短編 奇妙な機械の無くしたネジ
「博士!」
書類や部品などでほぼスペースが埋まった部屋に若い男の声が響く。
「博士!大変です!今作成している機械の部品の一部が見つかりません!」
「なんだと?」
博士は街の片隅にある不気味で人一人寄り付かないような研究所である機械を開発していた。その機械はボタンを押すと顔の部分がモニターになり、そのモニターには押した人が全く知らない人が映るという機械だった。だが博士はこの機械を作るのに莫大な費用と時間を使った。だから今ここで作成を中止する事は出来ないのだ。
「一体どこの部品だ?」
「それがロボットの中にある、メインコンピューターのネジが一本見当たらないんです!」
「なに!?」
博士の表情は先ほどの冷静な表情から焦った表情へと変わった。
「一体いつ無くしたんだ!」
「それが、、、わかりません。」
「ふざけるな!!」
博士は信じられないほどのスピードで椅子から立ち上がり、急いで奇妙な機械の方へと向かった。
「そんな、、、。」
博士は奇妙な機械の前で崩れた。
「無い、、無い、、何処にも、、無い、、。」
そこへ我に戻った助手が博士の元へと駆けてきた。
「博士!大丈夫ですか!」
「無い、、無いんだ、、、あれが無いと、、、。」
博士はうつむいた様子でずっとそんな事をつぶやき続けた。
「は、博士、、そのネジにはどんな役割が、、。」
「無い、、無いんだ、、何処にも、、。」
助手の質問も博士には聞こえてないようだった。すると突然、機械が音を立て、顔にモニターが現れた。
「!?」
助手は驚いた様子でモニターを見た。
「なんだ、、これは、、。」
モニターには地球のような惑星が映っていた。そしてその惑星にヒビが入り、惑星は割れた。
「、、、」
助手はポカーンとそれを見ていた。
「い、今のは、、?」
「ああ、、終わりだ、、。ついに、、終わりだ、、。最悪だ、、。」
アハッアハハッアハハハハハハハハハハハハ
博士は狂った様に笑い出した。その笑い声を聞き、我に帰った助手はすぐに研究所を飛び出した。ただひたすら走った。だが、不思議な事に助手の体は宙に放り出された。
「え」
助手はそのまま理由のわからないまま、彼の体は宇宙のチリとかした。