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タブレット&トラベラー ~魔力課金で行ったり来たり~  作者: 藤崎
第三部 電子の妖精と世界の秘密
179/225

32.女神の事情

お休みして申し訳ありませんでした。再開します。

 最初の通知は、謝罪からだった。


『次元間移動の問題を協議するため通常業務を除いて停止状態となり、

 ご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした。

 オルトヘイム・英雄界両世界の神々の協議が完了したため、復帰いたします。

 事前に告知ができなかった点に関しましても、重ねてお詫び申し上げます。

 つきましては、お詫びとして500神威石をお送りします。

 それでは、今後ともよろしくお願いいたします。』


 ヒャッハー! 石だ! 詫び石だ!

 回せー!


「500個ですか、ケチですねぇ」

「いいんだよ。詫び石は、詫び石というだけで価値があるんだよ」

「そ、それは哲学的ですね」


 本條さんが若干引いているような気がするけど、気にしない。

 そこまで迷惑かかってないけど、石をもらえる。そういうのに、俺は喜びを感じるんだ。


 現金にしたら15万円相当だし、ほんとにケチってわけでもないし。


「それよりも、次元間移動の問題というんが重要やないの……って、ウチが見ていい内容なんか?」

「全然オッケーでしょ」


 むしろ、見ちゃいけない理由が分からない。


「お姉ちゃんからの補足だけど、精霊の世界との話じゃないわよ~」

「ああ、そっちの故郷も別の次元? 世界? まあ、異世界ってことなのか」

「そうなると、英雄界との話になるわね」

「俺たちが知る限り……ではあるけれど」


 やっぱり、アイナリアルさんやヴェインクラルが、向こうに行っちゃったのがマズかったのか。


 ……冷静に考えると、そりゃ普通にマズいよな。感覚が麻痺してた……というか、本條さんの予知のお陰でそういうもんだと認識してた。


 でも、本條さんに分かるものが神さまには分からないものか?


 とはいえ、実際に事が起こってからでないと動けなかったりするものだからな。


 そう。炎上プロジェクトとかね。


「てっきり、見逃してもらっている物だとばかり思っていました」

「水面下で、英雄界の神と五大神のどなたかが協議をされていたわけね」

「それ、俺が来てる時点で今さらなんじゃ……」

「もちろん、勇者(アインヘリアル)は例外よ」

「そうね~。特別だものー」

勇者(アインヘリアル)が来るのは、当たり前やろ?」


 異世界生まれの方々からすると、常識らしい。


 要するに、俺たちは《ホームアプリ》という正規ルートで行き来してたから問題にはならかった。

 けど、アイナリアルさんのあれは密入国みたいなもんだったと。


「それにしても……地球の神様……ですか」

「だよね。そこ引っかかるよね」


 俺も多くの神ならぬ悪魔とコンゴトモヨロシクしてきたし、チェーンソーでバラバラにしたこともある。けど、それはあくまでもゲームのお話。


「地球に神様、いるのかよ」

「いないはずがないでしょう?」


 カイラさん的には、そうなんだろうけどさぁ。


「前にも説明した気がするけど、地球はそういう神秘系なのはないことになってるんで」

「吸血鬼はいたではないの」

「それとこれとは話が別……まあ、いいか。神様なんて関わってくることはないだろうし」

「秋也さん、その言い方だと……」

「フラグ? いや、出てきてから考えよう」


 神なんて、最初に罪を考え出したつまらない男だろうしな。


 今はそれよりも、実績解除の話だ。


「で、結局いくつ来てるんだ?」

「全部で四つですね」


 ふたつで充分……ではないな。くれるもんなら、いくらでも欲しい。


「滞っていた分が、まとめてということでしょうか?」

「そうなるんだろうけど……」


 いつからになるんだ?


「アイナリアルさんの件が問題ってなってるけど、その前から実績解除の通知はなかったよな。超巨大半魚人(ダゴン)を倒した後ぐらいからか?」

「そうね。スタンピードを解決しても、特になにもなかったわ」

「スタンピード……ですか。あまり苦労した記憶はありませんが……」


 勇者の指輪(アインヘリアルリング)の位置把握機能を使用した長距離狙撃と、空中からの砲撃だけだったもんな。


 そのあとは、別荘で過ごしたり寿司を再現したり……。

 景織子さんとのあれやこれやで、実績解除されるわけないし。


「あれ? あんまり、大した活動してない?」

「アイナリアルさんの件が問題になったのだとしたら、その後は確かに……」

「ヴェインクラルを倒して実績解除とか言われても、素直に受け取れなかっただろうしな」


 あと、本條さんのご家族とご挨拶して実績解除とか言われたらマジでキレる自信がある。俺をキレさせたら、大したものだけど。


「あ、でもそれが再開後初の実績解除ですよ?」

「マジで?」


『人生の一里塚の実績解除、おめでとうございます。

 障害を乗り越え愛を貫き通したことで、実績が解除されました。

 つきましては、実績解除特典アイテムをお贈りさせていただきました。

 内容は、ホールディングバッグからご確認ください。

[ホールディングバッグアプリの起動はこちらから]

 それでは、今後ともよろしくお願いいたします。


・追記

 二回目以降は、人生の二里塚・三里塚となります。

 特典アイテムは、同じ物となります。』


 ほう……。

 ほう……。


「ほう、ほう……」

「これって、むしろアヤノはんの功績が認められたのと違う?」

「そんなことはないですよ。秋也さんの頑張りのお陰です」

「もう、頑張らないけどね」

「そう……」

「ほら、オーナー。変に意地を張るから、カイラさんが拗ねちゃったじゃないですか」

「いや、まあ、それはね? ちゃんとするときには、ちゃんとするからね?」


 はい! 次行こう、次!


