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私たちはアイドル  作者: 柿井優嬉


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「私みたいなバカな子どもは昔からずっといるはずなのに、学校とか政治の偉い人とか、そういうコが将来困ることにならないようにするにはどうすればいいのかって、本気で考えてくれないじゃないですか! 頑張って勉強しろとは言うかもしれないですけど、どうあがいても満足に理解できない人間だっているのに。だから、私のような劣った奴は、芸能人になるか、スポーツ選手になるか、じゃなければお金持ちの相手を見つけて結婚してもらうくらいしか、人並みには生きていけないんですよ!」

 どうするの? こんなにひどくて——。

 もっと頑張りなさい——。

 幼い頃から、先生や親からこういった具合に呆れられたり冷たい言葉をかけられたりしたし、テストや通知表のすごく低い数字を目にするたび、私は大人になったらどうやって生きていけばいいんだろう? と不安だった。

 そして、運動も得意じゃないし、自分がまともに社会人としてやっていける唯一の道と判断して、アイドルになるんだと決意したのだ。

 ……あ。思いの丈を吐きだしたら、涙まであふれて出てきた。

「ですから、そんな不純な動機の、いいかげんな人間である私をメンバーから外せばいいんです。ブスな私に比べて、理恵ちゃんと葵ちゃんは可愛いので人気も出るでしょうし、デビューさせてあげてください」

「だったら、私なんて、家が貧しくて、芸能活動をするのはお金が一番の目的なので、もっと不純です!」

 理恵ちゃんが声を張り上げた。

 そんなこと言ってくれなくていいのに。あの男たちとのことは本当に私が悪かったんだし、私が辞めさえすれば。

 すると、青山さんが冷静に、また口を開いた。

「だけど、芸能界でやっていければいいんなら、モデルや役者、あるいはお笑い芸人だとかって選択肢もあるだろ? 勉強が苦手といった理由だけじゃなく、歌への情熱だってちゃんとあるんじゃないのか? 鈴木は、親にやらされたりしたわけじゃなく、ピアノを長いこと習っていたし、武藤は、自分がいかに歌が好きかっていうのを長々と、履歴書に書いてたよな?」

「……歌は好きです。でも、勉強ほどではないですが、歌唱もピアノも、才能なんてありませんし」

 私は答えた。

「私も一緒で、歌は大好きですけど、それだけです」

 理恵ちゃんが続いて言った。

 青山さんは、私たち三人に向かってしゃべった。

「歌が特別うまくないのはわかってる。だからレッスンをさせているんだ。とはいえ、そんな卑下するくらい下手でもないだろ? 見込みがなかったら、きみらを採用していない。あと、芸能活動をするのに、お金が動機としてあったって悪くはない。そんなことを言ったら、こっちだってそれで商売をしてるわけだからな。とにかく、今回みたいなトラブルは起こさないように気をつけろ。今はほんとネットで悪い情報は一気に広まって、それで芸能生命が絶たれかねないからな。わかったな?」

 ……。

「あの、じゃあ、責任を取って辞めなくていいんですか?」

 私は訊いた。

「ああ。だから、もう一度言うが、問題を起こさないように気をつけるんだぞ。特に鈴木と武藤の二人」

 私と理恵ちゃんは顔を見合わせた。

「はい!」

 私たちは同時に返事をした。

 よかった。ほっとした。



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