第十四話 はじめての…………
【あらすじ】
バターコさんが新しいコスよ〜!としたら、もぅむりの熊さんが元気100倍になって敵がバイバイキンしたらバターコさんがピンチになった。
_____
「やめろっ! バターコに手を出すなっ!」
デナイの声で動けない熊さん。そしてデナイが出してきた三匹のゴブリン妖異がバターコに迫る!
その時!
ブオォォォ!
エンジン音が鳴り響く!
僕達の乗る遊撃車である!………が、このままでは間に合わない?!
「……やってみますっ!」
と、葉子が遊撃車の天窓を開けて、赤、青、黄色のボールペンを構える。
「いってぇっ!アカ!アオ!キィ!」
勢いよくボールペンから飛び出した三匹の管狐は。
アカ、アオは勢いよく命中!ゴブリン妖異の胴体に風穴を開ける!黒い霧となり消える。
一匹、キィだけが少し遅れてる……
「お願いっっ!キィっ!」
ピクッ!
葉子さんの声に反応したキィが、急加速をするっ!
ピィィィッ!
という鳴き声と共に。
ズバッ!
見事っ!三匹目を貫いたっ!
「やっ…たぁ…三匹…」
思わず葉子の声が漏れる。
がっ!
「甘いわねぇ〜♪」
その声が響いた瞬間、空気がピリッと張りつめた。
「歌の力、見せてあげる♪」
──周囲の空間が揺れる。葉が逆風で舞い上がり、地面がわずかに振動する。
「ファァァー♪」
ゴブリンキングが、その声に呼応するかのように復活したのだ。
……もう、バターコさんに迫ってきているっ?!
…………!!
無意識に葉子は黒と白のボールペンを構えるっ。
【いけるの?…………五匹……】
不安がよぎる。[どうしよう、どうしよう、どうしよう………]
迷いが顔に出る……その時。
ポンッ
肩を叩かれる感触。横を見ると、継が肩に手を置いて見ていた。
コクッと頷く。言葉はいらない。
「はいっ!」
迷いなく、葉子は残り二匹の管狐を発射させる!
「クロ!シロッッ!」
名前を呼ばれた二匹は、螺旋を描いて一つになる!
そのまま眩き螺旋の矢となり──
ドギャッ!!
胸に命中っ!!
さすがに穴は開かなかったが、ゴブリンキングを吹き飛ばす!
それを見た葉子は、遊撃車の中でヘタリと座り込む。
「はっ……はじめて……五匹、命中……しかも、あんなの……はじめて……」
「やったっ!葉子さんやった!」
思わず、思いきりハグする僕!
「つ…継ひゃ……あ、…」プシュー…
「あ、あれ?」
いつの間にか葉子さん、真っ赤な顔で気絶してる?!
運転席で助っさんが「やれやれ」といった表情で、バターコさんの近くに車を止める。
ちょっと困惑してた僕。すると、後ろから肩をたたかれる。
振り返ると、指が頬に食い込む。……犯人は、いつの間にか出てきてたムイカリさん。
「はいはいっ!アオハルはもういいからっ!葉子は見ててやるから、アンタはいってきなっ!」
見ると、バターコさんは無事。……良かった。
「はいっ!行ってきますっ!」
勢いよく外に飛び出す僕。
車内には、ノビている葉子と、ニタニタが止まらないムイカリさんだけが残った。
「ま、抱きしめられたのも。はじめてだったもんねぇ〜」
と、横に来て葉子に肩を貸すムイカリ。
ニタニタ顔が止まらないのであった。
「なっ……なに!」
突如としてデータにない状況に。驚いたのか、一瞬歌が途切れるデナイ。
「バターコォォ!大丈夫かぁ!」
その隙をついて、熊さんがバターコに猛ダッシュ!そして一瞬でバターコをお姫様抱っこしていた。
「バターコ………どうしてここに…?」
「ベアー、これ」
と、お姫様抱っこされながらバターコは熊さんの肩にマントをつけた。
「ホラ、ヤっぱり。ベアーにはコレがないと!」
「ふぉぉぉっ!どうりで力が出ないと!」
………マジか…?
「ふん♪いずれにしても♪貴方たちは♪私の檻の中♪」
と、余裕のデナイ。さらに五匹のゴブリンを召喚する。
が──
「流水剣武っ!五連っ!」
ザンッ!ザザザザッ!!
一瞬で斬り伏せるっ!
「クッ………!」
仕切り直し。
第二ラウンド、開始だ──!
つづく
ここまで読んでくれてありがとうございます。
よろしければブックマークやユーザー登録。
感想も書いてくれると嬉しいです!
TikTokのなろう用アカウントです↓
https://www.tiktok.com/@user63193752919038?_t=ZS-8xuitGcLpeW&_r=1