表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
西堀の隠居のはなし《小分け版》  作者: ぽすしち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/52

理由がある


「ぼくも小さい頃セイベイさんに怒られたけど、やっぱり、みなさんも、隠居する前は、よくおこられたんですか?」


 サネは、あらどうも、と作業を中断し、早々に包みをしまいこんだ。

「―― まあねえ。でも、大旦那様の言うことは、だいたい正しいと思うわ。 虫の居所が悪くて店の者にあたる、なんて、決してしないさ。 叱るには、ちゃんとした『理由』があるから、叱られる。 みなわかってるんだよ。 ただ、・・・あそこまではっきり言われると、周りに人が寄らなくなるからねえ。 あたしなんかが言うのもなんだけど、 ・・・大旦那様は、人との接し方が、へたなのさ」



「―― なるほど。『ちゃんとした』理由を見逃さないほど、《店の中をよくみている》。と、いうことですね?」


 なんともきれいな笑顔をむける男を、サネは眉を寄せて見上げ、ヒコさん、と助けを求めるような声をだした。


「・・・この人、何なんだい?」

 

 不安げなそれに、すぐには返せないヒコイチの代わりに微笑む男がこたえた。



「一条ノブタカと申します。 ヒコイチさんの友達です」


「だ、だれがっおれの」


「 だから、 そのヒコさんのお友達のセイベイさんを、貶める真似など、決していたしません。 ちょっと教えてほしいのですが、確か、 ―― 大番頭さんは、セイベイさんとあまり歳がかわらないはずだ。若い番頭さんは、 ―― 辞めたのですね?」



 ヒコイチの抗議など、まったく意に介さず唐突に誓って、なにやら問う男の顔と、ヒコイチを見比べた女は、とたんに、なんだか怒ったような、情けないような顔になり、  一歩さがると、お坊ちゃまに頭をさげた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