神様も片手間に並列世界の魔神を倒している。
この師ありきのこの弟子というところかもしれない。




