PvP 夜の部 ユミ視点
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突然ですが、PvP夜の部が始まってしまいました。ユミです。
こういう時はどうしたら良いんでしょうか?私は弓使いなので、接近戦は苦手です。他三人と距離をとりましょう。
あ、三人とも距離を取ってくれましたね。後はここで戦闘になるかどうかですが・・・みんなバラバラの通りに行きました。これで序盤から身内同士で争うことは避けられました。
私はアイテム作成所の通りを行きましょう。
「ぐへへ、お嬢ちゃん一人?」
そう言って声をかけてきたのは、イケメン顔の人です。
「おじさんといいことしないー?」
どうやらアバターをよく作り込んでいただけで、中身はおじさんみたいです。
「ああっ!うるせーよ。話しかけんな!」
はっ、つい元ヤンが出てしまいました。
「ひっ!」
おじさんは怯んでくれたみたいです。しかし、
「それなら僕は倒すだけだ」
と言い、剣を構えて突っ込んできました。
矢で応戦します。弓を構えて射る。
「どこに打って、ぐへぇ」
風の弓は、多少軌道を曲げることが出来るのです。次の攻撃が来る前にバックステップして、距離を取る。
「そうか、軌道を変えられるのか。種さえ分かれば簡単な話だ」
立ち上がるおじさん。
「打つんじゃねぇ。射るんだよ!」
そう言って矢を三連射する。一本目は剣で弾いたようだが、二本目、三本目がおじさんにヒットする。見た目がイケメンなだけにギャップが凄いな。
「まだまだぁ」
おじさんはまだ諦めていないみたいです。
「そろそろ潮時だ。リスポーン地点に行ってきな」
そう言うと、私は矢を六連射する。
見事に全部的中した。
「そんな」
おじさんが消えていく。ああ、気持ち悪かった。
次に出会ったのは爪使いの少年です。
「お姉ちゃん、それ以上近づいたら潰すよ?」
「それはちょうど良かったです。私の距離感はこれくらいなので」
そう言って、矢を射る。
ガキン。
受け止められてしまいました。この少年、見た目以上にやるようです。しかも、軌道を変えた矢をものともせずです。
「それ本気じゃないよね?今度はこっちからいくよ」
駆け出す少年。
仕方ありません。六連射を使いましょう。
ドドドドドドと矢を六連射しました。四本は受け止められたり、避けられたりしましたが、二本はヒットしました。
「くそっ、やるね。お姉ちゃん」
「お姉ちゃん」と呼ばれる度に、心がなんだかほっこりしてきます。変態的な意味ではなくですよ。
私は油断せずにバックステップをしました。でも距離が空いて、油断が生じました。これだけ距離が離れていれば大丈夫だろうと。
少年の目は爛々と輝き、まだまだやってやるぞ。という目をしていました。
「ダッシュ」
あっという間にこちらへ近づいてきました。
こちらも負けじと、バックステップで距離を取りながら六連射します。けれど、
「無駄、無駄ぁ!」
全弾避けきり、私の目の前まで来ました。
そして、爪で私の首をはねました。ゲーム上、首はつながったままですが、一撃死した以上、首は、はねられた判定なのでしょう。
「悔いはない」
私は本心から、そう言いました。
「また遊ぼうね。お姉ちゃん」
私はリスポーン地点へと転送されたのでした。