LG本社でのテスト
会議室でアイマスクをした状態で、瞑想することになった俺。なんだか緊張するな。
「本当に彼はアイマスクをした状態で、部屋の人数が分かると言うのかね」
お偉いさんと思わしき人の声がする。
「それを今から確かめるのです」
俺は部屋に通され、椅子に座らされる。
「では瞑想を開始して下さい」
そこから三分弱瞑想をした。すると部屋にいる人の気配や息遣いが聞こえてきた。その後五分経つ頃には、完全に部屋にいる人を掌握出来た。
「はい、分かりました。二十人です」
「おお、正解です」
「では、これではどうですか?」
部屋に何人か出入りする。
「今の人数は分かりますか?」
「はい、八人です」
今日遊んでいた子供達と同じだな、と思った。
「正解です」
その後、何度か同じやりとりをされる。そろそろ俺も飽きてきたところで、
「はい、瞑想の効果は本当だと証明されました」
と声がかかった。
アイマスクを外される。
「ただ、どうしてこういう結果になったのか、我々も分からないのですよ。他のプレイヤーでも瞑想している人がいますが、ここまで影響が出たと言う報告は受けていません」
「もうこれは、伊原さんの才能としか言えないのです。それ以外言葉が見つかりません」
あちゃー。奈央の言っていた通りの展開になってしまった。
「じゃあLGをやることで、才能が開花したということですか?」
「はい、その通りです」
「他にも才能が開花した事例はあるのですか?」
「はい、筋トレの効率が上がったとの報告を受けています」
うわぁ、それ絶対アックスだろう。と思ったが口にはしなかった。
「分かりました。才能なら存分に伸ばそうと思います」
「ええ、どうぞ良い方面へお使い下さい」
「では私はこれで失礼します」
そう言って、俺は五階の会議室を出る。男性に案内されるまま、一階へと戻る。
「ではまた、不具合などがありましたら報告よろしくお願いします」
「はい、失礼します」
脳波とか取られるのかと思ったが、意外と簡易的なテストで終わって良かったな。そうだ。帰りにたこ焼きでも買って帰ろう。
自分の才能に気づかせてくれたLGには感謝だ。ルンルン気分でたこ焼きを買う。
「はいよ、二パックね」
おっちゃんからたこ焼きを受け取った。
電車で一時間半かけて我が家に帰って来た。もう奈央もLGをやめて、夕食を食べていることだろう。
鍵を開ける。
「ただいま」
「お帰りなさい。ご飯出来てるよ」
「こっちはお土産にたこ焼きを買ってきたよ」
「ありがとう。ひさびさのたこ焼き嬉しい」
「どういたしまして」
夕食とたこ焼きを食べ終わってから、俺と奈央は話をした。どうやら瞑想の効果は、奈央のにらんだ通り、才能であったこと。会議室に連れ込まれ、アイマスクをした状態で、部屋に何人いるか当てさせられたことを話した。
「やっぱり才能だったのね」
「ああ、努力うんぬんじゃないらしい。奈央には悪いことしたな」
「あたしはさっきまで、瞑想してたとこ。相変わらず人数なんて分からないから、自分の努力の足りなさを悲観してたとこ」
「そうだったのか。じゃあ努力が関係ないと分かって良かったな」
「ホントだよ。もっと早く知りたかったな」
「すまん。すまん」
「今夜はLG無しで、寝よう」
「おう。分かった」
食器洗い、お風呂、歯磨きをすると、その日は早々に二人とも眠りについてしまった。
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