表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

第六話 5年前へ(5)祠の秘密と謎の敵!?「はぁっはっはっ! どこへ行こうというのかねッ?!」

【前回までのあらすじ】

5年前の回想から狐がエロかったらジジイがなげとばされて爆発!

なんかゴブリンが自爆して腕噛まれて治って←イマココ!


*  *  *


瘴気を追ってたどり着いたのは、


山の中腹にある小さな洞窟を利用した、かつての祠だった。


かろうじて鳥居の根元が残り、神殿は無残に荒れ果てていた。


壊された狐の像が転がり、ご神体らしきものの姿も見えない。



「こりゃひどいね……ご神体まで、何者かに持ち出されたみたいだよ」



ムイカリさんがそう言う。


たしかに、ご神体らしき痕跡も見当たらない。


破壊された形跡がない以上、持ち去られたと見るべきだろう。



「なるほど。ここ、屋敷の方角から見て北東……鬼門の位置だね」



北東──風水では鬼門の方角。


祟りや邪気が入ってくるとされるこの方角に、社や祠を建てるのはよくある話だ。



「ってことは、この狐塚が鬼門の封じになってたんだな」



それが壊されたことで、


屋敷に向けて溜まっていた“狐の気”と“鬼門の邪気”が一気に流れ込んだ。


そして、それを最も強く受けたのが──葉子だった、というわけか。


「でも、葉子の狐憑きはここが原因として……あの化け物たちは何なんだろうね?

邪気が濃すぎて凝ったってだけじゃ、説明がつかないんだよ。

私も長く生きてるけど、あんなの初めて見たよ」



「長く……ムイカリさん、今いくつなの?」



「なっ!? レディに歳を聞くとかマナー知らずにも程があるよ!」



しまった……つい口が滑った。



「まったく、そんなにこのお姉さんの歳が気になるのかい? 

ん? いろいろ教えてあげようか?」


と、ぐいっと距離を詰め、胸元を開け気味に見せつけてくるムイカリさん。


なんでいちいち無駄にエロいんだ……


前言撤回。気にしてない。このエロキツネ。


「さて、原因もわかったし。爺さ……会長に報告するか」


その言葉にムイカリさんがピタリと固まった。顔がサッと青ざめる。


……効果テキメン。今後もウザ絡みしてきたら、この手でいこう。


ともかく、祠を修復してもらわないことには鬼門封じができない。


僕は外に出ようと一歩踏み出す──その瞬間。




ヒュィン……!


額に書いた龍体文字『か』が反応し、視界が歪む。


次の瞬間、僕が頭を砕かれて倒れる未来のビジョンが脳裏に走った!


「ムイカリさんっ!! 危ないっ!」


叫ぶと同時に、彼女を抱えて跳躍── その瞬間、


さっきまで僕たちがいた場所が爆発した!


ドガンッ!!


「ッハァ……間に合った……」



『か』は“可視化”の文字。 今の僕は、周囲360度に目があるようなものだ。


命の危険が迫れば、未来のビジョンすら見える。



「ほう……不意打ちのつもりだったが、避けられるとは。やるな、鬼の末裔」



土煙の中から姿を現したのは── 黒の革ジャンにピッチリとした皮ズボン。


髪は妙な色に染めた、街のチーマーのような男だった。


「な、なんだいあのタイプ!? いるよね、街にああいうの!」


「おい!人をチンピラみたいにいうなッ! 俺の名はムガイだッ!」


「何が“ムガイ”だよっ! 害しかないじゃないかっ!」


ムイカリさんの容赦ないツッコミが炸裂する。


その男──ムガイは怒りを露わにし、両手に邪気を纏った。



「その邪気……屋敷に現れた化物と同じだな。仲間か?」


「誰が教えるかっ!!」


ムガイが殴りかかってきた。僕は咄嗟に警棒で受け止め、後ろに跳び間合いを取る。


この警棒、すでに白龍を憑依させた“白龍モード”だ。 あれをまともに受けたらただでは済まない。


しかし──ヤバい。力はムガイの方が上だ。 このままではジリ貧……。



……いや、負ける…。


数合を交わすうち、気づいた。


奴の両手の邪気は、切り結ぶたびにわずかに減っている。


どうやら、それを祠の邪気から補充しているらしい。



──ならば、祠を封じれば。


僕は懐から2枚の札を取り出し、ムイカリさんに投げる。


「この札に書いてある龍体文字を、白紙の札に写して! それで、ご神体を探してくれ!」


「どうやって?」


「“願う”だけでいい。祠とご神体にまだ残ってる神気が反応するはず!」


ムイカリさんが札に文字を書く。 すると、札が黄金に輝き


──空中をくるりと回り、一点を指し示した!


この文字は、“ゐ(ウィ)・さ”。探し物が見つかりやすくなる龍体文字だ。


「この光りが指す方向に、ご神体があるんだね!

わかった! 任せなっ!」


そう言ってムイカリさんが走り出した……と、同時に。


「やらせるかよッ!!」


ムガイが左手から緑色の小人を生み出した。


「コイツは俺の指示がなくても動けるようにしてある……! 行け、キツネを止めろ!」


その小人は、メガネにスーツ姿で── どこか金曜ロードショーで見たような風貌。


「3分間まってやる!」


「イヤイヤッ!早くいけぇっ!」


と、言うムス……じゃない緑の小人にツッコむムガイ。


「いぃっ!?……コイツ、喋ったぁ!?」


「ふははは! どこへ行こうというのかねッ!」


クラウチングスタートからすさまじい勢いでムイカリさんを追うゴブリン。


──ともかく、ムガイの片手の邪気は失われた。 これでようやく互角に戦える……


*  *  *


つづく



次回

ムイカリさん、空を駆ける。「見ろっ!人がゴミのようだっ!」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

よろしければブックマークやユーザー登録。

感想も書いてくれると嬉しいです!


インスタグラムでも投稿しています。↓

https://www.instagram.com/tugu_8888?igsh=MW1wdnQzN2lqNHNpZQ==

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