常識を覆すのは片手間です
魔法を飛ばした方向に近づきすぎた生徒と先生が引きずられてくる。
あれだけ近づくなと言ったのに…。
皆、顔を青くして引きずられて来る。
引きずっている人も若干体調が悪そうになっている。
「あれは…何が起きてるの?」
「多分、魔力酔いじゃないですかね?あくまで基本属性の掛け合わせしかしてないんで酷くても2、3日寝れば治るくらいのものですよ。」
流石に居た堪れない空気を感じたので回復させに行く。
「ちゃんと忠告はしたんですからね?今度からは気をつけてください」
「…おう…」
「…あぁ…」
「……」
約1名返答がないが大丈夫だろう。
とりあえず、軽い回復魔法で十分だろう。
「全く…『状態異常回復』」
「ありがと…うっ!?」
「リザレクション!?」
「え、これくらいなら普通に使うだろ?」
なんだなんだ、知らないところでまたフラグ回収かましたか!?
既に奥に進み始めている班は気付いていなかったが、入り口付近のやつらまでも驚いてこちらを見ている。
この展開だ…!この展開が異世界ファンタジーの醍醐味だろっ!
「ア、アレンくん…?今のがリザレクションなのかな?」
「そうですよ?きちんと教えてもらったんで間違い無いとは思いますけど?」
「…それ上級魔法に分類されるから新入生が使えるなんてことはないはずなんだけど…」
「俺は使えてるんでそんな常識は捨てましょう」
と、すまし顔でのたまうが内心はヒャッハー状態である。
こういう展開を待ってたんだ!!
ずっと神様との訓練や田舎での暮らしだったから、味わえなかったけど…。
ようやく…ようやく…!!
「すっごい変な顔になってるけど…何か代償がっ!?」
「あ、なんでもないです」
おっと危ない顔に出ていたみたいだな。
この場ではクールでミステリアスな生徒で行くつもりだからな。
設定が崩れるところだったぜ。
「とりあえず…攻略しちゃいません?ここ退屈ですし」
「そんな散歩に行くみたいな言い方されても…」
そんな取り巻きと先生を放っておいて奥に進む。
「アレンくん…そっち出口です」
…クールでミステリアスだけどドジなキャラで行くことにしよう。
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北のダンジョンこと、この樹氷洞窟はここ数年で踏破されたのが3回しかない上級ダンジョンとして認定されていた。
とはいえ、都市からのアクセスが良く上層のダンジョンボスのところまでは初心者でも攻略しやすいため、こうして試験に使われることも多い。
しかし、試験で使うほどなので絶対に安全だとういうわけでもない。
ないはずなのだが…。
「まじでここ上級っすか…?」
「君が異常なんだよ…」
初級冒険者が踏破に3日かかる所を30分で突破。
続く中層も既にダンジョンボスが経験値に変わり果てたところである。
「いや、それならなんで剣の一振りで終わりなんすか」
「だから、君が異常なんだよ!?」
アレンは手ぶらでこのダンジョンに来て、既に中層を突破した。
そう、手ぶらで来たのだ。
「…そもそも、なんで魔力枯渇しないし、剣も持ってるしなんなら私の分の水分まであるのかな!?」
「いや、ほとんど魔力使ってないですし空間収納で荷物は纏めてますし非常事態用に色々常備はしとくもんじゃないですか?」
「オッケー、一つずつ突っ込むからちょっと待て」
おおう?口調がおかしいぞ?
「一つ目、君は身体強化の魔法を微弱だけど掛け続けてるよね。それでも30分以上は持たないはずだよ?」
「え、こんなの気の持ち用レベルじゃ?」
「あ、そうだった常識が通用しないんだった。普通は5分が限界なんだよ。どの魔法も」
「そうなんだ…」
なるほどな、毎日使ってたこれはおかしいのか…。
これくらい、自然回復量より少ないから気にしたことないや。
「ちなみに、魔力って時間が経てば自然回復しますよね?」
「回復するけど、1時間で初級魔法一発にも満たないのが常識」
呆れた白い目で見られた…。
「そんで二つ目や…」
あれ、先生?
気持ち目が据わって口調がいよいよ怖くなってきてません…?




