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親父のせい
「 きっと、―― それとなく、関係をもった者に、告げたんでしょう。 お店をやめるように」
「かぁ・・・で、あんなに働き盛りが、いっぺんにやめちまった、と・・」
残ったのは、引退も近い大番頭と年寄り。
まだ、商売もできないような小僧数人。
「若旦那は、 ――怨んだでしょうね」
「 ―――― 」
結婚から反対されていた。
嫁いでくればいびられるように怒られ続け、あっという間に亡くなった若い嫁は、真相を知らぬセイイチにしてみれば、天真爛漫なかわいい女だった。
それが、
―― 通夜の席でも父親は何も言わない。
しかも、喪が明ければ、揃って皆が辞めると言い出す。
どこをどう考えてみても、
―――親父のせいだ。




