PvP 夜の部 アックス視点
ブックマーク、いいね、ありがとうございます。
PvP夜の部が始まった。身内同士で潰し合いはしたくない、そう思った儂は、バックステップで距離を取る。
他の三人も同じだったようで、急激に距離を取った。
他の者に目もくれず、儂は宝石商の通りに入っていった。
どうやら追っ手はいないようだ。安心して前だけに集中出来る。
「そこのおじさま」
屋根の上にいる美女に話しかけられた。
「どうした?綺麗なお嬢さん」
「私とPvPしていただけるかしら?」
「おう。良いぞ!」
「じゃあ、先に名前を伺っても良いかしら?」
「儂の名は、アックス。そっちは?」
「私はヒビキよ、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼む」
「ここからだと、おじさまの武器からして一方的な戦いになってしまいそうなんだけど、上がって来れるかしら?」
「無論」
「二段ジャンプ」
して屋根の上に登る。
「あら、素敵じゃない?」
年齢不詳の美女はそう言った。
「そうだろう?戦闘の方も期待してもらって良いぜ」
「そうなのね。じゃあ怪我しないように気をつけるわ。痛いのって嫌でしょう?」
「LGの仕様で、戦闘での痛覚は極微小に抑えられているから大丈夫だ」
「そうだったわ。すっかり忘れていたわ。私、PvPって初めてなのよね」
「なあに誰しも最初は初めてさ。儂もPvPは初めてだしな」
そう言って相手の得物を確認する。クナイ使いのようだ。
これは対ケンようの予行演習なるかもしれないな、と思う。
おっといけない、つい勝利するのを前提で話を進めてしまっていた。まずは、この一戦を戦い抜かねばなるまい。
「それじゃあ、準備は良いかしら?」
「おう。いつでも良いぞ」
氷の斧を取り出して言う。身の丈より大きい斧は遠距離戦にも十分対応出来るはずだ。
まずは一本、クナイを飛ばして来るのを見てからでも遅くはないだろう。
しかしヒビキが選んだのは、意外にも近距離戦だった。これも予想には入っていたが、確率としては、低いだろうと思っていた。
「良いぜ、近距離戦。受けて立とう」
そう言うとアックスもヒビキに向かって走り出した。
アックスが斧を振るう。クナイで受け止めきれないとみたヒビキは、一旦かわす。そこでクナイを飛ばしてきた。
だが、これはアックスの予想の範囲内。さらりとクナイをかわす。そして出てきたのは、三本目のクナイ。
「やはり予備のクナイを持っていたか。後何本クナイはあるんだ?」
「それは秘密よ」
「つれないねぇ」
それとなくクナイの数を把握しようとしたが、失敗に終わった。仕方ない。切り替えていくか。
「おら、おら、おらぁ!」
氷の斧を小さく三連続で振っていく。ヒビキは、この程度なら押さえきれると思ったのか、クナイ二本で対応する。それがマズかった。一撃目で、クナイが一本飛び、二撃目でもう一本のクナイが飛ぶ。三撃目でヒビキに攻撃が届いた。
「くっ、なんて馬鹿力なの!?」
「ふふふ、普段から伊達に鍛えてるわけじゃないんだぜ?」
丸腰になったヒビキを見て、追撃をしようとしたアックスだったが、再度ヒビキがクナイを投擲したことで、それは防がれた。
さあ、仕切り直しといったところで、
「私の負けよ」
とヒビキが言った。
「おいおい、まだまだ始まったばかりだろう?」
そりゃないぜ、といった感じでアックスは言う。
「そうね。まだまだ始まったばかりかもしれない。でも局面は終盤戦に突入しているのよ」
隠していたクナイが底をついたか・・・アックスはそう直感した。
「じゃあ行くぜ」
アックスが飛び出し、ヒビキに迫る。ヒビキは最後の抵抗と言わんばかりに、クナイを一本投げつけてきた。それはアックスに届いた。ただし、鎧の上からだったので、ダメージは与えられなかった。
クナイが残り一本になってしまったヒビキは、アックスの首もとを狙ってきたのだが、先にアックスの氷の斧がヒビキの首もとを直撃した。
「先に行ってるわ」
「たわけ、儂は生き残るわい」
評価よろしくお願いします。
ブックマークも忘れず、お願いします。