表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

第七話 5年前へ(6) 取り戻す九尾の力「見ろっ!人がゴミのようだッ!」

【あらすじ】

ジジイに紹介されたら狐が空気投げして

爆発炎上?裏山で謎のDQNに襲われて

なぜかム◯カ大佐が登場←イマココ



ーーーーーーーーー



「はぁ、はぁっ……!」



舗装もされていない獣道を、ムイカリが全力で駆け抜ける。


後ろからは、あの緑色の小人ゴブリンが、奇妙なセリフを叫びながら追いかけてくる。



「どこへ行こうというのかねッ!」

「鬼ごっこは終わりだッ!」



さっきから何いってんだっ?。


ムイカリは心の中でツッコミを入れつつも、全速力で走る。


やがて、視界が開けた。 目の前には一本の巨木。


その根元には、手足を縄で縛られたボロボロの人物が木にしばられている。



「アンタ……ギンジかい?」


「……やあ、(あね)さん。無事でよかった……」



ギンジと呼ばれた人物…ムイカリさんとは旧知の仲のようだ。



「終点が玉座の間とは、上出来じゃないか」



後ろから迫るゴブリン大佐が、またしても意味不明なセリフを吐く。


「姐さん!逃げてください!俺より姐さんの方が強いけど……あいつらには敵わないっ!」


「わかった。ちょっと待て、その前に――あの訳わからんのをどうにかしないと」


「……3分間待ってやる」


「へっ?!」


まさかの提案に、ムイカリが間の抜けた声を漏らす。


本当にゴブリン大佐は動きを止め、待機状態に入っている。


今がチャンスだ。 ムイカリは急いでギンジの縄を解こうとする。


「ギンジ!単刀直入に聞く、あの祠の主は、あんたかい?」


「ああ。俺が、あの狐塚の守り手だ」


ムイカリは一瞬、寂しげに微笑むと――


「……そうかい…」


「……ったく、なんて頑丈に縛ってるんだよっ!」


ムイカリが苦戦しているのを見ながら。


ギンジがモゾモゾと身をよじる。ポケットから青い石がポロリと落ちる。


「これは…?」


「これがご神体だ。これを祠に戻せば、再び鬼門は封じられるはずだ……

姐さん……たのむ…俺のかわりに……」


「ギンジ……」


ムイカリは一瞬の沈黙の後、力強く言う。


「ダメだよ。アンタが戻しな。これはアンタじゃなきゃダメなんだ」


その瞬間、ムイカリの中で何かがハジけた。


――ドクン。


金色のオーラがムイカリの背後から立ち上がり、それは九本の尾の形を取る。


九尾。狐の頂点に立つ存在。


「……時間だ。答えを聞こう」


ゴブリン大佐がじりじりとにじり寄ってくる。


「答えは、これだよっ!」


九尾の力を解放したムイカリは、縄をいとも簡単に引きちぎった。


そして、淡い金色のオーラを纏い、白い巨大な狐へと変化、


そしてギンジをくわえて大空へ跳躍した!



「どこへ行こうというのかねッ!」



ゴブリン大佐はクラウチングスタートからの爆発的ダッシュで追撃! その勢いのままムイカリの尻尾にしがみつく!


「見ろっ!人がゴミのようだッ!」


空中でそんなセリフを吐くゴブリンに、ギンジは呆れながらも問う。 「姐さん、いいんですかい?」


「いいよ、もうめんどくさい!」


「さあ、祠までひとっ飛びだよっ!」


―――――


場所は変わり、蔵間屋敷。


時は少し遡る。


蔵間家では、継とムイカリが瘴気を追って出ていった後――


一人の男が屋敷へと到着していた。 年の頃は四十代前半。


整ったスーツを自然に着こなす、まさに"イケオジ"。 彼の名は蔵間総一くらま そういち


葉子の父であり、蔵間家の実質的な頭だ。


「……なんだこれは……」


屋敷の惨状に、目を見張る総一。 爆発事故、負傷者、そして愛娘・葉子の衰弱。



「聞いてた話と違うじゃないか……」


いても立ってもいられず、総一は真っ先に稲荷社へと足を向ける。


社に祈れば、必ず道が拓ける――それが、彼の信仰。


「今回も、きっとうまくいくはずだ……なあ、向狩ムイカリくん」


彼の脳裏に浮かぶ、美しき経営コンサルタントの姿。 その存在が、数々の成功を導いてくれた。



「この稲荷社に祈りな。そしたらどんどん成功させてやるからね!」



そんな彼女の言葉が頭に浮かぶ、総一はクスッと笑う。



そして――


ドクン。


総一は、社の奥から微かに金色の光が漏れ出すのを感じた。


「……っ? 今のは……」


まばたきをしても、光はもう見えない。 幻覚か? 気のせいか?


ふと、裏山の方へ目を向ける。


「……向狩、くん……?」


彼の瞳が、なぜか山奥を見ていた。


――つづく――



次回、

「ひざますけっ!命乞いをしろっ!小僧から石を取り戻せっ!」

↑おまえが石を取り戻せ!!

ここまで読んでくれてありがとうございます。

よろしければブックマークやユーザー登録。

感想も書いてくれると嬉しいです!


インスタグラムでも投稿しています。↓

https://www.instagram.com/tugu_8888?igsh=MW1wdnQzN2lqNHNpZQ==

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