「アイテムの確認は後回しにして、通知だけざっと確認しよう」

「まあ、ここで長々とする話ではないですね」

「そうだよ。せっかく、ファンタジーな場所なんだから」


 というわけで、ささっとチェックしていくことにする。


『異文化交流の始まりの実績解除、おめでとうございます。

 異世界の文物を輸出したことで、実績が解除されました。

 つきましては、実績解除特典アイテムをお贈りさせていただきました。

 内容は、ホールディングバッグからご確認ください。

[ホールディングバッグアプリの起動はこちらから]

 それでは、今後ともよろしくお願いいたします。』


 これは、本を作って渡した件か。


「明らかに本條さんの功績だなぁ」

「そ、そんな。実際に書いたのはリディアさんですし」

「城を建てたのは王様であって、大工ちゃうってことやな」


 リディアさんは功績を誇るようなことはなく。

 むしろ、これ幸いと本條さんに押しつけている。


 そりゃ、神様に目を付けられるの嫌だろうしな……。


「特典がなんだか確認してないけど、優先度は本條さんとリディアさんにあるということで」

「ええ、当然ね」


 カイラさんも賛成してくれたところで、次だ。


『死がふたりを分かつまでの実績解除、おめでとうございます。

 世界を股に掛けた愛の架け橋となったことで、実績が解除されました。

 つきましては、実績解除特典アイテムをお贈りさせていただきました。

 内容は、ホールディングバッグからご確認ください。

[ホールディングバッグアプリの起動はこちらから]

 それでは、今後ともよろしくお願いいたします。』


 あ、結局、それはありになったんだ。

 こっちの神様が、頑張って認めさせたってことなんだろうか? それは偉いな。


 まあ、今回のダンジョンのお陰で、一部、好感度の下がった神様もいるけど。

 具体的には、水と地の女神様。


「これは、私たちがもらって良い物ではないと思うのですが……」

「いいんじゃない~? その書き方からすると、いろいろ頑張ったんでしょ~」

「わりと、持ちつ持たれつなところがあるからなぁ」


 これも、中身次第だな。


「そして、最後はこれです」


『精霊の解放者の実績解除、おめでとうございます。

 精霊力の歪みを正したことで、実績が解除されました。

 つきましては、実績解除特典アイテムをお贈りさせていただきました。

 内容は、ホールディングバッグからご確認ください。

[ホールディングバッグアプリの起動はこちらから]

 それでは、今後ともよろしくお願いいたします。』


「なるほど。これは、たった今のか」

「なんだか、この功績を報いないわけにはいかないので解禁したようですね」

「あり得るな、それ」

「神の意向を詮索するのは、あまりほめられた行為ではないわよ」

「神を試みてはならない……か」


 なぜ、聖書の一節を知っているのか。

 理由はない。オタクは、だいたい知ってるってだけだ。


「とりあえず、アイテムを確認しようか」

「はい。《ホールディングバッグ》の画面を呼び出しますね」


 『New!』のアイコンがついているのが四つ。

 その中で一番目立つのは、祝儀袋のアイコンだった。


 無駄に芸が細かい。


「これからにするか」


 ご祝儀袋のアイコンをダブルタップすると、中身が開くアニメーションが始まり……。


「あー……。石が50,021個増えました」

「ごまんにじゅういっこ?」


 なんだ、その半端な数って、むっちゃ多いな。


「恐らく、素数なのではないかと」

「素数……そうか、ご祝儀の割り切れない額か」


 結婚式のご祝儀で縁起がいいとされる割り切れない額。

 素数なら、1とその数自身以外で約数がないから、安心だね。


「素数はともかく、この石の量はオーナーにお嫁さんを増やせと言っているようなものでは?」

「結婚する度に石がもらえるとか……男女逆転世界かな?」

「男女逆転?」

「いや、忘れて欲しい」


 びっくりしすぎて、あらぬことを口に出してしまった。

 落ち着こう。素数を数えて落ち着こう……って、ご祝儀が素数じゃねえか!


「これ、あれやろ。ピンチになったらいきなりお嫁はん増やして、石ってのをもらってパワーアップできるんちゃう?」

「やらねえよ」


 カイラさんと本條さんの視線が厳しくなってるじゃん!

 あと、風の精霊は目を輝かすんじゃあない。どう考えても、そういうんじゃないだろ。


「まあ、もらったもんはありがたく使わせてもらうけどな」


 下手な記念品じゃなくて、現金をもらったほうがうれしいというところまで再現してるのがしゃくだけどね!

お休みしている間に、総合評価9,000ポイント突破していました。ありがとうございます。

次回も、報酬のお話です。引き続きよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] うん、この実績にはなんともいえない……世界間」交流と精霊関係はいいとして人生ってw そこ運営的に大事なの?
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