アップルマンゴーの木刀の実力
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場所は熱帯雨林にした。ここなら敵モンスターもリスポーンしない。
「じゃあ、いくぞ!」
アックスの気合いの入った声がする。
「よし、来い!」
俺も気合いでは負けない。
あの長い斧を受け止めきれれば、アップルマンゴーの木刀は合格点だ。
「おらぁ!」
「何をっ!」
アックスの氷の斧をまともに受けた。斬撃は・・・無効化されている!
そして肝心の耐久力だが、斧と木刀が対等に渡りあっている。流石アップルマンゴーの幹。レアドロップなだけある。
「なんだと!?」
驚いているのはアックスである。木刀が斧と対等に渡りあっているのだから無理もない。
「どうだ。これが斬撃無効の力だ」
俺は着いてきたスピアに向かって、アピールする。
「へえ!思ったより凄いね!よく氷の斧の一撃に耐えたこと」
褒められると嬉しい。
「そうだろう。レアドロップなだけはある」
「その木刀、レアドロップなのか?」
「いや、木刀自体がレアドロップなんじゃなくて・・・すまん、これ以上は言えないようだ」
「LGの仕様ってやつだな。分かった。これ以上聞くのはやめる」
アックスが物分かりが良くて助かった。
「それで、まだ打ち合うのか?」
「ああ、あと五回頼む」
ガキン、ガキンとぶつかる、両者の武器。だが木刀が折れることはなかった。
「今日はありがとう。アックス」
「いやいや、礼には及ばんよ」
アックスのおかげで、アップルマンゴーの木刀が実用性があると分かったんだ。礼の一つくらい言いたくなるってもんだ。
「そろそろ帰って休もうよ」
スピアが言ってくる。
「ああ、これにて木刀の耐久力テストは終了だ。みんなで帰ろう」
「うん」
「おう」
ギッシュに戻って来たらちょうど夜だった。
「ねえ、この前はみんなが野菜を買ってくれたから、今日はあたしがごちそうするよ」
そう言って、スピアは野菜を買い始めた。
「おうおい、野菜の代金くらい儂が払うぞ」
「そうだぞ、スピア。俺も払うし」
「良いの、良いの。料理のスキル上げにもなるからさ。二人は広場で待っててよ」
そう言われたなら、仕方ない。アックスと俺は広場で待つことにした。
「アックスは筋トレどんな感じだ?って聞くまでもないか」
「おう、順調そのものだぞ」
アックスの体はLG内の五日間で、更に逞しくなっていた。氷の斧を、やすやすと振り回せる理由が分かった気がする。
「スピアとのリアルでの関係はどうだ?進展したか?」
「ああ、熱い夜を過ごしたぜ」
「やるじゃないか、ケン」
下ネタも織り混ぜつつ会話する、俺とアックス。
そこにスピアが戻ってきた。
「はい、どいた、どいた。スピアちゃんのお料理教室始まるよー」
スピアにどかされた俺とアックスは、じっとスピアの方を見ていた。
「そんなに見つめられると照れるな」
とスピアが言うので、
「今更そんなことで照れるでない」
とアックスからお叱りがあった。
「本日作っていくのは、野菜炒めでーす」
人参、キャベツ、ごぼうが並んでいる。横には塩とコショウが置いてある。
人参とごぼうの皮をむいて、手際よくキャベツも切っていく。火にかけてフライパンで炒めたら塩とコショウを振る。
「はい、野菜炒め一丁!」
「美味いな」
「ああ美味い」
「ほんとだ。美味しい!」
作った本人が一番驚いている。