だいしょうかんまほう
樽酒UMEEEEEEEEEEE
ということでフライング気味に投稿してみました。
樽酒はおいしいですね。こう木の香りがふわっと香って最高です。
こんないい酒はお祭りでしか味わえないですね。
今日が祭りの初日なので明日明後日と楽しみです。うまい酒えへへへへへへ
あと、おやっさんの口調を俺→ワシに変えました。ゾネとゲオルグについても変えるかもしれません。
あ、そうそうシリアスシーンが続きます。というかずっとシリアスですよね(・ω・)
(対象認識。[36,-58,596][98,-62,1026][-72,-60,765][-88,-60,982][-12,-59,1265]……)
徹は、距離認識ができない。この場合の距離認識とは、物を見て長さがだいたい何mだとか何㎝と図れる能力のことだ。
一般の人間なら、絶対距離認識能力とまでいかずとも見れば大体の距離は感覚的にわかるだろう。
それがわからないのだ。それは『持たざる者』の効果の一つである。
このために、徹は目線の位置から三平方の定理などを駆使し、対象までの距離を算出し、座標軸上で対象位置を確認している。
だが、これが逆にありえないほどの精密射撃を可能にしている。
「☤」
ゲオルグとおやっさんが前方の敵を薙ぎ払い、吹き飛ばしているその後方に、魔術によってつくられた青白い炎の塊が高速で飛行していく。
炎は片耳豚に当たり、体の一部を蒸発させていく。
片耳豚は文字どおり豚だ。しかし、松明の光でも影はできず、耳や鼻など体の一部が欠損している。
こいつらは、先ほどのゲオルグの叫びによって寄ってきた大量のモンスターだ。
徹の放った魔術は半数が敵に命中し命を奪うが、半分は外れ地面や壁をえぐるだけだった。
「ほう」
ゲオルグが感嘆の声を上げる。魔術が命中した個体が即死しただけではなく、生きている個体もあまりの威力に及び腰しになったのだ。
「へたくそ」
「へたくそはやめて!心に傷を負うから!」
(やっばいな、時間軸設定をさぼったら、半分しか足んないでやんの。さぼっちゃだめだね)
そうこうしているうちに、一行は敵の大群を突破した。
振り向くとそこにはおびただしいほどのモンスターの死骸。遠くの死骸はすでに迷宮に吸収されかかっている。
吸収されるまでに魔石や金目の素材をはぎ取らなければすべて迷宮に回収されておいしく再利用されてしまうのだが、この状況では魔石の回収すらままならない。
「カーマ、魔石の回収はあきらめろ。このままさっさと次の階層へ逃げるぞ!」
そんな、物欲しげな徹の視線に気づいたのだろう。ゲオルグが注意する。
声に反応し徹が振り向くが、徹の目に映ったのは二人の後ろでやる気に燃える一匹の豚だった。
おやっさんやゲオルグは徹の方を向いていて気づかない。
リンは徹に遅れて気づいたようだが、いまさら声を上げても間に合わないだろう、豚は一直線に突進を始めている。
(やばい。[12,-66,650, gμν(x)⊿xμ⊿xν ]。認証、確定)
「☤」
青白い炎の塊は的確に、豚をこんがり丸焼きにするではなく、跡形もなく蒸発させた。
(やっぱり時間軸設定をすれば外れることはないな)
徹の言う時間軸設定とは、一般に人がやっている偏差打ちに過ぎない。
しかし、感覚で偏差打ちができない徹は、小難しい計算式を持ち出して計測するしかなかっただけの話である。
「ふぅ。油断するなと言おうとしたら、油断していたのはワシらの方じゃったな。礼を言う。ありがとう」
おやっさんが嘆息しながらも、全員に合図して次の階層に向けて走り出す。
「なに言うのさ、背中を守りあうってのがパーティだろう。礼には及ばないさ。いやーいいこと言うなー俺」
「なんで、それを自分で言うのよ、カーマは…台無しじゃない」
「違うぞ、リン。あれはカーマの照れ隠しだ。照れてんだ、そっとしておいてやれ」
「おい、ハゲやめろ。恥ずかしいだろうが!」
「ははーん。何のことだか、わかんねーな」
おやっさんたち一行が6Fに着くころには、モンスターの追ってもなくなり一息つけるようになっていた。
「ここまでくれば安全ね。でも、ちょっとあの魔石はもったなかったかな…」
「リンは欲の皮が突っ張ってんな。そんなだから物欲センサーにひっかかってレアアイテム手に入らないんだぞ?」
「はあ?物欲センサーってなによ?それに、今のレベルでレアアイテムなんて、怖くて遭遇したくないわよ!」
「ん?レアアイテムがこわい?どゆことなの?」
「そういえば、カーマにはその説明してなかったな。ゲオルグはしたかい?」
ゲオルグさんはしてないと首を振る。この中で分かっていないのは徹だけだった。
「いい?レアアイテムっていうのは基本的にモンスターが持っているものなの!」
「それくらいは、わかるし!あほのこって自覚はあるけどわかるし!」
「はい、じゃあここで問題。あなたはとっても強い、レアな武器を持っています。どうしますか?」
「眺める!」
「ほかには?
