牢の中
薄暗く、狭い部屋にローガンはいた。備え付けのベットに腰掛けて顔は人間に塗装し直していた。手首には何故かまだ手錠がされていた。ここは牢屋の中で場所は留置所。あの少年が警察を連れてきた後、まんまと捕まってしまった。その警察にも顔を見られた。今は何をするというわけでもなくただ虚空を見つめている。1度は逃げ出そうかとも考えたが、まだエオローを見つけていないうちからその手の面倒事を背負い込むのは気が滅入った。部屋にはローガンしかおらず、何やら向かいの部屋の住人がチラチラとこちらを見ている事に気が散った。
「...何か?」
ついに話しかける。
「あっ、いや...」
部屋が暗くて分からなかったが、声色的に女性のようだった。
「そうだな...。今週、多いなと思ったんだ」
「何が?」
「その部屋に入るやつだよ。あんたで2回目」
「へえ、この街は治安が悪いんだね」
「どうだろう...」
「?」
「言ってたんだ。警官に。私が何をしたって言うんだって。まあ、言い逃れするための嘘っぱちかも」
「そうか。ねえ、そいつってどんなやつだった?」
ただ単に好奇心からきた質問だった。ここに来たからには単純な理由では無いだろう。それなのにそんな言い逃れでどうにかなると思っているのかが気になった。
正面の住人が口を開いた時、
「24番!呼び出しだ!」
牢屋同士に挟まれた廊下の奥から声が聞こえた。きっと警官の声だろう。
「24...」
「この牢屋の番号さ。ちょうど、君の番号だ。足元に書いてあるだろ」
見ると格子の外、部屋の真ん前にある地面に24と書かれていた。
「そうか...」
「...さっきの話。黒と青が合わさった綺麗な髪色をもった女だよ。君と一緒でその日に入ってその日までに呼び出されて、消えて行った」
「...」
次第に警官が近ずいて来る。
「...あんたが何をしたか、なんて興味無いけど...話ができて楽しかったよ」
「私も、話せてよかった。」
本当は見た目の話よりもどういう性格のやつだったかを知りたかった。
相変わらず、顔はよく見えない。最初は気になったが、今ではそれでいいと思った。いや、むしろどうでも良かった。ローガンは今、家に帰ってからのことしか考えていない。街中を歩き回ってわかった。エオローのような髪色なんて他で見た事ない。ありきたりな金や黒なら沢山いた。つまりエオローは今週のうちにここに居た。...こんなところに捕まって何をしでかしたんだろうかあいつは
警官が私の前に立った。
「大人しくしろよ」
そう言った警官の手には鍵が握られていた。
そういえば呼び出しと言っていたが私はどこに連れていかれるんだろうか。ひょっとしたらエオローと同じ行先かもしれない。あいつは人間が好きだから。私みたいに危害を加わりしないだろう。きっと何かの拍子で人外とバレたに違いない。
ガチャンという鍵の開く音とともに扉が開く。
「出ろ」
牢屋から出るともう1人の警官の後をついて行った。扉を開けた警官もその後ろから着いてくる。さっきまで話していた牢屋の中の人物を見るともう既に興味無さげに壁を凝視していた。