リンへのお土産
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飲み会は続く。
お次はカルーアミルクだ。
「コーヒー牛乳みたいですね」
「成分的には近いものがあるからな」
「俺は初めて呑んだが、甘くて美味しいぞ」
そんな感じで飲み会は進行していく。
「この前の日本酒もあるぞ。焼酎も」
「じゃあ俺は焼酎を頂こうかな」
「私は日本酒でお願いします」
「了解した」
リンがすーっと、奥へ消えていく。焼酎と日本酒を抱えて持ってきた。
「一人で呑んでも楽しくないもんで、ちょうど残していたところだ」
ああ、リンは一人呑みが苦手なのかな?と思った。しかし次の一言で、違うと気づく。
「一人で呑んでいると、いつの間にか酒がなくなっちまうんだよ」
「ズバリ、リンはザルだな」
「枠かもしれんぞ」
「そりゃ結構なことで」
「さて、そろそろプレゼントの時間にするか」
「なんだ?今度は何を買ってきた?」
「じゃじゃーん。灰色の宝石だ」
「これは、グレーダイヤモンド!それも一級品だ」
「そうそう。そのグレーダイヤモンドやるよ。リンには、必要だろ?」
「良いのか、こんな高いものもらっちまって」
「それ10000ゴールドしかしないから、気にしなくて良いよ」
「な!?この一級品が10000ゴールドだと!星星の人達は随分と衰退したのだな」
「さっきの聞き取れなかった部分は秘密ですか?」
「ああ、秘密だ」
リンが答える。
「素敵なプレゼントですね」
「うむ。ありがとう」
「どういたしまして。どんなアクセサリーにするかは、リンにおまかせするから」
「分かった。ネックレスにする」
「そうと決まれば、アクセサリーショップへ行こうではないか」
リンの突拍子もない発言に、驚く俺とユミ。
「今すぐか?」
「ああ、今すぐだ」
「さてと、店じまいをしてと」
リンはお酒やシェーカーを片付けている。
「さあ、行こうか」
リンは準備万端だ。
「ああ、行こう。だけどアクセサリーショップを知らないから案内してくれないか?」
「心得た」
表に本日休業の看板を出すと、リンはすたすたと歩いていく。雑貨店の通りに入ると、
「ここだ」
と言って、ドアを開く。
そこは曲芸師ギルドのように、格式高い雑貨店だった。
「このグレーダイヤモンドをネックレスにして欲しい」
「分かりました。少々お待ち下さい」
「今のは住人か?」
「ああ、そうだ。古くからの知り合いだよ。ほれ、髪色と目の色を見れば分かるだろう?」
雑貨店の女主は銀髪に灰色の目をしていた。
「星星の人達か!」
「ああ、そうだ。その通りだ」
「星星の人達はギルド長だけじゃなかったんだな」
「他にもいるぞ」
「なるほどなぁ」
いくら星星の人達が衰退しているとしても、それなりに人口はあるのだろう。
「もしかして、知らないだけで、星星の人達はもっといる?」
「良い質問だな。意外といるが、思ったよりはいないと言った感じだな」
「一般人と結婚した場合、産まれてくるのは決まって、星星の人達になる。だから、意外といると言ったのだ」
「へー、優先遺伝なんだな」
「このあたりも星星の人達が疎まれる原因の一つだ。産まれてくるのは星星の人達と決まっているのだからな。侵略されていると、誤解を受けても仕方ない」
「ただし、まれに星星の人達同士で結婚しても、一般人の子が産まれる時がある。理由は分からん」
「それは多分染色体のせいじゃないかな?」
「染色体?なんだそれは?」
「簡単に言うと、星星の人達が産まれるか、一般人の子が産まれるかを決定づける要素のことだ」