1pt ポイント活用始めました
この作品は今日中に全て投稿し終わる予定です。
「……ん?何だこれ?」
いつものように帰り道を歩いていると、俺は1枚のカードが落ちていることに気がついた。拾ってみてそれが何か確認すると、
「ポイントカード?」
ポイントカード。とだけ表には書かれている。どこのポイントカードかも分からないし、何によってポイントが溜まるのかもよく分からない。
裏面を見てみると、そこには別のことが書かれている。幾つか四角が並んでいて、数字が割り振られていた。おそらくここにポイントを溜めるスタンプが押されるんだと思う。そして、その上にはName___という物も書かれている。記名するのか。
「まあ、何に使うかも分からないし捨てておくか」
俺がそう呟いて、落ちているところに戻そうとしたとき、
ピカッ!
「っ!?」
突然光が俺の目を覆い、俺は思わず目を閉じ、更に手で目を隠した。
それから数秒後、俺がゆっくりと目を開けると、
「……あ、あれ?増えてる?」
ポイントカードが増えていた。俺はいつの間にか数枚のカードをつまんでいる。
少し怖くなりつつも、カードを1枚1枚確認していく。見た目は大きく変わらないが、表のポイントカードと書かれた下に文章が追加されていた。そこに書かれているのは、
「これは、挨拶をしよう。これは、ゴミを拾おう?これは、人を倒そう??」
おそらく何をすればポイントがたまるのかを説明しているのだと思う。表に書かれているのだからそうだとしか思えない。
だが、これは頭が痛いな。普通ポイントカードと言えばどこかで買い物を何円したら何ポイントみたいな物のはずだ。だが、これはそんなものではなく、俺の行動が書かれているのだ。誰がポイントを追加するのかも分からない。
「……怖いけど、やってみるか」
俺は歩き出す。こんなモノはまやかしだと。遊びでしかない、と。そう思いたかったからこそ、脚を動かす。目の前にあった捨てられた缶を拾うために。
……それから数ヶ月後。
「ふぅ~。大量にポイントがたまったなぁ」
俺はそう呟いて、ポイントを溜めて交換した物を見つめる。
このポイントカード、恐ろしいことに本当に俺の行動でポイントがたまるのだ。挨拶をすれば挨拶をしようのカードにいつの間にかスタンプが押されて、ゴミを拾えばまたそれのカードにスタンプが押されて。
だが、このカードの怖いところはそれだけではない。ある程度ポイントを溜めると、ポイントと引き換えに物を交換できるのだ。例えば、
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10PT特典
・Tーシャツ500枚
・米500Kg
・ノートPC20代
……etc.
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こんな感じだ。魅力的な者も多いので、俺が交換したの物はいくつかある。その中でも特に気になるのがこれだ。
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・監禁チケット5枚
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交換に必要なポイントは50PT。他に比べるとかなり溜めないといけない物だったが、まあ難しくはなかった。
最初こそ換金チケットかと思ったんだが、どうやら違ったみたいなんだよな。
使おうとすると、
『対象を選択して下さい』
という文字が目の前に現われて、近くの人に矢印が現われたのだ。とりあえずこれはただお金に替わるチケットではないということが分かる。
きっと誰かを本当に監禁することが出来るのだろう。普通はあり得ない話だが、ポイントカードのお陰でとっくの昔に俺の中の常識は壊れている。今更その程度で動揺はしない。
「なぁ。星川、何見てるんだ?」
「ん?いや、ちょっとな」:
突然友人に話しかけられ、俺は肩をふるわせる。少し引きつった笑顔を返して誤魔化しておいた。
友人が言う星川は、俺の名字。俺の本名は、星川佐曽利だ。
さて、そんな俺の名前なんてどうでも良いとして。俺の持っている監禁チケットの効果を確かめたい。折角人知を超えた力があるんだから、使わない手はないだろう。
ということで、俺が見ているのは、
「やめて!やめてよぉ!」
「ギャハハハッ!泣いてるんだけどぉ」
「ブハッ!マジキモい!」
「うわぁ~。泣くとか無いわぁ~」
亀のように縮こまり、それを数人に踏みつけられている女子。因みに踏みつけているのも女子である。
これは所謂イジメというやつだな。誰にも隠さずにイジメは起きているのだが、誰1人としてその女子を助けようとはしない。かなり前に助けようとした数名が、逆に返り討ちに遭ってるからな。誰も被害は受けたくないだろう。
学校側も把握はしていると思うが、対処する気配は一切無い。なんだか闇を感じるよな。
「じゃ~なぁ。明日も制服汚してやるからちゃんと来いよぉ」
「じゃあな。汚物ちゃん」
「ひぐっ。も、もうやめてよぉ」
涙を浮かべている彼女だが、いじめっ子達はそれで更に笑みを深めて去って行く。あのイジメがなくなることはないだろうな。
誰もが同情する視線は向けながらも、いじめられた女子へ近づこうとすらしない。俺だって今までそうだったのだから、批判することなんてできやしない。
が、
「なぁ。大丈夫か?」