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霊能力美少女の家 ―逝かせてあげる♡―  作者: 如月るん
第二話 愛しのジョージ
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その2 ホラーな夜

 マンチカンの運転する車の後部座席に私服姿の茉莉花と桜子が乗っている。

 雅は夕食の後片づけでひとり家に残った。

 茉莉花が無感情に言った。


「夜しか出てこれないってことは、かなり弱い霊だと思うけど…」


 マンチカンは運転のため前を向いたまま話す。


「なら、茉莉花の言う通り今夜中に浄霊できるかもな」


 桜子が答える。


「弱い霊だと意思の疎通が難しかったりするから、逆に手間取ったりするよ」


 茉莉花は鼻で笑った。


「そん時は、わたしが除霊するから大丈夫」


「え…?」


 桜子の泣きそうな顔を見て、茉莉花は苦笑いした。


「うそうそ。桜子に任すから」


 問題のオフィスビルには、まだまばらに明かりが灯っていた。

 車を駐車場に停めた時点で茉莉花が反応した。


「ああこのビル、確かにいるね」


 桜子は驚いた。


「茉莉花ちゃん、わかるの?」


「まあ」


「すごーい」


「たいしたことないよ。それより、ここでわかるってことは弱い霊じゃないかも」


「そうなの?」


「夜しか出ない理由があるのかも。それか、この気配が依頼のあった霊とは別口なのか」


「そうだったら、そっちも浄霊しなくちゃ」


「そのフロアの会社にマンチカンが営業かけて依頼があったらね」


「え?依頼が無かったらどうするの?」


「ほっとく」


「なんで?」


「そりゃ商売だからよ」


「…………そっか」


 そう言ったものの、桜子は納得した顔をしていない。中学以前は全て善意だけで浄霊していたからだ。



 ビルの5階へ上がると、出迎えた男性社員は営業スマイルを少し引きつらせて言った。


「ウチの事務から話は聞いていますが、まさかこんなに若いお嬢さん方だとは思いませんでした」


「若くても実績は充分ありますから、大丈夫です」


 マンチカンが営業マンを相手に完璧な営業スマイルを見せる。

 だが、男性社員は訝しげな表情で言った。


「いえね、除霊をするお坊様方とうかがっていたので、てっきり袈裟を着た厳つい男性の集団がおみえになるのかと思い込んでいました。まさかお坊様まで、なんと言いますか……こんなに……今風な方だとは…」


「必要な時には袈裟も着ますが、厳つい坊主が出張ってくると、かえって霊に警戒されたり恐がられたりして、出てきてもらえないんです」


「そんなものなんですか?」


「今日は調査だけですからね。実際に浄霊する際には、この娘たちも正装しますから」


「へー」


 全てマンチカンのウソだが、男性社員は概ね納得したように言った。


「では、あとはご自由にどうぞ。社員は私を含めて五人残っていますが、たぶんみんなすぐに帰ると思います」


「えっ?早いですね。それにもっと大勢残ってらっしゃるのかと」


「日々目撃者が増えるので、みんな怖がっているんですよ。見ていない私だって怖いですから」


 男性社員が去ったあと、茉莉花は指示を出した。


「マンチカンは向こうの奥から、わたしは反対から見ていくわ。桜子はこの辺からわたしの方へ向かってきて。見つけたらグループLINEで知らせてね」


「う、うん。グループLINE…ね」


 慣れないスマホ用語にドキドキしながら桜子は返事をした。


 桜子も、やっとスマホを手に入れた。ショッピングモールへ行ったとき、茉莉花たちと連絡を取り合う手段が無く、不便に思った茉莉花に買い与えられたからだ。

 いや不便に思ったというよりも、茉莉花は桜子がスマホを持っていなかった事に単純に驚いた。


「え?この世にスマホを持ってない女子高生なんているの?」


 などと悪気もなく言う。

 もちろん桜子もスマホが欲しくなかったわけではない。

 ただ、実家では母親が一人で桜子と妹と病気がちな祖母を含めた四人家族を支えていた。金銭的にもギリギリなのはわかっていたので、スマホが欲しいなどとは言い出すことができなかった。

