責任?そんなもの知るかぁ!
「上に投げましょう」
目の前の幼女先生は服装やその纏うオーラからは似つかわしくない、人の悪そうな笑みを浮かべてそう言い放った。
ほう、そんな理想通りの回答が得られるとは思っていなかった。
が、しかし、俺はあえて確証が欲しいためさらに問う。
「上に投げるとは…どう言うことでしょうか?」
「分かっててその質問しているなら、やっぱり、君は意地悪ですね…」
さっきの笑みはどこへやら。
元のおどおどしている状態に。
それでもなお、俺の意図を汲み取っている辺りこの人も相当性格が悪いな。
「学園長もしくは理事長に有事の際は責任を取ってもらいましょう。」
よっし、これで暴れられる。
久々に責任が伴わない暴れていい条件が出てきたんだ。
ダンジョンボスがどんなやつかは知らないが、思う存分楽しませてもらおう!
「うっわぁ…あの子本気で遊ぶ気だよぉ…誰だよ天変地異の力とか授けたやつ…」
テンションが上がっているアレンを見てぼやく神様(創造神)を白い目で見つめる神様達(その他大勢)。
元凶になったのはあなただと言わんばかりの視線を浴びて何も感じずにぼーっと出来るそのメンタルは凄まじい。
「ぱっと見あそこのダンジョンって魔族の管轄なんじゃないの?そこであの子が暴れたら…担当している魔族は悪夢でしょうね…」
そんなことを呟く彼女だが、当の魔族はやる気満々で外に出る準備でそれどころではないなど知る由もない。
そして彼女の周りの神様もそれどころでは無いので、むしろ、やるなら思いっきりやってこの駄女神に灸を据えて欲しいなど思っているくらいだった。
その頃アレンは自分が常識だと思っているところがズレているのを実感していた。
「ところで、俺と先生の二人ってことは俺がアタッカーってことでいいですか?」
「え、君って後衛なんじゃ?」
「確かに後ろから魔法ぶっ放しているだけでいいなら楽ですけど、楽しくないですからね。やっぱ、剣を振って殺り合わないと。」
「ちなみに確認ですけど…魔法は回復や防御のみですよね…?」
「いや、赤・青・緑・紫・黄・黒・白の全色いけますよ」
「は?」
ん?確かに全色は珍しいだろうが、こう言うのって複数扱うのは常識なんじゃ?
もしかしてこれは…!複数持っていること自体がレアなやつか!?
そっちでのフラグ回収するパターンか!?
「複数持ちすらいないのに、いきなり現れたのが全色持ち…?ありえない…」
なんかぶつぶつ言いながら考え込む幼女先生。
おぉ、そうきたかぁ!
これは、楽しい展開になりそうだなぁ!
「い、一応、魔力を…み、見せてもらってもいいですか?」
「え、あぁいいですよ」
俺の持つ魔力を可視化する。
左手にぽんっと魔力ボールが現れた。
しかし、そこに出てくるのは透明なぼんやりした塊。
「む、無色!?」
「わかりづらいですよね、例えば赤魔法使おうとすると…」
赤魔法の初級である、ファイアーボールを右手に出す。
そうすると、左手のボールも赤くなる。
「こんな感じに使う魔法に応じて体内の魔力も変化するんですよ」
「なるほど…そう言うことなら異なる魔法の同時発動なんかは無理ですよね…」
「出来ますよ」
「いつも二人がかりでやっている魔法が一人でできるって言うことですか!?」
「あ、だからいつも魔法士の方の方が前衛より多いんですね」
と話しながら、俺は左手のボールを緑魔法のアースボールに変化させる。
「例えばアースボールとファイアーボールを合成して複合魔法にすると…」
両手のボールを胸の前で合わせる。
「こんな感じでマグマボールになります」
目の前にはマグマをすくって丸めたようなものが出来上がっていた。
これあんまり持ってるとちょっと暑いんだよな…。
「ま、まぐま…」
「暑いんで消していいですか?」
「あ、ど、どうぞ…」
俺は空いた片手にアイスボールに同じく緑のウィンドボールを足したブリザードボールを出して相殺するようにして遠くに投げる。
「片手間で青と緑の複合魔法…」
洞窟の奥から爆発と軽い振動が伝わってくる。
「あ、俺が今投げた方に行くと多分死ぬんで当分いかない方がいいっすよ」
何事だと見に行った、生徒や試験官に忠告する。
こんなもので驚かれたらこの先がやりづらいなぁ…。




