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「学校でいじめられましたし、そうでなくても内気で他のコの輪に入っていけないし、ほとんどを家の自分の部屋で過ごしていたんですけど、そのときにテレビやネットの動画で青山美悠さんを目にして、何をやるにも一生懸命だし、可愛くて、憧れて、思いきってある日、親に頼んで付き添ってもらって、握手会に行ったんです。間近で見た美悠さんも、というか、目の前で見たほうがもっと、可愛いし、素敵で、『応援してます』って声をかけたら、『ありがとう』って微笑んでくれて、『あなたも可愛いからアイドルになれるよ』って言ってもらえて。その言葉を素直に受け取るほど自分に自信はなかったんですが、私も美悠さんと同じように、引きこもっていたり、暗い毎日を送っているコを元気にできたらって考えるようになったんです」
「だから、『ロー・キー』のオーディションを受けたの?」
私は訊いた。
「はい。アイドルを目指す気持ちになったものの、オーディションは緊張するし、どうせ私なんて受かるはずがないってネガティブな感情がわいて、ずっと躊躇してたんですけど、美悠さんの弟である青山さんの事務所でオーディションが行われると知ったので、勇気を振りしぼって」
「そうなんだ。それにしても、引きこもりのコを元気づけたいって、私なんかとまったく違う。立派だね、葵ちゃん」
「そんなことないです」
「あ」
その瞬間、私はひらめいた。
「何ですか? 八重さん」
理恵ちゃんが、私の様子に気づいて、声をかけた。
「ちょっと思いついたんだけど、だったら、今現在引きこもっているコのところに足を運んで、歌ったりするのはどう? ファンをつくるためよりも、元気になってもらえるように。駄目かな?」
「いえ、いいですよ。名案だと思います」
理恵ちゃんが賛同した。
「でも、引きこもっているコは精神的に不安定でしょ? 大丈夫かな? だいいち、会ってもらえないかもしれないし」
「んー、じゃあ、多分、引きこもっているコの親とかによる団体がありますよね。そこを通じて、本人にどうか訊いてもらったりして、問題なさそうなコのもとに行けばいいんじゃないですか?」
「そっか。それなら……葵ちゃん、どうかな?」
引きこもり経験者の葵ちゃんからすると、くだらないアイデアなのかもと思い、ためらいがちに問いかけた。
「いいと思います。私としては、『ぜひ』くらいの気持ちです」
よかった。
「なら、やってみようか?」
「はい」
「はい」