「売り飛ばす!」
「ほ…ほかには?」
「きれいなお姉さんに貢ぐ!」
小柄なリンがこらえきれないといった感じで徹の胸倉をつかんで引き寄せた。
その結果、徹はリンの顔を覗き込む感じで前かがみになった。
「あんたわざとやっているでしょ?死にたいの?」
「あらー、リンさん。そんなに怒らなくってもー。しわが増えますわよん」
「あ゛あ゛ん!?」
狂相に顔をゆがめたリンが徹を前後に振るう。簡単な挑発に怒り、我を忘れたリンはすでにレアアイテムについて説明する気はない。
(ふぅ。緊急回避成功だぜ!)
「あー。リンに任せていると話が進まんのお。レアアイテムは基本的にモンスターが使っているのじゃ。その敵を、レアアイテムを壊さずに倒してはぎとればレアアイテムゲットじゃな」
使用不能になったリンの代わりにおやっさんが説明を続けてくれる。
(らめえええええええ、おやっさんそれ以上はやめるんだ!)
胸ぐらをつかまれて、首を前後に振られている徹は満足にしゃべることもできなかった。
「まあ、もともとその階層に出てくるモンスターがレアアイテムを持っている場合は、レアアイテムを使いこなせてないことが多いからいいんじゃけどな。モンスターの中には、レアアイテムを専用に使う奴がいてなあ。これがめっぽう強いんじゃ…」
何かが近づいてくる気配に、おやっさんは説明を中断した。
「もう、モンスターがきたか。これではおちおちお喋りしてられんのお」
(ちがーう!おやっさん、そいつは…)
おやっさんとゲオルグさんは武器を引き抜いて構える。
リンも徹の胸倉をはなし、戦闘態勢に入った。
その中徹だけが最大級の警戒をもって戦闘態勢に入った。小声でこれまで使っていなかった身体強化を自分の体にかける。
ステータスが上がったためか、前線で戦っていなかったためかわからないが、ここまでは身体強化なしで特に問題なかったのだ。
「おい・・・こいつは・・・」
ゲオルグさんがうめき声を上げる。
迷宮の暗がりからのっそりと姿を現したそれは、まるでパワードアーマーの様であった。
その片手には、2m近くあるであろうバスタードソードが握られている。
ここまでずっと、敵が日本の妖怪っぽかったのに、いきなり近代ゲームの敵の様相であった。
ただ一つ、頭部に般若の面を付けているところ以外は…
(あー、はいはい。もう、お約束じゃねーか!レアアイテムが出てきたから良しとするか、強敵が出てきてやばいとするべきか…それにしてもくそう、レアアイテム剥ぎ取りが部位破壊じゃなくて破壊するなとか、難易度高くね!?)