 そんな桜子だから、茉莉花がスマホを買ってくれると言ったときには最初はつい遠慮をした。けれども仕事上必要であること、費用などは全て経費で落とすことなどを言われて素直になった。

 そのスマホが今回さっそく役に立つ。


 一同は別れて探索を始めた。オフィスを一部屋ずつ丁寧に確認していく。

 桜子が最初の部屋を確認し終わって出ると、廊下は静まり返っていた。心細くて誰か出てこないかと廊下の先をふと見ると、そこには白いワンピースの女性がこちらを向いて立っていた。


「――!」


 桜子にはそれが霊だと一瞬でわかった。

 霊の髪はセミロング位だろうか。前髪がたれ下がっていて顔は見えない。白いワンピースは飾り気がなく、腕をダラリと下げたままで、その姿はステレオタイプな幽霊そのものである。

 それだけならば誰かが変装しているとも考えられるが、こちらへ向かってくる動きが普通ではなかった。全身が不自然に揺れ、揺れたと思ったら消え、次の瞬間には少し手前に出現しているといった具合だ。まるでホラー映画の演出のようだ。


 桜子は思わず目の前の女子トイレへ逃げ込んでしまった。

 逃げ込んでから桜子は後悔した。トイレに逃げ道など無い。とにかく隠れようと一番奥の個室へ入って鍵を閉めた。

 しばらくすると、トイレに誰かが入ってきた。ヒタヒタと足音が聞こえる。その足音が近づいてくる。そしてドアの前で止まった。

 何も起きない。息を殺して聞き耳を立てる。

 いきなりドアがガタガタと揺すられた。開けようとする者がいる。


「――!」


 声が出そうになるのを口に両手を当てて必死に飲み込む。

 ドアの音が止む。ヒタヒタとした足音は遠ざかっていき、聞こえなくなった。

 静かに大きく息を吐く桜子。ドアを見つめる。

 伸ばした手を引いたりして少しためらっていたが、小さく頷いてドアをそっと開ける。隙間から外を覗く。何もいない。

 ドアをさらに開く。個室を出る。そのとき――。


『ウフフフフッ…』


 桜子は背後から冷たく響く笑い声を聞いた。体はビクリと跳ね、意思に反して振り向いてしまった。

 いま出てきたばかりの個室に、いるはずのなかった白いワンピースの女性が立っている。


「きゃあああああっ!」


 桜子は女子トイレを転げ出た。そのまま足をもつれさせながら廊下を走る。けれども結局は派手に転んでしまった。


「ぷぎゃあ」


 悲鳴を聞いて目の前のオフィスから女性社員が出てきた。

 おそらく霊の存在を気にしているのだろう。左右を見回して何もいない事を確認したあと、桜子を見て言った。


「大丈夫?」


「だ、だ、大丈夫です」


 お尻よりも顔のほうが床に近い変な格好のまま、桜子は見上げて答えた。


「そお?大丈夫そうには見えないけど。パンツ丸見えだし」


「――!」


 持ち上がったお尻は見事にスカートが捲れていた。それを桜子は慌てて直しながらジタバタと起き上がった。

 それを待ってから、女性社員は半笑いで言った。


「コーヒーでもどお?ひと休みして落ち着きなさいよ」


 女性社員に手まねきされて、桜子はお言葉に甘えることにした。



 オフィスの中にはその女性社員しかいなかった。

 桜子が座らせてもらった前のデスクに女性社員が紙コップのコーヒーを置いて言った。


「ウチが売り込みしてるコーヒーサーバーのコーヒーよ。あんまり美味しくないけど…」


「ありがとうございます」


 桜子は紙コップを両手で持ち上げ、注がれたコーヒーを少し見つめてから一口すすった。

