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初めてなの…優しくしてね

なんか、会話が多い気がします。少なくしたほうがいいんでしょうかねえ?

話が進まないっていうか、どうでもいい会話が多いのかなあ?

それと、呪文を考えるのきつい…だれかたすけてえ

「よし!いくかの」


迷宮へおやっさんを先頭に中に入る。

今回の急増パーティのメンバーはおやっさん、徹、リン、ゲオルグさんの4人である。

なぜここにゲオルグさんがいるのかといわれれば、所用でギルドによった際に話を聞きつけたギルド長(ひまじん)に見つかったからだ。

ゲオルグは面白そうとついてきた。

ギルド長はもっと忙しいものじゃないかと徹がきくと、ゲオルグさんは胸を張って、俺の仕事は部下に仕事を押し付けることだと返答が返ってきた。


一行は前もって決まっていた通り、1Fは通り抜けさっさと2Fまで下りた。

迷宮には、発光性のあるきのこやこけが生えており、ほんのりと明るい。

それでも、遠くまで見渡せないので、先頭を歩くおやっさんが松明を持っている。


「まずはここで、肩慣らしじゃ。ゲオルグとワシで前衛をする。リンは遊撃じゃ。カーマは後衛で、魔術で敵を倒せ。何か質問は?」

「はい!遊撃ってなにをすればいいんですか?」

「そうじゃな…遊撃の一番の目的はPTの火力の増加にある。これは、パーティがより戦闘しやすい状況を作るということじゃ。そのためには、敵の後方撹乱、敵の遊撃との戦闘、前衛が厳しいならそれのフォロー、後衛の火力が乏しいのならば後衛に回って同じように魔術を使うなどなどじゃな。そのためにはパーティの状況、敵の状況をよく見ること。後ろにいるだけでも駄目、むやみやたらと突っ込むのも駄目、実にやりがいのあるポジションじゃ」


『はい』とはいったが、リンの声には自信がなかった。遊撃というものの仕事量の多さに少し怖気づいたのだろう。


「そう難しく考えるな。マルコさんに俺がいる。それにカーマだってそれなりに腕は立つ。練習だと思って思うようにやるといい。ダメなところがあれば、マルコさんが教えてくれるさ」


リンの様子を見たゲオルグさんがフォローを入れてくれる。

ゲオルグは、フルスケールアーマーを着こみ、鈍器に盾をもっている。見た目はガッチガチの『盾』役だ。

それと対照的におやっさんは鉄槍を片手に、チェインメイルを着こんで軽装であった。

リンは、鉄の剣、皮の鎧を着ている。徹もいつものコートに剣を一振り差している格好だ。

おやっさんの言う陣形で、2Fを進んでいくと土蜘蛛が4匹と小玉鼠2匹の敵が出てきた。


「ちょうどいいのう。さっきの通りにな」


おやっさんはそう指示すると獲物を構え、その隣にゲオルグさんが並んだ。


(ファイアストーム)


徹が、そう唱えると紅蓮の炎が噴き出し、土蜘蛛たちを焼き尽くす。

炎が静まった時には、きれいに丸焼けになった土蜘蛛と小玉鼠が転がっていた。


「は?なにそれ?なんで、詠唱なしに中級魔法が使えるのよ!」

「詠唱はしていたよ?ただ高速言語のおかげで詠唱は短いけど」

「はあ?高速言語なんて、おとぎ話でしょ。そんなのでごまかされないんだから!」

「そんなこと言われても、現にやったじゃん」


ポコン


リンと徹が言い合いしていたら、徹の頭に槍の石突き部分が降ってきた。


「カーマ…もうちょっと人の話をよく聞きなさい」


そこには、渋い顔をしたおやっさんがいる。珍しいその顔に徹とリンはぎょっとする。


「カーマが強いのは分かっておる。たった3時間で、金貨5枚稼いだのはすごいと思う。じゃがな、今回はパーティプレイの連携を確認しているところじゃ。一瞬で終わらされたらパーティプレイも何もない。だからな、もう少し気を使って動いてくれないか?いい年だろう。具体的に言えば、その高速言語とやらを使うのをやめてくれないかの」

