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西堀の隠居のはなし《小分け版》  作者: ぽすしち


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32/52

おさまる



 そのまま、離れに通されると、隠居のそばに、サネがいた。


 目が合えば、ああヒコさん、と力が抜けたような顔をむけられる。



 一緒に入った息子は、親父どうだい?と、布団にふせた父親の顔をのぞきこみ、手を取って撫でてから、サネに頼んだよ、といって母屋へ戻った。



 なんとなくそれを見送っていると、「おい、ヒコ」と、聞きなれた声がかかった。



 振り返れば、身を起こしてサネに羽織をかけられる年寄り。



「・・・なんでえ・・。元気そうじゃねえか」



 髭はのび、少しやせたようだが、噂に聞いたように、言葉が出ないなどということもなさそうだ。



「毒団子食ったのに、いきなり元気になったらおかしかろう」


「・・・・まさか・・」


「食ったよ。だが、ほんのひとかけだ。それもすぐに、水で吐いたけれどね」


「はあ?ならべつに元気になったって、いいじゃあねえか」



「ヒコさん? あんた、一条のお坊ちゃまに」いきなりサネがとがった声をだす。



「まあ、いいさいいさ」


 隠居はサネの言葉をさえぎり、片手を振った。


「―― こいつはな、こういう馬鹿なところがいいのさ」



「な、・・・このモウロクじじい、てめえが」



「今度のことはな、この『とめや』のなかの揉め事が、ところどころ漏れでて、おかしな噂がたってしまった。 ご先祖様に申し訳が立たないが、これでどうにか、―― おさまるさ」


「おさまる?」


「おまえにも、おかしなかたちで迷惑かけて、すまなかったね」


「いや、べつにおれあ・・・」


「 一条の坊ちゃんに、よろしく伝えておくれ。 『おかげで、おさまりました』とね」


「おかげで?」






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