 女性社員も自分の席に座ってコーヒーを一口すすってから言った。


「見事な悲鳴だったけど、幽霊いた?」


 桜子は赤くなり、気まずそうに答えた。


「まあ…」


「ふーん、いたんだ。噂ばっかり広まってるけど、社内で見たって言ってるの、実はそんなに多くないと思うんだよね」


「あなたは信じてないんですね」


「違う違う。めっちゃ信じてるよ。でもあたし、霊感とか無いのよね。残念なことに」


「霊感あったって、いい事なんてないですよ」


「そうなの?」


「だって、言っちゃえばみんな死んだ人じゃないですか。助けたいって思っても、生き返らせることが出来るわけじゃないですもん」


「なるほど……というか、幽霊に対して助けたいって思えるんだ。さすが霊能者」


 そのとき背後から話しかける人がいた。


「神田、まだいたの?」


 声の主は出迎えてくれた男性社員だった。

 神田というのは、今まで話していた女性社員のことらしい。

 神田が答える。


「仕事が終ってないので…」


「いや、毎晩毎晩ムリしすぎでしょ」


「だってこんなまずいコーヒー、小細工しないと売れないもん」


「バカ、お客さんの前でまずいとか…」


「だってまずいじゃんネェ」


 いきなり「ネェ」と話を振られて桜子は慌てた。


「いえ、まずいってほどでは……」


「ほどではないけど、美味しくもない……だよね」


「あの、えと、その…」


 出迎えの男性社員は溜め息をついた。


「とにかく、早めに切り上げて帰れよ。おまえ、このまえ顔色悪かったじゃないか」


「大丈夫。今は元気だし。それに出来れば幽霊に会ってみたいし」


「うわ。またバカなこと言い出したよ、こいつは」


「えー?幽霊だよ。会いたいじゃん」


「イヤだよ。オレもうホントは帰りたいもん」


「早くない?」


「さっきの悲鳴みたいな声、聞こえなかった?まさかおまえじゃないよな」


「あそれ、この娘」


 指をさされて桜子は苦笑いした。

 男性社員は桜子に合わせて苦笑いをしたあと、急に真顔になって言った。


「ゴーストバスターが悲鳴をあげるんじゃ、よけい恐いわ。他の三人も悲鳴を聞いて、そそくさと帰っちゃったよ」


「あらま。怖いなら、あんたも帰っていいわよ。お客さんはあたしが対応するから」


「いや。でも、悪いし…」


「いいからとっとと帰れよ、チキンボーイ」


 神田に手の甲でシッシッと追い払われて、男性社員は「悪いな」と一言残して去っていった。

 それと入れ違いに茉莉花が入ってきた。


「あ、いた。なんかあった?」


 桜子は申し訳なさそうに答えた。


「わたしが悲鳴をあげたら、この神田さん以外の社員さんたち全員帰っちゃった」


「あーあれやっぱ桜子の悲鳴だったか」


「ごめんなさい」


「いや、それはいいんだけど、ってことはいたの?」


「うん、いた」


「どんなやつ?」


「前髪で顔が隠れた白いワンピースの女性。廊下にいたはずなのに、いきなりトイレの個室の背後に現れて怖かった」


「なんだ?それ。ステレオタイプが過ぎるでしょ。ホラー映画なんかで怖がってるから、幻覚でも見たんじゃないの?」


「違うよ。ちゃんといたもん」


「ならLINEくれればよかったのに」


「あーっ!そうだったぁ!」


 スマホを取り出して情けない顔をする桜子。それを笑う茉莉花。


「あははっ。普段から、もうちょっと使い慣れとこっか」


「でも、LINEなんてする余裕なかったよ」