「まさかチェイサー…?なぜこんな浅い層に…」
「んなもん。リンがあれだけラブコール送ったらそりゃ出てくるだろ!」
「そんなことしてないわよ!」
「そうだな、リンのラブコールは俺が途中で止めてやった!ありがたく思えよ!だけど、全部ぶち壊したのはおやっさんだあああ!」
「ワシかあ?」
いきなり振られて動揺するおやっさんだが、戦闘態勢はきっちり解かないのはさすがだといえる。
「こんなとこで、あれの説明しやがって!出てくるに決まっているだろ!」
「なにを言っておるんじゃ?まあ、迷宮の中でするような会話ではなかったのかもしれんのお」
「別に気にすることじゃないわよ。ここにいるってことは、話しても話さなくても出てくるわけだし…」
フラグというものに予備知識のないおやっさんたちには徹が何を言ってるのか理解できない。
(リンめ…だけど、もしかしたらこれは本当に呼んだ可能性も…いや、考えすぎか…)
しかし、そんな和気あいあいとしているのもつかの間、『チェイサー』が動き出した。
その動きには予備動作がなく、完全に虚を突かれていた。
チェイサーがゲオルグさんを狙ってバスタードソードをふるう。それはモンスターがやみくもに棒切れをふるうのではなく、何か武を修めている動きだった。
ジャリジャリジャリジャリ
確実に鉄と鉄がぶつかり合う者とは違う音が響く。
見れば、ぎりぎりで間に合ったゲオルグの盾が、バスタードソードによって切り裂かれていた。
「ふぅ。あぶねえ」
ゲオルグは直前で盾を話したらしくぴんぴんしていた。何とも頼もしいおっさんである。
ただその足元には真っ二つに切り裂かれた鉄製の盾がある。
「なによ…あの攻撃…」
「攻撃というよりは問題はあの武器じゃの」
リンの呻きに、おやっさんが反応して訂正した。おやっさんだけでなくゲオルグもあの武器について何か知っている雰囲気を醸し出している。
「武器について何か知っているなら説明ぷりいいいいいいず!」
「どんだけレアアイテムが好きなのよ。今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょうに」
「あほか!敵の情報もなしに突っ込んでくのはばかのすることだ!ゲオルグ前衛を替われ、その間に説明とその手の治療でもしておけ」
徹はそう言い放つと、ゲオルグさんの首根っこをつかむと後ろに放った。
ゲオルグの腕は、先ほどの攻撃をよけきれず血がしたたり落ちている。
しかし、チェイサーもただ見物しているだけではなく、その隙を逃さないために突進してきた。
「☤」
徹は、あわてず騒がす、とりあえず魔術を放つ。
チェイサーもそんな常識外の魔術を見てもあわてず騒がず、回避行動をとった。
徹の扱う魔術はそんなもので避けられるほど生易しくはない。チェイサーはまるで、魔術の炎に吸い寄せられるかのように激突した。
炎は、チェイサーを包み込むかのように燃え盛る。
「だめだ。チャイサーに火は効かない」
その言葉に反応したかのように、チェイサーを覆う炎が晴れた。そこには、焦げ目ひとつないチェイサーがいる。
「あのラメってるのは耐火装甲的な何かか!てか、何!?ここにきて、いきなりロボっチックなのは!」
「ああ、チェイサーには基本的に魔法は効かないな。あと剣も通さないし、打撃なら多少の効果は望めるが、その限りではないな」
「何その無敵設定!やる気なくなるんですけど!」
ゲオルグさんは現在、リンから腕の治療を受けている。
(くそう!ゲオルグめ!若い子に触ってもらえているからってニヤニヤしやがって!ここはキャバクラじゃないんだぞ!おっパブでもないんだぞ!うらやましいんだかんね!奥さんに言いつけてやるんだかんね!)
そんな、徹の放つ不穏な気配にも気付かず、ゲオルグさんは説明を続けてくれた。
「そいつ持っている武器は、アルメドシリーズと呼ばれている。アルメドシリーズは刃物の武器でな。何でも切り裂くことができる。鋼だろうが大地だろうがな。昔調べてみたんだが、振動していることは分かったがどういう構造でそうなっているのかさっぱり。とりあえず、やたらと切れ味のいい刃物ってとこだ」
(それって、超音波振動ブレード?なんでいきなりSFチック?)
ゲオルグさんが説明している間に、チェイサーはおとなしく待っていてくれたわけじゃない。
おやっさんが牽制にと槍をふるっていた。引退したとはいえ、元クランマスター。その槍捌きは、電光石火の早業だった。
アルメドシリーズとただの槍が触れ合えば、槍など簡単に断ち切られてしまう。
その明らかな劣勢にもかかわらず、ゆらりゆらりとチェイサーの攻撃をかわして槍をふるう。
まるで、弁慶の豪槍をよける牛若丸のようだった。
だが、弁慶は豪槍だけだが、チェイサーは違う。異様に固い装甲を持っているのだ。
おやっさんのふるう槍が装甲に当たりはじかれる。それは、瞬き程度の隙だったにもかかわらず、チェイサーはおやっさんの槍の穂先を切り落としていた。
おやっさんも、穂先を切り落とされたことを認め、無理はせずに距離をとる。
無傷で下がったのはいいが、その攻撃力は一気に低下し、おやっさんは戦力外になっていた。
投稿していない1週間で、お気に入りにが90超えてまして、感想や評価してくださっていて、本当にありがたいです。
一応投稿してませんでしたが、毎日チェックしてぐへへへへっていってました。
また投稿頑張ろうと思いますが、前と同じようなペースで投稿できるかどうか謎ですががんばります




