表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
西堀の隠居のはなし《小分け版》  作者: ぽすしち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/52

いや 実は


 

池の向こう側の離れ。


 すう、と障子がひかれると、そこからまず先に、座布団が出てくる。

 縁側の板にそれが置かれると、ゆっくりと隠居が現れ、そこへ座る。


 池のほうをじいっと見つめる。


 

 池のむこうがわで、社の土台を作る大工達の様子をながめながら、―― 口を、動かした。




「―― ・・ありゃあ、ひとりごとだ。おれたちに話しかけてんじゃあねえ」




 ぼそぼそと口を動かす年よりは、ふいに口をつぐみ、頭を動かし、そして、笑う。




「なんだか、だれかの話にうなずくみてえに笑うのさ」


 

 それはそれは、なんとも嬉しそうな顔を、こちらにむけられ、職人達は、そろって目をそらし、あわ立った肌をさすった。


 困ったことに、気味が悪いだけで、これといった害はない。

 だが、気は散る。



 お社は、かなり気を集中させる作業を必要とするのだ。

 宮大工まではいかずとも、釘を使わず、木を喰わせることでつなぎあわせていかねばならないし、細工もこまかい。

 

 

 棟梁が、さすがに息子に訴えでれば、いや実は――。と、座敷に招かれた。

 



 ここだけの話にしていただきたいのですが、どうにも、ボケてきたらしくて 


 ――と、重ねた手をさすり、腰を落ち着きなく浮かす息子は、このところ理解できない言動をするおのれの父親を語り、鼻をすすりあげた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