「ご…ごめんなさい」


いきなり説教を受けた徹は素直に謝るしかなかった。それはキモが冷える思いだった。

隣でリンが声には出さずバーカといっているが気にならないほどに。

ただ今の言葉の中で一番徹の心をえぐったのが、『いい年だろう』の一言であった。





「次の団体さんのご到着じゃ。カーマ今度こそ頼むぞ」

「うあ~い。がんばります」

今度は、土蜘蛛が5匹の群れだった。

さっきと同じようにゲオルグさんとおやっさんが前衛につく。


「無垢なる源よ」


土蜘蛛が我先にと二人に襲いかかってくる。


「流転が世の常なりて」


その土蜘蛛をゲオルグさんが盾ではじき返す。

それは荒々しい力技であった。


萌え出は赤子(もえいずるはせきし)


おやっさんが、土蜘蛛を石突きではじき返す。はじき返された土蜘蛛は裏返しになり、自由にならない手足をうごめかせている。

その技は妙技の域にまで達していた。


「赤子既に無垢ならざる也」


徹の操る魔力が純粋な火属性を帯びる。


「赤子を以てそに願う」


リンが、土蜘蛛が吐く糸をうちおとし、横に回ろうとする者へ牽制をかける。


「そは五味の一たる真なる火」


3人のそれぞれの行動が、土蜘蛛を一か所に固めていく。


「真火よ矍鑠たるその力を」


徹は、自分の位置を座標軸の原点とし、敵対象の位置をポインティングし、距離をナノ単位で割り出し、効果範囲の算出、時間軸に沿っての変化を読む。


「この地に顕現せよ ファイアストーム」


先ほどと全く変わらない(・・・・・・・)炎が土蜘蛛の群れを焼き尽くした。





「なんだろう。いろいろ聞きたいことはあるんだけど。なんか長くない?詠唱」

「し…仕方ないじゃん…魔術の才能がないんだからそれなりの手順を踏まないと魔術なんて発動しないんだよ!本来魔術が使えない人間が魔術を使おうとしたら大変なんだよ!」

「ん?ん?なにいっているの?現にちゃんと魔術使っているじゃない。それも、中級クラスを連続でうってもマナ切れにならないし。それに、伝説級の高速言語まで使っているじゃない。もう並の魔術師ってレベルじゃないわよ」

