ヒトミの気持ち
ブックマークありがとうございます。
お会計を済まして(今回はどうしても奈央が払うと言って聞かないので、奈央に奢って貰った)スーパーへ行く。
スーパーでは食料品とお菓子を買い込んだ。どうやら、今夜は鱈汁らしい。
家へ帰ると、筋トレを始める。腕立て伏せ百回、腹筋五十回。
毎日筋トレしているおかげで、だんだんと慣れてきたようだ。
奈央は一足先にLGにログインしたようだ。俺もLGにログインしよう。
「やっほー、ヒトミだよ。アップルマンゴーの木を倒すなんて凄いね」
「そうか?」
「うん、何パーティーか挑んだけど、初見でアップルマンゴーの木を倒したのは、ごくわずかのパーティーに限られてくるよ」
「それも基本はフルパーティー。これからはフルパって呼ぶね。五人で組んだパーティーで攻略したのが九割だよ」
「じゃあ、俺達以外にも初見でフルパじゃないのに、アップルマンゴーの木を倒した強者がいるってことか」
「おお?闘争心に火がついちゃったかな?」
「当然だ。強い人がいると、目標になるからな」
「ケンは前向きな考え方をするんだね。こういう情報を耳にすると、やる気を無くしちゃう人もいるんだよ」
「なんでだ?」
「強い人=倒せない、って考えちゃうみたい。私はケンの考え方の方が好きだよ」
「ありがとう。そう言ってもらえると、嬉しいよ」
「それじゃあ、LGの世界へいってらっしゃい」
そう言ってケンを見送るヒトミ。
ヒトミはケンのことを凄く強い人と判断した。自分より強い人がいるかもしれないのに、それに臆せず、成長する機会が与えられたと考えることがまず凄い。
それに闘争心が掻き立てられるのも、自分が強者であるからだろう。リアルで何かやっている、もしくはやっていた過去でもあるのだろうか?
ヒトミの気持ちとしては
「危ないことは避けて!」
と言いたいのだが、如何せんケンの闘争心が強い。やる気を無くすようなことは言いたくなかった。
代わりに、陰ながら応援することにした。
「フレー、フレー。ケーン。それっ!フレッ、フレッ、ケーン!」
ふう、と一息つくヒトミ。
それにしても、ケンの成長スピードが早すぎる。もう星の剣を使いこなすまでになった。これは攻略組より強い?そんな疑問が、ふと湧いてくる。可能だろう。それがヒトミの出した結論だった。
そういえば星星の人達について触れるのを忘れていた。急に銀髪に灰色の目になったのに、本人が驚きもしないんだもの。こっちだって、すっかりわすれてしまうよ。
星星の人達になったことで、気付けることがまだあるだろう。ヒトミはそう思った。
ヒトミの出番と言えば、ログイン前のこの僅かな時間だけ。
でもヒトミには、その後やることがあった。それは、それぞれの冒険者の担当者の会議だ。
「うちのは、相当出来る良い子ちゃんだからね。始めたばっかりだけど、成長要素があるよ」
「「「なるほどねー」」」
「はい、俺のところは、アップルマンゴーの木をフルパで二回目に倒しました」
ここだ!とヒトミは思う。
「はい、私のところは、アップルマンゴーの木を二名で初見攻略しました」
「おお」
だとか
「やっぱり凄いな。ヒトミのところは」
と言う声が挙がった。
「それは私の方も同じです」
スピアの担当者が声を挙げる。
「そりゃそうだよな。二人組で挑戦したんだから」
「でも映像を見る限り、凄いのは星の剣を使いこなしているヒトミのところのが、評価は高いぞ」
「ええ、私もそう思います」
そう言って胸を張るヒトミ。
張れる胸がないだろうって?貧乳馬鹿にするなよ。泣くぞ。