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霊能力美少女の家 ―逝かせてあげる♡―  作者: 如月るん
第二話 愛しのジョージ
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おまけ 舞台になっている長野市についての会話

 リビングでコーヒーを飲みながら、茉莉花は桜子に訊いた。


「こないだ、どこへ行ったの?」


 飲んでいたコーヒーを置いて桜子は訊き返した。


「このあいだって?」


「わたしが実家に帰った日。街を散策してきたんでしょ?」


 桜子が結城とカフェに行った日の事だ。もちろんそんな事は言えない。だからといって行ってもいない所の話は出来ない。


「結局どこにも行かなかった」


「なんでよ」


 桜子は素直に答えた。


「だって一人だと恐いんだもん」


「恐い?なにがよ」


「だって都会なんだもん」


 茉莉花は呆れた。


「どこが都会?都会ってのは、こないだ行った新宿みたいなとこでしょ?」


「長野も都会だよ。人も車もいっぱいいるもん」


「それほどでもないよ」


「だって、長野市って県庁所在地でしょ?人口だって多いでしょ?」


「長野県の中ではね。一応は中核市だし」


「ちゅーかくし?」


「人口20万人以上の指定を受けた都市のことね。長野市の人口は、確か三十数万人だったはず」


「ほら、都会じゃん」


 雅が笑って話に加わった。


「桜子から見たら都会なんでしょ?」


 茉莉花が苦笑いする。


「ちょっと行ったら山だけどね」


 桜子が質問する。


「こういうとこ、盆地って言うんでしょ?」


 茉莉花が答える。


「そ。長野盆地。善光寺平ぜんこうじだいらとも呼ばれてるよ」


善光寺ぜんこうじがあるから?」


「うん。元々、長野は善光寺の門前町だからね」


「でも門前町だけじゃなくて、長野市ってけっこう広いよね」


「広いのかな?まあ、何度か合併が繰り返されてるからね」


「ねえ。善光寺とか長野駅周辺の市街地以外に長野市ってどんなとこがあるの?」


「どんなとこって……例えば南下すると犀川さいがわが流れてるけど、さらに南下すると合戦で有名な川中島かわなかじまとかあるよ」


「あ、知ってる。川中島の戦い」


「あと千曲川ちくまがわの東の方に行くと真田氏さなだしが治めた松代まつしろ藩の城下町だった松代があるし、北西方面の山の方にはパワースポットの戸隠神社とがくしじんじゃとか戸隠蕎麦とがくしそばとか戸隠流忍者とがくれりゅうにんじゃで有名な戸隠とがくしでしょ?西の山の方面には鬼女伝説きじょでんせつで有名な鬼無里きなさでしょ?南西の山の方面にはジンギスカンで有名な信州新町しんしゅうしんまちなんてあるけど、今は全て長野市よ」


「なんか面白そうな所いっぱいあるね」


「長野にいれば、そのうち行くこともあるでしょ。ちょっと登れば飯綱高原いいづなこうげんなんてのもあるし」


「山に囲まれてるけど、この辺は低いよね」


「なに言ってんの?県庁本庁舎の標高は日本で一番高いのよ、確か。ねえ、雅」


 雅はコーヒーから口を離して言った。


「うわ、投げてきた。――長野県の県庁舎は確か370メートル越えだったはず。全国2位の山梨県甲府市の県庁舎が270メートル位で100メートルも差があったから覚えてる」


 桜子が驚く。


「すごいね。すごい高いね」


「でも、長野県内ではそうでもないのよ。長野市役所の標高は360メートル位なんだけど、県内の市役所と町役場と村役場の中では下から数えた方が早いくらいなのよ。1位の川上村の村役場が1180メートル越えだったはずなので、800メートル以上も低いのよ」