「そうか、カーマは才能がないことを有り余る技術で補っているのか。意外と苦労しているな」

「いやー、苦労しているのはこの技術を作った神崎ってひとかな。俺はただ単に神崎さんの残した技術を魔道書経由で学んだだけだからね」

「なるほど、なるほど。それでカーマはそんなにアンバランスなのじゃな」

「そ、そんなにアンバランス?」


おやっさんの言葉に徹は不安になる。


「ああ、ひどい。一般的に心技体というものあがって、どれもばらばらじゃ。そうじゃな、ゾネたちでは手が回らないじゃろうから、ワシが鍛えてやろう」

「えっ!?毎回こんなふうに?」

「いや、ワシがいくつか課題を出そう。それをクリアしてこい」


嫌な予感しかしない徹であったが、おやっさんの口調は有無言わさず従わせる強さがあった。





そのあと、ホモ、ハゲ、ユトリ、メスブタの4人組は快調にダンジョンを攻略していった。

快調とはいっても完全におやっさんのターンだった。

基本的にはおやっさんとゲオルグさんで敵の群れを止めてくれるのだが、パーティプレイの練習といっておやっさんは敵を素通りさせたりする。


「ほれ、鳧徯(ふけい)を通すぞい。詠唱中断はするなよ。カーマは手を出しちゃいかんぞ。よけろ」


とか


野干(やかん)を2匹通したから、リンが処理しろ、カーマはよけるだけで手を出すな」


とか、全く容赦がない。5Fに着くころには、リンも徹もへばっていた。

ちなみに鳧徯(ふけい)は3Fに登場するモンスターで雄鶏の首の上が落ち武者というスプラッタだ。

野干(やかん)はジャッカルのような生き物で、夜目が効き集団で襲ってくる。主に4Fに出現する。


「おいおい、二人ともワシより先にへたばるなんて、鍛え方が足りないんじゃないかのお?」

「いやいやいや、おかしい!おやっさんより俺たちの方が働いたから!」


5Fでなんとか休憩できるところを見つけた一行は、2人交代で見張りを立てて休憩することにした。

なんとか反論する徹に対して、リンは顔を真っ赤にして荒い息をしていた。

無理もない。時には敵に突っ込まされたり、徹を守らされたり、ここまで一番運動量が多かったのがリンだ。


「そ…それにしても、ここまで全く罠とかなかったね」

「そりゃそうだ。罠は10Fぐらいにならないとないからな」

「えっ?」

「どうかしたか?」

「いや、なんでもない」


徹は違和感を覚えた。いや、これが初めてではなく、入り口からずっと感じていた。

特に入場制限のかかっていない入口。

確かに迷宮内部は道幅約2m天井までの高さで3mほど。部隊単位で入るには狭すぎるものではあるが…。

その道が延々と続いている。丁寧に出来上がった迷宮の道が…。


「ゲオルグさんもすごく強いのですね。予想外でした」


そこには呼吸を整えたリンの姿があった。


「そりゃ、ゲオルグじゃて15年前は訪問者(ヴィジター)じゃったからな」

「娘が生まれたのを機にやめてギルドにはいったからな。それまでは一流の訪問者(ヴィジター)だったんだぞ」

「むすめ…だと?かわいそうに…」


三人の視線はゲオルグさんの頭頂部に集まっていた。


「おい、その反応はおかしいだろ!その視線は!これはスキンヘッドだし、うちの娘はワインレッドの髪をロングに伸ばして、それはそれはかわいいんだぞ!」

「うそくせえ」


徹がボソッと言う。


「ちょっとカーマ。それは言い過ぎよ。奥さんが美人なら美人かもしれないじゃない」

「そうか、両親のいいとこどりって可能性も捨てがたいか…なにしろ実物を見ないわけには…それより内面が…」


徹の独り言を耳ざとく聞きつけたリンが、それに反応し、『ゲオルグさんの娘は美人なのか』談義に入って行った。


「おまえら!勝手なこと言いやがって!うちの娘はな、小さいころに『パパーご本読んでー』とか『将来はパパと結婚するのー』とかなあ!」

「いやいや、ちょいと落ち着こうぜ。ゲオルグが15年前に生まれた娘のために訪問者(ヴィジター)やめたっていうなら、娘さん15だろ?もうかなりの結婚適齢期じゃないか。昔のままに言うのはやめたげようよ」

「そうねー、早い子ならもう旦那を連れてくる年頃だもんね。いつまでもそんなこと言ってちゃだめよ」


娘のこととなると見境がつかなくなるのか、トリップしたゲオルグさんはなかなか帰ってこない。


「そうだな…旦那はしかたない。俺がとやかく言っていき遅れになったらかわいそうだ。だがな!それでもだ!訪問者(ヴィジター)はだめだ!俺は33の義理の息子なんていらんぞ!」


