第114話 連続する崩れ
最初の崩壊から、半日も経っていなかった。
倉庫の再構築が落ち着き、流れが戻り始めたその直後——。
別の場所で、同じ兆候が現れる。
◇ ◇ ◇
「……またか」
エドワードが低く呟く。
◇ ◇ ◇
今度は運搬経路の中継地点。
荷の受け渡しが滞り、人の流れが詰まり始めている。
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レオは即座に状況を見た。
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同じだ。
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だが——。
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違う。
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最初の崩壊は“集めた歪み”だった。
今回のは——。
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「外から入ってるな」
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自然発生ではない。
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意図的に、次を起こしている。
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「連続で来るつもりか」
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エドワードが頷く。
「はい。間を与えません」
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回復する前に、次を壊す。
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それが狙いだった。
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レオは一瞬だけ考えた。
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前回と同じ対応では——。
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間に合わない。
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「分ける」
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短く言う。
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エドワードがすぐに理解する。
「同時処理ですか」
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レオは頷いた。
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「一つずつじゃなく、同時に処理する」
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負荷を分散する。
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それが次の段階だった。
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現場に指示が飛ぶ。
再構築班を分割し、複数の地点に配置する。崩壊の兆候を見つけ次第、即座に局所処理に入る。
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全体で支えるのではなく——。
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各所で受け止める。
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最初は混乱が出る。
だが、すぐに形が見えてくる。
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一箇所が崩れる。
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別の場所は、保つ。
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同時に、別の地点で小さな歪みが発生する。
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そこも処理される。
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連鎖しない。
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崩壊は“点”で止まる。
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「……耐えてる」
現場の誰かが呟く。
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以前なら、全体が崩れていた。
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だが今は違う。
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壊れても、繋がっている。
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一方、裏側。
この結果は明確だった。
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「……止まらないか」
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男が低く言う。
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連続で壊している。
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だが——。
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全体は崩れない。
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「構造が変わっている」
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単発ではない。
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連続でも耐える。
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それは、これまでの街にはなかった形だった。
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「……面白い」
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男は小さく笑う。
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「なら——もっとだ」
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次の一手を考える。
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崩壊では足りない。
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“別の手”が必要になる。
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一方、現場。
夕方には、複数の崩壊が処理されていた。
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完全ではない。
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だが——。
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機能している。
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レオはその流れを見ていた。
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「……持つな」
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小さく呟く。
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単発ではなく。
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連続でも。
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崩れない構造。
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それが、ここに出来つつあった。
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だが——。
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まだ終わらない。
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次に来るのは、もっと直接的な干渉。
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人か、情報か、あるいは——。
◇ ◇ ◇
均衡そのものへの攻撃。
◇ ◇ ◇
物語は、さらに深い対立へと進んでいく




