アダムズの家の作戦会議
アダムズはニコッと笑い、後ろからスープ入の鍋を持ってきて、ローガンの器に注ぐ。
「そうこなくっちゃ!」
「待て。さっきからお前も着いてくるような言い方に聞こえるんだが...」
スープを注ぐ手を止めると共にアダムズも制止させる。
アダムズはキョトンとした顔をして見せた。
「もちろんそのつもりだよ。言っただろ。一言言ってやるって」
「...」
確かに言っていたが何も一緒じゃなくてもいいじゃないか?
ローガンは人間と2人で行動する様を思い浮かべて脳内に渦ができた。
「君は...人間が嫌いなのかもしれないけどさ、連れてってよ。それに人間と一緒の方が何かと便利だろ。」
もっと色々問い詰めたい衝動に駆られたが屈託の無い笑顔を前にローガンは押し黙ってしまった。あまりの陰りの無さにアダムズと行動するのはもしかしなくとも決定事項なのではないのかと頭を抱えた。
「そんな嫌?」
ローガンは1つ、ため息をつく。
「分かった」
「あ、でも、もちろんまだ信頼されていないのは分かる。だからさ、これを作ってみたんだ」
仲良くなる前提で話が進まれることにローガンはまた悩まされた。
そんな事は知らないアダムズはローガンの前に木箱を出した。
「これは...」
「君たちのところではどんなんか分からないけど...君の友人の棺を作ったんだ。ずっとあのままじゃ可哀想だろ?これを機にっていうのはおかしいかもしれないけどまず信頼が必要だからね」
人間との信頼。
ローガンは無意識のうちに歯を噛んだ。
「ぃゃ...」
ローガンは寝ていた寝室に行く。扉を開けても先程からの何も変わらない、だらりと横たわったエオローが目を閉じていていながらも空虚に向き合っていた。
「え?なんて?」
アダムズが後を追う。部屋に入った時にはローガンはエオローを抱きしめていた。
「嫌だ。エオローは置いていかない。一緒に連れて、いずれ故郷に連れて帰る」
「ローガン...でも友人を連れてちゃ色んな意味で目立ってしまうし...」
「分かっている。だからこうする━━」
ローガンはエオローを顔の前まで持ち上げ、取り込んだ。アダムズは目を見開き、何か言いたそうにしては眉間に皺を寄せ黙って見ていた。
飲み込んだ後、ローガンは少しの余韻に浸ってベットに腰掛けていたアダムズに言った。
「もう一度あの刑務所に忍び込む。お前にとっては職場でやりにくいだろう」
顔色は真っ黒で何を考えているか分からないがアダムズはローガンに強い意志を感じた。
「それなら大丈夫だ。君に食べられた時、私は死んだ事になっているだろうし。それに私に案がある」
「案?」
「私は人外管理施設者が怪しいと考えている。君が人質に取っていたあの男は上層部に命令されたと言っていただろ?手段も人道的にもどうやってやったのか疑問は残るけど施設を管理している奴のところに行けば間違いないと思う」
「どこにいる?」
「地下4階の最下層。行く道は正面堂々の1本だけ。エレベーターもまず1階で止まるようになっている。掘るのも無理だ。周辺は岩盤で覆われている」
アダムズの額から頬へと1粒の汗が流れた。歯を食いしばって拳を強く握って微かに震えている。
「そういえば君はどうやってあそこから逃げ出したの?」
心底理解できないと言うような、マジシャンのマジックを見て目を輝かせているような少し眩しい顔をした。
ローガンは実は...と、エオローが置かれていた椅子に座った。
「なるほど...。じゃあ、これで出入りは簡単だね」
「嫌だ」
「えっ?」
「何故お前のためにも土を食うと思っているんだ」
「え!そんな...でも...!」
「私は排気口を潜って行く。こっちの方がスムーズで良い。案内しろ」
「排気口...うん、まあ、そうだね...」
「なにか不満が?」
「いや、ただ迷いそうだなって...」
あまりにもアダムズが深刻そうな顔をするので少し心配したローガンだったか杞憂であるよう終わらせた。
「お前は人外と一緒に反旗をひるがえすんだろ?どうにかしろよ」
「そうだね。でも今の警備は隙がないはずだ。近ずけるかどうか...」
ローガンは思案のポーズをアダムズが腕を組むようにして唸り悩んだ。