ゲオルグの一言にその空間だけ、時間が一瞬止まる。


「33…?ゾネか…」

「マスターなの?」

「ゾネ…自重しろ」


事実を知った、おやっさんと徹の目が一気にゲオルグさんよりになったのは言うまでもない。


「さすがにそれは、ちょっと俺から本人に行っておいてやるよ」

「俺はなにもできないけど、何かあったら話ぐらいは聞くよ」


他人の不幸はおいしいけど、さすがに友人が冗談では済まされない状況ではそうもいっていられない。

この状況では、おやっさんと徹は完全にゲオルグさんの味方であった。

しかし、世の中どうしても空気がよめない人間とは存在する。それが悪いことではないのだが…


「なんで?別にゾネ(マスター)ならいいじゃない。(おとこ)らしいし、爽やかだし、頼りになるじゃない。カーマインでも結構人気あるんだよ?すごいことじゃない」


たしかにゾネは、カーマインでかなり人気がある。

訪問者(ヴィジター)という荒々しい仕事についていながら、人当たりもよく。下の人間の面倒見もいい。

顔立ちだって、目も覚めるような美男子ではない代わりに、男らしいすっきりとした顔をしている。

その顔には険がない、穏やかに笑ってさわやかな感じを受ける。

極限まで戦うために引き締められた体からは年齢を感じさせない。

そして、有名な上位クランであるヴァニル・クランのマスターだ。稼ぎも頭一つ飛びぬけている。

だからいいじゃないとリンは主張するのだ。


「「「お前はわかってない!」」」


声が一つになっただけじゃない。心も一つだった。


「な、なにがよ!?」

「確かに、女にしてみればあれほどいい物件はないだろう!見目がいいってことはガキもそれなりにいいのが生まれるってことだ。しかも稼ぎがいい。そして、どう考えてもくたばるのはゾネが先だ。あとは遺産でそれなりのいい生活ができる」

「そんな、計算づくの()もいるだろうけど、純粋に好きって()だっているはずよ。それにゲオルグさんの娘さんだって、きっと純粋に好きなはずよ!きっと幸せになるわ」


リンの言葉に、おやっさんと徹が一生懸命口の前に指を立てて何かを伝えようとする。


「ふざけんなあああ!うちの娘はそんな売女(ビッチ)じゃねにきまってんだろうが!」

「ちょ、ゲオルグ、おちつこ。なっなっ。気持ちはわかるから。おちつこ」


繊細な心の地雷が爆発したために激昂したゲオルグさんを徹ががんばってなだめようとする。

それに、会話不能となったゲオルグさんの横でおやっさんが説明を続ける。


「ワシもゲオルグのとこの嬢ちゃんにはあったことがあるのじゃが、そりゃいい子じゃったさ。それにな、ゾネはあれで身内に優しい男さ。じゃからこそ、クランマスターの後継者にしたんじゃけどな」

「それだと全然問題ないように聞こえるけど?」

「ああ、そっちは問題ない。じゃけど、これはそういう理屈じゃあない。生理的に受け付けないってというやつじゃ。昨日まで、一緒に飲んでバカやっていた友達が今日になって娘連れてきて、お義父さんなんて言ってみろ。卒倒もんじゃ。娘の幸せのために我慢するのが親って言っても嫌なもんは嫌さ」


おやっさんがリンに説明する間にも徹がゲオルグさんをなだめていた。


「まあまあ、正式に婚約とか決まったわけじゃないんだろ?ゾネだって、そうそう子供に本気になったりしないだろう」

「なんだ!?うちの娘は遊ばれていたっていうのか!」

「いやいや、憧れとかさ、そういうお年頃じゃないか。遠くで見ているだけだって、そのうち気づくって。娘さんが大事なのもわかるけど、ゾネの事もぎりぎりまで信じてやろうぜ」

「ぎりぎりっていつだよ…?」


とたんにゲオルグさんの声が頼りなくなる。


「そりゃ、娘さんと手をつないで家に来るまでだろ。普通に」

「わかった。そうなったら、ぶんなぐって迷宮にたたきこむ」

「おう。そうしろ、そうしろ」


徹が、ゲオルグさんを慰め終わったころに、後ろにおやっさんとリンが立っていた。


「おわったか?」

「もう、大丈夫だ。いける。取り乱してすまなかった」


おやっさんは槍を構え、リンは剣を抜いて完全武装していた。


「どうやら団体さんのお出ましみたいだな」

「あれだけ叫べばそうなるよなー」


遅れながらも、ゲオルグさんが槌と盾を構え、徹が腰に手を当てる。


「作戦は突撃突破じゃ。前衛が突撃する。リンは余裕があれば魔術で敵後方を焼き払ってくれ、ダメなら剣をふるって血路を開いてくれていい。カーマは『高速言語』をつかっていい。好きなように敵を屠れ」

「「「了解(ヤー)」」」


書きダメがまったくなくなったので、ちょっと1週間ほど更新ストップしようと思います。あ、あと祭りもあるしね!祭ってくるよ!

それと評価が200P超えてました。読んでくれる皆様、お気に入りに入れてくれる皆様、評価してくれる皆様、感想まで書いていただいた方に感謝です

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