表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふるさと転生  作者: 勒野宇流
第1章 ふるさと
3/3

第3部

 

 でもとりあえず、ぼくはしばらくの間、のんびりすることにした。

 

 ぼくは、のんびりすることを、ここ何年か忘れていた。銀行マンはのんびりすることなんてできっこない。そういう感覚が身についてしまっていたし、働き盛りの年齢だったので、のんびりしようという気も起きなかった。世間では、銀行マンはつまらない仕事の代表みたいに言われるけど、ぼくは性に合っていたようで、働きごたえのある職業だった。

 

 そして毎日忙しく働いていたある日、ぼくは眩暈を起こして座り込んだ。それと同時にお腹が痛くなり、這ってトイレに入った。

 

 びっくりしたけど、トイレから出てしばらく経つとウソのようになんでもなかった。ちょっとした疲れなんだろうと思い、ぼくはたいして気にしないですぐに仕事に戻った。

 

 それから一ヶ月後、また同じ症状になった。そのときも気にしなかったけど、3日と空けずに眩暈を起こしたとき、さすがにこれはおかしいと思って病院に行った。

 

 検査後に言われたのは、すでに末期で手の施しようがないということだった。ぼくは一言、

 

「あぁそうですか」

 

 と言ったきり黙りこくった。他に言うことがなかったからだ。

 

 それが、一年前の今日のことだった。

 

  



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=354163349&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