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彼が消えた

彼が消えた

その存在も思い出も全部消して

あの世界に戻って行った

いや

あの子のそばに帰って行ったのか


俺たちはそうなると思っていた

あの子があっちに残ってたままだと

彼に聞いた時から


戻ってきてから

ずっと悩んでいるのはしっていたし

あの子のことを話せる存在は

あの世界で共に過ごした俺たちだけで

今ではその俺たちでさえ

ほとんど思い出せないあの子の思い出を

必死にかきあつめて

忘れないように話す彼に

俺たちは黙って付き合っていたから


あの子のことをアノヒトと呼ぶ彼が

少しづつ萎れていって

月夜をあるくこともできないくらい

憔悴する姿を側で見ていた

どんなにもどかしくても

俺たちができることは少なくて

吐くほど飲ませて

勢いにまかせて大声で

あの世界のあの子のもとに行きたいと叫ばせることしかできなかった

とっくに願いを叶えて貰ってそこそこ幸せに生きてる俺たちは

まさかまだ彼が願いを叶えて貰っていなかったなんて知らなかった

あの世界で旅をしている時に


もう一度あの子に会いたいと願ったから

ここに来これたからもう願いはかなっているんだと彼が嬉しそうに言っていたから


泣きながら叫んだ彼にあの世界の主はいった

「それが君の願いかな」

その時の俺たちはベロベロに酔っていたのもあって

彼の背中をみんなで叩いて

おまえこのままならほっといてもひとりで消えそうだからどうせならあっちであの子の側で消えちまえ

とか酷いこと言って

彼を送り出した


そして彼は消えてしまった

なぜかその時一緒に飲んだ俺達だけは

彼のことは忘れなかったけど

その存在自体は消えてしまった


彼が消えて数ヶ月したころ

俺らの仲間の一人が

あの綺麗な赤い月の下で

彼があの子の隣で

「月が綺麗だね」

っていってる彼の夢をみたっていっていた


ああ良かった

思いが叶ってめでたいなぁなんて言って

みんなで集まって祝い酒して騒いだある日

俺たちは

こっちの月みたいに金の月になってるあの世界の月の下で

プロポーズしてる彼の夢をみた

嬉しそうに頷きながら泣きじゃくるあの子を

そっと抱きしめる彼の幸せそうな笑顔が

わすれられなくて


その日はまたみんなで祝い酒した

おめでとう 良かったな

幸せになれよ


















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