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人外の狂涛  作者: 江華
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人外の世界

ある日、人外のローガン瞳のないその顔で友人の同じく人外であるエオローが勧めてくれた本を読んでいる最中、ふとその友人が3日前から人の街に出かけたっきり帰って来てないことに気がついた。

いつもはその出かけた日の夕方までには帰って来るがそんな日もあると放っておいていたのだった。

以前から人の街に行く人外は帰ってこないなどという話がある。エオローは何回も街に出かけていたので油断していた。

いくらなんでも遅すぎるのではないかと焚き付けられた様に身支度をするが内心それほど焦ってはいなかった。エオローは週に2回は人の街に遊びに行っていた。毎回くだらない様な買い物をして来てはしきりに自慢してちょっとウザかった覚えがある。そんな奴が今更馬鹿げた噂に捕まるわけが無いのだ。

家を後にし、人の街に行くためには国境を越えないといけないため、国境近くまでバスを利用した。

目的のバス停で降りると田舎特有のもっさりとした緑が目に入る。後は歩くだけなため少し自分の顔をいじった。今のまま人に会えば必ず自身の身が危険に晒されてしまうだろう。

エオローが以前、人の街に行くからと顔を私の前で1度だけいじりだした事がある。いじり終わった顔にはどこをどう見てもエオローの面影は無く、これが人間の見た目なんだと言われた。私達とは程遠い顔をしておかしかった。

ローガンやエオローは肌の全体が黒く、顔のパーツは白く鋭い歯を剥き出しにした丸い口が真ん中にあるだけ。髪型はそれぞれだが、ローガンは黒髪に腰近くまで伸ばして毛先から上が少し癖がついている。エオローは青みがかった黒髪に肩にかかるほど。手は施していない。

顔をいじっている最中、足を動かしていたためすぐに国境がみた。小さな山と山の谷間を埋める様にしてこじんまりとした橋がかかっている。

国境を跨ぐ前に荷物の1つである鏡で顔を見た。何かおかしなところがあってはいけない。・・・特に変わったところは無かった。強いて言えば髪も服も黒でおまけに瞳まで黒で元の姿と大差ないくらいだった。

意を決して目の前の平坦な橋を渡る。この橋を数歩いけば人の世界に踏み込んだ事になるだろう。初めて人の世界に足を踏み入れる。そんな私に小さくボロそうなこの橋は心許なかった。

だが大した用事では無い。友人を1人、探し出せばいいのだから。


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