「直電でもいいのよ?まあ悲鳴で察したからいいけど」


 桜子は下を向き、恥ずかしそうに上目づかいで訊いた。


「そんなに響いてた?」


「けっこー。そえばマンチカンのヤツは?来てないの?」


 そう言いながら茉莉花は辺りを見回した。


「うん。来てないよ」


「っかしいなー。悲鳴、聞こえたでしょ。ぜったい」


 桜子は立ち上がった。


「ねえ、心配じゃない?見にいかない?」


「心配ではない……けど、見にいってやるか」


 茉莉花が歩きだしたので、桜子は神田に「ごちそうさまでした」とだけ言って慌てて追いかけた。


 廊下に出てスタート地点のエレベーター前まで戻ると、茉莉花と桜子は立ち止まった。その廊下の先がマンチカンの担当のはずだ。

 ところが、そちらの方には人の気配が感じられない。


「なにかあったのかなあ」


 茉莉花の顔を見ながら桜子が不安げに言うと、茉莉花は低い声で答えた。


「…かもね」


 茉莉花は一点をじっと見つめている。桜子がその視線を辿ると、さっきは何もいなかったはずの廊下の突き当たりに、あの白いワンピースの女性がいつの間にか立っていた。今度は向こうを向いている。

 ワンピースの女性の霊はしばらく佇んでいたが、ゆっくりと振り向いた。いや振り向いたと言っていいのかわからない。なにしろ横からではなく上からだ。そしてそのまま体をそらせ、手をついてブリッジの体勢になった。顔はしっかりこちらを向いている。

 女性の霊はその格好のまま、こちらへ向かって歩き出した。動きが虫のようで気持ち悪い。

 茉莉花は桜子が今まで聞いたことの無いような上ずった声を発した。


「こわっ。……超こわっ」


 そして、慌てて目の前のエレベーターの下のボタンを連打した。


 霊はゆっくり近づいてくる。ブリッジしているので、霊の顔は今は髪の毛で隠れていない。怨めしげに濁った目と狂気に満ちた笑みを浮かべる真っ白い顔が見えていた。


「ひっ!」


 桜子は小さく声をあげた。

 そのときエレベーターが到着した。茉莉花と桜子は扉が開くのと同時にドタバタと乗り込んだ。

 乗り込む直前に視界の端で見た霊は逆四つ足のまま迫ってきていた。

 茉莉花は閉まるボタンを連打した。ゆっくり閉まる左右の扉がもどかしい。

 完全に閉まるのと同時に茉莉花が1階のボタンを押すと、エレベーターはすぐに下がり始めた。ホッと胸を撫で下ろしたあと、茉莉花は興奮ぎみに言った。


「なんだあれ、なんだあれ、Gか?きもっ、こわっ」


 桜子も恐怖で顔はひきつっていたが、茉莉花がいるので少しは冷静だった。


「マンチカンは?置いてきちゃったよ?」


「まあ、大丈夫でしょ」


「心配じゃないの?」


「心配じゃないわけではないんだけど戻りたくないし、下に着いたら電話……」


 そう言いかけたとき、冷たい笑い声がエレベーター室内に響いた。


『ウフフフフッ…』


 声は頭上からである。茉莉花と桜子はほぼ同時に反射的に見上げてしまった。そこには天井を背負うように女の霊が下向きに張りついていた。


「きゃあああああっ!」


 茉莉花と桜子は二人して叫び声をあげ、その直後にエレベーターが1階に着いた。体が通る幅まで扉が充分ひらくのも待たずに二人は抱き合う形で無理やり通り抜け、後ろを振り返らないままビルの出口へ向かって走り出す。顔は必死だ。

 二人が1階の出口前のロビーを通り抜けようとすると、ソファに腰をおろして缶コーヒーを飲みながらスマホをいじっているマンチカンが目に入ってきた。走りながら茉莉花が叫んだ。


