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私たちはアイドル  作者: 柿井優嬉


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9/22

「はい」

 葵ちゃんに理恵ちゃんを見てもらい、私はコンビニで大きい菓子パンを二個買ってきて、理恵ちゃんにあげた。

 それを、消耗しきった状態だった彼女は、あっという間に平らげた。

 ……すごい食べっぷり。

 その光景に、私は口があんぐりとなった。

「ありがとうございます、リーダー。この御恩、一緒忘れません」

 理恵ちゃんは、神に祈るように両手を組み、心底感謝しているとわかる表情と態度でそう述べた。

「大げさ。ねえ、ガムを噛むんだったら、ちゃんと栄養になるものを食べたほうがいいよ。若くても健康に気をつけないと危険だよ」

 すると彼女は、今度は落ち込んだ顔になった。

「でも私、何か食べ始めると、止まらなくなっちゃうんです。多分、人並み以上に食欲があるのに加えて、先ほど言ったように家が貧乏だから、あまり食べちゃいけないという我慢の意識の反動なんだと思います。その結果、ただでさえ少ない所持金がさらに減って、後悔して自己嫌悪になるっていうくり返しで。なので、食べたい気持ちを紛らわすために、ガムを噛むという方法を編みだしたんです。飴だと虫歯になって治療費がかかるリスクがありますから、キシリトールが配合されてるやつを。ただ、ガムを噛み過ぎて、この前みたいにお腹を下しちゃうときもあるんですけども」

「……もしかして、アイドルを目指したのは、お金が一番の目的とか?」

「さすがです、リーダー。その通りです。うち、子だくさんだから貧乏なのか、お金がないのに子どもをいっぱいつくる計画性のない親だから貧乏なのか、なんにしても、体育会系の兄三人と食いしん坊の私がたくさん食べて、食費がすごくかかっているはずなのに、両親ともニコニコして、『いっぱいお食べ』といつも言って、一緒に食事をするときは十分過ぎる量のご飯を用意してくれるんです。だから、親孝行がしたくて、大金を稼げるように、アイドルをやろうと考えたわけです」

「そうなんだ。偉いよ、子ども思いの理恵ちゃんのご両親も、親思いの理恵ちゃんも。うちも別に裕福なんかじゃないけど、だったら次から、おにぎりとか簡単なものだけれど、作って持ってきてあげるよ」

「え! 本当っすか?」

 理恵ちゃんはものすごく驚いた。

「うん」

「ありがとうございます! 私、リーダーと一緒のグループにさせてくれた青山さんと神様に感謝します! うう~」

 彼女は顔をくしゃくしゃにして泣きだした。

「泣かなくていいから」

 私はハンカチを出して貸してあげた。

「言っとくけど、そんなたいそうなものじゃないからね。ほんと、簡単なおにぎりくらいだよ」

「わかっております、わかっておりますとも~」

「ただし、今また口にした『すか』を直さないと持ってこないよ。それと、普段私を呼ぶときは、対等な関係でいたいし、プレッシャーにもなるから、『リーダー』って言わないでくれる?」

「わかりました! 『すか』はもう絶対に言いません! そして、『リーダー』じゃなく、『やっさん』って呼びます!」

「『やっさん』じゃなくて、『八重さん』ね。調子に乗って、ふざけると、殴るよ」

「すみませーん」

 やれやれ。


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