 茉莉花が付け足す。


「長野市は千曲川とか犀川の下流方向にあるんだから当然ってば当然よね」


 桜子が質問する。


「千曲川って日本海まで流れてるんだよね」


 茉莉花が答える。


「そうだよ。日本で一番長い川。でも知ってる?新潟県に入ると名前が信濃川しなのがわに変わるのよ」


「え?そうなの?わたし千曲川と信濃川って別の川かと思ってた」


「同じ川よ。ちなみに犀川も千曲川の支流よ。長野市内で千曲川と合流するの。そんで、犀川も上流へ行くと分かれて梓川あずさがわ奈良井川ならいがわって名前に変わるよ」


「わかんなくなっちゃうから変えないで」


「あは。そう言われても」


「信濃川ってどこまで行ってるの?」


「新潟市までよ」


「じゃあ、川沿いに行けば海に出られるんだね」


「いやいや、長野市からなら北上して上越市じょうえつし方面へ出た方が海に近いから」


「じゃあ、長野市の人は海に行くなら上越市?」


「日帰りならね。北信の人は上越あたりの海を勝手に『長野の海』とか『信州の海』って呼んでるよ」


 笑う桜子。


「上越の人、怒らない?」


「怒らないよ。お得意さんだもん。何しろ高速道路で1時間位、下道でも1時間30分もあれば着いちゃう。長野駅は北陸新幹線も通ってるから、乗ってくなら上越妙高じょうえつみょうこう駅まで20分ぐらいよ」


「早~い。あ、じゃあ新幹線で東京駅までだったら、どのぐらい?」


「だいたい1時間30分から1時間45分ぐらいで着くんじゃなかったかな?」


「早いなぁ。新幹線が通ってて良かったね」


「昔、長野で冬季オリンピックと冬季パラリンピックが開催されたんだけど、長野駅まではそれに合わせて作られたらしいよ」


「あ、長野でオリンピックやったの知ってる。茉莉花ちゃん、見たの?」


「いやいや、生まれる前の話だから。たしか1998年だったと思う」


「え?そんなに前なの?」


「みたいよ」


「長野市って色々と歴史のあるとこなんだね」


 茉莉花は笑った。


「あはは。オリンピックは歴史ってほど昔でもなくない?たぶん親は見てるし」


「そっか」


「これぞ歴史って言うなら戸隠神社とか善光寺でしょ?戦国時代なら川中島だし、江戸時代なら松代藩。あと太平洋戦争の頃なら大本営だいほんえいかな」


「大本営?」


「天皇と日本軍の最高機関のことよ。戦争の終わり頃、本土決戦に備えて大本営を東京から長野へ移す計画があったの」


「うっそだぁ」


「ホントよ。松代に巨大な地下壕を掘って、そこへ移すつもりだったみたい。戦争が終わって中止になったけど、予定の8割は完成してて、今も残ってるわよ」


「え?ホントに?」


「一部だけだけど、見学もできるよ」


「うわっ、見たすぎる」


「あら、意外。そういうの興味ないのかと思った」


「なんで?地下壕とか興味あるよ。鍾乳洞とかも好きだし」


「地下壕と鍾乳洞は全然違うでしょ」


「でも秘密基地とかワクワクする」


「まあ、秘密基地って言えば秘密基地なのかな。でも、それを言うなら戸隠に忍者のからくり屋敷とかあるよ」


「なにそれ、行きたすぎる」


「まあ松代大本営もからくり屋敷も、そのうち連れてってあげるよ」


「ホント?」


 雅が苦笑いしながら茉莉花に言った。


「またそんないいかげんな約束をして。絶対に忘れるでしょ?」


 茉莉花はふてくされた。


「失礼な。忘れないわよ」


「だって茉莉花、ヒトの言う『そのうち』なんてやってこないってよく言うじゃない」


「まあ、そのうちはそのうちだからね。別に忘れるわけじゃないもん」


「同じじゃない。見事な詭弁にうっとりするわ」


 桜子が情けない顔で訊いた。


「結局、どっちなの?忘れるの?忘れないの?」


 その顔に、茉莉花と雅は吹き出して笑った。



おまけ 舞台になっている長野市についての会話

――終わり――


次回「第三話 日下部くん その1 可愛い新人」は7/23(火)に投稿する予定です。

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