「このヤロー!!なにサボってんだ!!車を出せー!!」


「なんだ?どした?」


 マンチカンは立ち上がった。



 車の狭い後部座席で茉莉花が体を丸めて長い足を思いきり持ち上げ、運転席のシートの背を何度も蹴りながら言った。


「ふざけんじゃないわよ、このチカン野郎」


「やめろ、こらっ。運転ミスるだろうがっ」


 前を向いて運転するマンチカンが無抵抗なのをいいことに、茉莉花は更に強く蹴りながら言い放った。


「事故ってしまえ」


「そしたらお前らも巻き添えだぞ」


「事故ってあんただけケガしろ」


「なんてこと言うんだ。…ってか、なんなんだよ。休憩してたぐらいで…」


 そこで桜子が余計な口を挟んだ。


「茉莉花ちゃんは心配してたんだよ」


 当然、茉莉花は強く否定した。


「なっ……こいつのこと心配なんてするわけないじゃないっ」


「でもさっき心配だって…」


「心配だとは言ってないっ」


「あれ?そうだっけ」


「そうよ!」


 そこで少し考えてから、桜子は更に余計なことを言った。


「あ、そうか。茉莉花ちゃん、ツンデレだもんね」


「ちがーう!」


 とばっちりに対するマンチカンの苦情を無視して、茉莉花はその長い足でシートの背を何度も蹴った。





「なんなのよ、あれ!」


 茉莉花が自分の座るソファをバンバンと叩く。同じソファに座る桜子はびくびくしていた。

 いつものリビングのテーブルにはコーヒーカップが四つ並び、それぞれの前には茉莉花、桜子、雅、マンチカンが座っている。

 マンチカンがアクビをしながら伸びをした。


「オレ、もう帰ってもいいかなぁ」


 茉莉花が再びソファを叩く。


「ふざけないで。会議中でしょ」


「会議って…。おまえが逃げ出したことを悔しがってる話しかしてないじゃん」


「悔しがってない!」


「いや、なんでもいいけど眠いよ、もう」


「あんたが持ってきた依頼なんだから、最後まで責任もちなさいよ!」


「じゃあ、今夜ここに泊まっていい?」


「いいわけないでしょ。バカなの?」


「えー?マジで帰りの運転、事故りそうなんだけど」


 そこで雅が疲れた顔で促した。


夫婦めおと漫才まんざいはいいから、そろそろ話をまとめてよ。茉莉花」


 茉莉花は膨れた。


「誰が夫婦漫才よ!」


「マンチカンじゃないけど、あたしもそろそろ眠いのよ」


 しょんぼり顔の茉莉花。


「雅、冷たい。霊に襲われたんだから、もっと優しくして」


「襲われたんなら、スピッツなんとかファイヤーを撃てばよかったでしょ?」


「スピリチュアルフレイム…ね」


「なんでもいいけど、そんな狂暴なのは除霊しちゃえばいいじゃない」


「いや、除霊していいなら逃げたりしないわよ」


「ダメなの?」


「だって桜子が泣くもん」


 名前を出された桜子が、びくりと顔を上げる。


「えっ?なに?」


 みんなを見回しながらキョトンとしている桜子。話を聞いていなかったのが明らかだった。

 茉莉花は溜め息をついた。


「とにかく、全くわからないから話なんてまとまんないわよ。襲ってくるのはいいとして――」


「あ、いいんだ」


 マンチカンがヤケクソ気味にツッコミを入れる。それをジロリと睨みながら茉莉花は続けた。


「なに?あのブリッジ。なに?あのGな動き。エレベーターの天井に張りつく意味は?なんで顔、白いの?」


 マンチカンは面倒くさそうに言った。


「そこ、こだわるとこか?」


「だって、不自然じゃない。街を歩いてて顔の白い人なんて見たことある?事故にあって頭が割れてる霊のほうがよっぽど自然よ」


「血の気が無かっただけじゃないの?」


「そんなレベルの白さじゃないわよ。完全に舞妓はんみたいだったもん」


「舞妓はんって…。よっぽど怨みがあって、それがそんな自己表現になったんじゃ?」


「ブリッジもGな動きも天井張りつきも怨みの表れって?どんな心理状態よ」


「そういうのは桜子のほうが……」


 桜子を見ると、目をつぶって船を漕いでいる。雅も珍しく無防備に眠そうな顔をしていた。茉莉花は諦めた。


「今日はお開きにしようか」


 茉莉花は桜子の肩を揺すった。


次回「その3 異世界のツンデレ姫はホントは勇者を守りたい」は7/2(火)に投稿する予定です。

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