親子の仲
暗くいやなはなし はじまります
「『今度のこと』は、結局セイベイさんとセイイチさんの、うまくいっていない《親子関係》から始まったんですよ」
「・・はあ?」
「ぼくが小さい頃から、『とめや』さんの大旦那さんは、息子さんに厳しかった。・・・ぼくも覚えてるぐらいですからね。セイベイさんは元々お店の人にも厳しい。 それに加えて身内でしょう?奥さんが亡くなられてからは、だれもうまくセイベイさんとセイイチさんを、とりもってあげられなかった。 ・・・ちょっと、セイイチさんが気の毒だな」
ため息のように笑い、ヒコイチの湯飲みにも、お茶をいれる。
「自分は身を引く歳になり、その息子に、不満ながらもお店を任せることにする。 なのに、実権は、大番頭さんを通してまだ大旦那が握ってる。 ―― セイイチさんは、なんとも息苦しかったでしょうねえ」
「まあ、でもおれがみても、若旦那はなんだか頼りねえっていうか・・・」
「そう。頼りない。店が心配だ。 でも、少しづつでも渡していかなくちゃいけない。 そんな中で、今度は息子が結婚すると言い出した。 相手は全くはたけのちがうところからの嫁。どうやら、若旦那のひとめぼれで、勝手に話をすすめてしまった」
「よく、調べましたね」
「ご近所のおかみさんたちは、よく知ってましたよ。縁談にもっていくのに、若旦那が、近所の商店の旦那さん方の口ぞえをもらったらしいですから。 セイベイさんにしてみれば、自分をさしおいて、そんな方面に頼んだ縁談が、よけい気に食わない」
「あのじいさん、そういうのきらいだからなあ・・」




