ハンバーガーショップ
そうして曲芸師ギルドに着いたのは、夕御飯の時間だった。
「何か食べたいものはあるか?」
リンが聞いてくる。
「俺はハンバーガーが食べたい」
と言うと、
「ハンバーガー?」
と頭にクエスチョンマークを浮かべるような顔のリンが見れた。
「ハンバーグは知っているぞ」
と言うので、
「ハンバーグをパンで挟んだ食べ物だよ」
と説明した。
すると、コッペパンにハンバーグを挟んだ食べ物を出してきた。
「あはははは!」
久しぶりに大笑いした気がする。
「何が可笑しい?言われた通りに作ったぞ」
「いや、ごめん。ごめん。そうだよね、パンズとかLGにはないもんなー」
「パンズとはなんだ?」
「丸いふっくらしたパンだよ」
「それなら作ってみる」
「少し甘めなのが、コツだよ」
「分かった」
「リンさん、夢中になってパン作りに励んでますね」
「ああ、リンが熱中している間に、こちらもアクセサリー作りを始めますか!」
「私はお二人を見学していますね」
曲芸師ギルドには、工房のようなところがあり、そこを使わせてもらっている。結構奥の方にある。
プラチナを切断して、三分の一ほど使う。熱したプラチナを剣の形にして、真ん中だけ楕円形に凹ませていく。これにも判定があったので、メーターは振り切った状態で打つ。すると、壊れにくいが傷つきやすい、と言った説明が出てきた。壊れにくいならグッジョブだろ。
次に判定があったのは、グレーダイヤモンドを嵌め込む時だった。ピキッと音がして見てみると、グレーダイヤモンドの中心にヒビが入ってしまっていた。
「大丈夫か、これ?」
見ていたユミも心配そうに
「失敗ですか?」
と聞いてくる。
説明を読むと、中心にヒビが入ってしまったものの、効果影響はなく、むしろ威力が増している。ただし、グレーダイヤモンドの価値は大幅に下がった。と書いてあった。
「大丈夫。大成功だぜ、これは!」
と言って両手をガッツポーズにする俺。
「おめでとうございます」
ユミも拍手してくれる。
ポーンと頭の中で音がした。アクセサリー職人がレベル-10になったのだ。
「こっちも出来たぞ。ケンにユミ。試食してくれないか?」
そこには、パンズに挟まったハンバーグがあった。
「美味い」
「美味しいです」
「後はレタスとトマトとチーズを挟めば完璧だな」
「レタスとトマトがないぞ。チーズはある」
「このチーズ、塊だな。薄くスライスして使うんだ」
「ほうほう」
「とりあえずチーズハンバーガーの出来上がりだ。どうする?」
「どうする?とは?」
「売り出すか?」
リンは少し悩んだ後、
「うむ。売り出すことに決めた」
と言って、トンテン、カンテン、屋台を作り始めた。
ハンバーガーショップと赤を背景に黄色で書かれた看板は目立っていた。更に組み立てて、ハンバーガーショップが出来上がった。
「どうだ?お金の匂いがするぞ」
「確かに曲芸師ギルドって儲かってなさそうだもんな」
「何を笑っている!節約すれば良いだけよ」
「でも、このハンバーガーショップは、良く売れそうですよ」
ユミのフォローが入る。
「肉を挟んだ方がハンバーガー。チーズも挟んだ方が、チーズハンバーガーだ」
「「おおー」」
と言って拍手する俺とユミ。
「出店をするぞ!」
ワクワク気分で作業を続けるリン。その両手にはたくさんのパンズが握られていた。
「これは儲かるな」
「一大ブームが来るかもしれませんね」
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