今年の新人は豊作?
偉そうなモブハゲ冒険者についてくと、水晶が五つ並んで置かれた部屋に案内された。
見るからに下級のアイテムだとは思うのだがあれで俺の魔力が測定できるのだろうか?
「まぁ、絶対ろくな事にならないのは目に見えてるよ」
ぼそっと神様が呟いていたが今は聞いて無いことにしよう。
受験票の番号順にどんどん測定していってる。
俺の番号は真ん中くらいなのでそろそろ並んどこう。
並び始めたときに前がどよめいている。
「おいおい、水晶がヒビ入ったぞ!」
「あいつ、化け物かよ!」
「おい、その隣の女子も水晶割ってるぞ!?」
あれ、なんか俺が出る前に規格外(笑)がいるみたいだぞ?
下級アイテムが割れるくらいだから少なくともヒビで中級、割れるなら上級くらいだろうな。
俺?俺はこの世界じゃ測りきれないぜ…フッ。
「おい、お前!笑ってないで早く計測しろ〜!」
おっと、いつの間にか前に並んでいた受験者たちがいなくなっていた。
あいつらの後だからやりづらい的な雰囲気流れてるけど、大丈夫かな。
そっと三つの水晶の前に立つ。
「一人一つの水晶で測るんだが…?」
「多分三つでも測りきれないと思うので同時にやります」
後ろがざわつく。
「まぁ、まだ在庫はあるからやってみな」
「じゃあ、少し離れていてください。多分、弾けるんで出来るなら防御魔法を扱える人は展開しといてください」
よしっ、皆の準備できたな。
久々に三割くらいのも力使うか!
「げっ、三割も出すのか!?おーい、皆!各方面にこれからアホみたいな魔力反応が出ると思うけど大丈夫だって通達しといて!!なる早で!」
なんか神様たちが上でドタバタ?と飛び回り始めた。
たかだか人間の魔力の三割だろう?
なにを慌てているんだか…。
神様の名前が聞いて呆れるぜ。
「すぅ〜…ハァ〜…すぅ…はっ!」
周囲の色が変わるほどの魔力を一瞬に凝縮して水晶に向かって流す。
魔力の輝きのせいで軽い目眩しのようになっていたが、目が慣れてくるのに数瞬間を要した。
パラパラと周囲の壁の方から音がする。
俺の目の前にあるはずの水晶は跡形もなくなっている。
「お、おい…これ、水晶のかけらだぞ…」
最後方の入り口で待機している受験者が展開していた位置に大きめの破片があった。
てか、防御魔法を展開できる時点でアイツ合格じゃね…?
防御魔法ってそこそこ難度の高い魔法だった気がするけど。
「計測員の人〜?とりあえず俺はもういいですか?」
「あ、あぁ…文句なしの合格だ…」
「じゃあ、実技試験まで待機してますね」
あのハゲもなにも言えずに呆然と立ち尽くしている。
教皇さんは早々に実技試験のダンジョンに向かってるとかでいない為、きっと書面で確認することになるだろう。
信じてくれればいいのだが。
その後は特に問題が起きることもないまま計測は終わった。
本来は問題なんて起きることもなく終わるのが普通なのだが。
各学園の上層部、さらには周辺の貴族や王族はこれから起きる大騒動なんて夢にも思っていないだろう。
その予兆はすでに王都ダンジョンの最奥にいる裏ボスの魔族はアレンが軽い気持ちで放った魔力の波動で飛び起きていた。
「な、なんだ!?魔王様がご乱心か!?」
慌てて飛び起きた魔族だがなにも変わらない自分の寝室に気のせいだと思い、再び眠りにつこうとする。
しかし、憎き天界の神どもが慌ただしく動き回ってる気配を感じ取った魔族は気まぐれに動き出した。
「アイツら久々に人が気持ちよく寝ているのになにを騒がしくしているのか…」
よく神族と魔族は争っていると人間界では伝えられているが当の本人たちからすればご近所同士の子供が喧嘩しているようなものだ。
別に本当に心から憎んでいる訳ではなく、たまたま喧嘩してしまっただけなのだ。
まぁ、本人からすればただのちょっとした喧嘩だが、人間からすれば巨大な爆弾をたくさん落とされて都市を破壊されているようなものなのだ。
「なんだ特にドタバタしてるヤツが人間界にいるだと…?」
少し面白そうなことだと感じた魔族は数十年ぶりに地上に出る準備をし始めた。




