観念する
ここで終わりとなります。
おつきあいくださった方、目をとめてくださったかた、
ありがとうございました!
きっと、大笑いするだろうと思った坊ちゃまの笑い声が響かない。
ふいに、背中に重いものがのっかった。
「それ、買います。できればもっと、材料があるといいなあ。 成仏できるまで、観察、というか、ずっと追い回してくださいよ。 あ、成仏する瞬間とか、絶対に逃したくないなあ。 あ、それと ――」
耳元で楽しそうに続く注文を聞き終わったら、今度こそ、絶対に、絶対に殴ってやろうと心に誓う。
ところが、注文を続ける中、突然お坊ちゃまが女のように甘える声をだした。
「 ―― ああ、ヒコさん。 そういえば桜ももう、終わっちゃいますよ。さっさと殴ってもらって、花見に行きたいんですけど?」
うしろからのぞくお坊ちゃまの眼も、ガラス玉みたいだと考えるが、あの猫とはちがう。
「・・・あんた、おれに、船漕がせる気でしょ?」
「きれいどころも呼びますよ。 さあ、早く」
「もお、いいです。殴る気も失せやした」
「そうですか?じゃあ、花見、行きましょう」
「・・・・ろくでもねえ・・」
「なんですか?」
「いや、べつに。お坊ちゃま、どいてくださいよ。観念してお供しやしょう」
自分にはわからない《心の動き》が、この世の中には多くあって、それはこの世の中のどこにでもあるのかもしれない。
自分がしらないだけで、きっと、あの、乾物屋の『入った』黒猫みたいな存在も。
「 とりあえず、桜の散りぎわでも見届けますかい」
桜の花びらを見送り、それについてすこし、考えることにしようか ―――。
読んでくださった方、ありがとうございました!
《小分け版》いかがでしたでしょうか?
やはり、元がながい、と感じました・・・。スマホのかた、申し訳なかったです。。。




