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きっと ろくでもない
「 でも、それだったら逆に、息子さんもとりこんじゃった方がいいのに。 《乾物屋さん》が成仏してないって思わせられるようなことできるなら、それを息子さんの前でもやってみせて、『大変だ。このままじゃあこちらのご商売にもさわりがありますよ』って。 ぼくだったら、ぜったいそうするけどなあ」
「・・・あんた、ろくでもねえな・・」
「そのお社、じゃなくて祠か、・・・なに入れるんだろう・・・う~ん・・・ねえ、ヒコさん」
「・・なんでえ・・その、顔は・・」
「ぼく、たまには着物でもあつらえようかと思いましてね。セイベイさんに口をきいていただけますか? それと、 ―― サネさんていう女性、大福も好きですかねえ?」
「・・・いいけどよ、おれあ、あんたとは、行かねえぜ」
「いいですよ。子どもじゃないですから、ひとりで行けます」
「・・・いく」
はい?とおもしろそうにお茶を飲む男へ、残った大福を詰め込んだ口から粉を飛ばして叫んでやった。
「行きます、いっしょに行きやす! 何たくらんでんのか知らねえが、ろくでもねえことに決まってらあ!」