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ホテルの重要性と隠しパラメーター

その日、ケンとユミはホテルに宿をとることにした。冒険者達はいつログインするか分からないので何泊しても料金は一律なのだとか。代わりに先払いだ。100ゴールド手渡して、代わりにホテルのカードキーを渡される。


お互いにシャワーを浴びてから、会った。

「まさか、匂いが設定されているとは思いませんでした。私達臭かったんですね」

「おいおい、それを口にだすなよ。惨めな気持ちになるだろう」

「ですねー。でも歯磨きも出来てスッキリしました」


「じゃあそろそろ俺は落ちるから」

「はい、私も部屋でベッドに横になったら、落ちるつもりです」

「落ちる」とは、ログアウトすることを言い換えた言葉である。それから若干硬いベッドの上で、ケンはログアウトした。


時刻はちょうど12時を示しており、昼食時だった。今から何か作るのも手間なので、近所のラーメン屋さんへ行くことにする。チャーシュー麺大盛を頼んでから、セルフの水を貰いに行く。水をちびちび飲んでいると、おまたせチャーシュー麺大盛の出来上がりだ。麺をすすると、鶏ガラ醤油の味がガツンと来る。LGではスライムゼリーしか食べていないので、久々にまともなものを食べた感じがする。時間加速のおかげで。スープも美味いがなんと言っても、チャーシューが美味い。肉厚でいて、口にいれた瞬間ホロホロと溶けていくチャーシュー。これだからこの店に通い続けられるのだ。


さてリアルでは何をしようかと悩んだが、運動不足が気になる。筋トレでもしてみるか。こうして健二は、一日腕立て伏せ100回を目安に筋トレをすることになる。友人に連絡を取ろうかとも考えたが、せっかくの夏休みだ。急に呼び出すのも悪いだろうと思って、連絡するのをやめた。


こうして午後は勉強で終わってしまった。事前に料理の準備をしておいたので、いつもより楽だ。エビの背わたを取って置いたのだ。これで今日の晩飯はエビフライに決まりだ。近くのスーパーで買ったキャベツの千切りを使って、タルタルソースを作って、楽々エビフライの完成だ。


ここでLGのことを思い出す。もしもLGでも現実と同じような料理が出来たら良いな。思い立つと試したくなるのが、俺の癖だ。


LGにログインする。まず確認すべきは料理スキルがあるかどうかだ。結論から言うと料理スキルはあった。しかし料理の他に、コックや職人というスキルを取らないと完璧な料理にならないようだ。今回は見送ることに決めた。


冒険者ギルドへ顔を出すと、ミキさんが手を振ってくれた。依頼書片手にミキさんのところへ行く。通りがかりの冒険者からは、汗の嫌な匂いがした。確かにこれは臭い。良かった、シャワー浴びてきて。これでミキさんを不快にさせずに済むだろう。

「この依頼書でお願いします」

「はい、分かりました」

「それでは番号札でお呼びしますね」


55と書かれた番号札を持って待っていると、攻略組と言われるパーティーがやってきた。その名も「銀の弾丸」シルバーバレットだ。汗の匂いだけでなく、土の匂い、モンスターの返り血の匂いがプンプンする。あれじゃあ受付嬢もやりにくいだろうな、と思った。


やがて55番の番号札で呼ばれた俺は、ミキさんと雑談がてら、料金の清算をしてもらっていた。

「クエスト 城壁を守れ の時は驚きましたよ。こんな早くにクエストがあるとは思いませんでしたから」

「そうですね。つい昨日も食糧庫を守れというクエストがありましたよ」

「そうなんですか?良いなぁ。それなら、私も参加したかったです」

「ええ是非次回は参加出来ると良いですね。今回の報酬金は、スライム900ゴールド、ホーンラビット500ゴールド、ウルフマン1000ゴールドで、合計2400ゴールドです」

「ありがとうございます。ところで冒険者は臭いませんか?」

「ええ、とても。悪い意味で臭います。ケンさんはさっぱりしていて清潔感があるので、心配しなくて大丈夫ですよ」

「そうですかー。シャワー浴びといて良かったです」


そうしてミキさんにお別れの挨拶をした後、噴水の前に行ってみる。そこには体を鍛えているアックスの姿があった。

「アックスさん、お久しぶりです。今日は筋トレですか?」

「おお、久しぶりケン。堅苦しい敬語はなしで話そうぜ」

「了解。そうさせてもらう」


「この前のクエストには参加したのかい?」

「この前のというと、城壁を守れと、食糧庫を守れのどっちの話だい?」

「儂が参加したのは城壁を守れの方だな。ケンはどっちに参加したんだ?」

「俺も城壁を守れの方に参加した」

「スキルレベルは上がったかい?」

「ちょっと待って、今確認してみる」


そう言って俺はステータス画面を表示させる。

「これは一体・・・」

「どうした?」

「敵視のレベルが爆上がりしてる」

「敵視のレベルが上がるようなことあったか?」

「城壁を守れ、の時に使った」

「あの数のモンスター相手に敵視を使ったのか!?」

「ああ、憲兵さんもたくさんいたからな」

「凄い度胸だな。儂は流石に使えなかったぜ」


敵視のレベルが13レベルになっており、新たにスキルが取得可能になっている。だが、後回しにすることにした。


「そういえばLGに限らずVRゲームは、寝ている状態になっているから一晩中やり続けても大丈夫なのは知っているか?」

とアックスが教えてくれる。

「知らなかった。じゃあ今夜からLGを夜通ししてみようかな」

「是非そうしてくれ。」


一晩中LGをやり続けられて、しかも生活に支障をきたさないなら天国だ。


「アックスは隠しパラメーターの話を知っているか?」

先日やられた初心者の鎧を直しつつ言う。

「聞いたことがないな。なんだそれは?」

初心者の鎧に攻撃力-15が付く。

ポーンと頭の中で音がなる。鎧職人が-2になったようだ。

ケンは以下のように説明する。


STR(筋力値)

INT(知力値)

DEX(器用値)

AGI(敏捷値)

VIT(体力値)

MNO(精神値)


の以下の六つがあること。


それぞれ鍛え上げることが出来るが、どういった行動が隠しパラメーターに影響するかは分かっていないことを話した。


「すると今儂がしている筋トレは、STR(筋力値)を上げることにつながっているかもしれないってことか」

「そういうことだ」


「せっかくだから、俺も隣でDEX(器用値)を鍛えさせてもらおうかな」

そうケンは言って、初心者の鎧を片手で持ち、バランスを取り始める。


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