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クエスト 城壁を守れ

ブックマークありがとうございます。

「こんな状態のケンさんを置いてはいけません」

と、律儀に付いてきたユミもこれには驚いただろう。こんなに早くクエストがやって来るとは・・・


「とりあえず空腹を治して下さい」

と言われ、スライムゼリーを食べているところだ。草原から戻ってきて城壁が見えるようになった。城壁の上には憲兵さん達がおり、クロスボウで応戦しているようだ。スライムもスライムキングもいるが、他にホーンラビットという頭に角の生えたうさぎと、ウルフマンと呼ばれる二足歩行の狼がいた。

「どう見てもウルフマンは格上ですよ」

「ああ、だろうね」


混乱状態になるため、初心者の剣は使えない。それに誤射の可能性があるので、城壁付近で戦うのは憚られた。

「どうしましょうか?」

「一つ良い案がある。もしかしたら悪い案かもしれないがな」

そう言うと、ケンはステータス画面を表示させた。曲芸師レベル10、アクロバットレベル6。よし、これなら新しいスキルを追加出来る。ケンは迷わず敵視を取った。そしてそのまま

「敵視」

と発動させた。


ポーンと頭の中で音がなった。それも何度もだ。一斉にこちらを凝視するモンスター達。しかし憲兵さん達が攻撃すると、また城壁に向かって行く。後回しにされているスライム達が、こちらへ向かって来た。

「ちょうど良い。火吹きで撃退するぞ」

「おー!」

何十体ものスライムを火吹きで倒していく。そして倒し終わったら、敵視を使う。ポーンという音が頭の中で鳴り響く。また何度も鳴った。


今度は、ホーンラビットもウルフマンも向かってきた。

「どうしましょう?格上相手ですよ」

「あいつらの狙いは俺だ。ユミは援護を頼む」


「さあさあ、ホーンラビットにウルフマン。よっといで。今宵のショーの始まりだ」

いつの間にか夕方になっていたようだ。ホーンラビットが突っ込んで来る。アクロバットで前宙して避ける。ケンとユミの火吹きによってホーンラビットは倒した。問題はウルフマンの方だ。冷や汗が背中を伝う。


ウルフマンは四足歩行になると、とんでもない速さでこちらへやってきた。ウルフマンは噛みつきをケンにしてきたのだが、ケンは無傷だった。なぜなら、ウルフマン相手に、玉乗りしていたからである。

「ケンさん・・・」

それ以上はユミも言葉が続かないようだった。そりゃあ驚くだろう。格上相手に玉乗りしているのだから。


俺は四足歩行で走り回るウルフマンに、なんとか玉乗りで食らいついていた。スライムキングとは比べ物にならない難易度に大苦戦しているところだ。だが、ウルフマンが止まった隙に、アイテム欄から酒を取り出した。その酒をウルフマンの全身にかけていく。顔にもかけると嫌がっているのか、跳び跳ねて抵抗してきた。


バランスを崩してウルフマンの背中から落ちてしまった俺だったが、これで準備は整った。近距離からウルフマン相手に火吹きをする。するとウルフマンの全身が燃え上がった。


「ウガアアア」

と声をあげ、火だるまになったウルフマン。これでなんとか倒せた。ドロップ品はホーンラビットの角と肉一切れと、ウルフマンの毛皮だった。


ポーンとまたレベルアップのサインが頭の中で鳴り響いた。敵視をもう一度使ってみたが、ほとんどのモンスターは討伐済みで、その一瞬立ち止まったところを憲兵さん達にクロスボウで撃ち抜かれていた。それでもポーンと敵視がレベルアップしたのが伝わってくる。


「残りのホーンラビットとウルフマン片付けちゃいましょう」

とユミは言うが早いか、飛び出していった。

「憲兵さんに誤射されるなよ」

とユミに声をかけてから、ケンもモンスターに向かって行く。


もうホーンラビットもウルフマンも満身創痍で火吹きで簡単に倒せた。一度だけウルフマンの爪で引っ掻きをくらったが、初心者の鎧のおかげか二割は削られないで済んだ。数多くのドロップ品にユミとケンは喜んだのだった。ケンの今回のドロップ品は、スライムゼリー三十個、ホーンラビットの角三本、肉十切れ、毛皮五枚、ウルフマンの毛皮十枚、爪五枚、牙三本だった。ドロップ金額は合わせて4000ゴールドだった。


倒し終わると、クエスト 城壁を守れ

は完遂されました。


と出てきた。俺はユミとハイタッチをして喜んだ。憲兵さん達もハイタッチしあっている。そして正面の門が開かれた。どこにいたのか、というくらいの冒険者達が門に向かって歩いている。触らぬ神に祟りなしと、静観していた人達も多かっただろう。


街全体がお祝いムードの中、ユミに曲芸師ギルドへ行ってみよう、と言うとあっさり着いてきた。

「こんばんはー、リンさんいますー?」

と大きな声でユミが挨拶する。

「こんばんは。わたしはいるよ。基本的にいつでもここにいる」

「依頼書の確認ついでに、ここで祝杯でもあげないか?」

「それ、ナイスアイデア!」

ケンとユミ、それぞれ依頼書を持ってリンの所にやってくる。それを調べるリン。

「玉乗り300ゴールド、ジャグリング100ゴールド、火吹き1800ゴールド以上だ」

「火吹きでそんなに貰って良いのか?」

あまりにも高過ぎる報酬に、腰が引けてしまうケン。

「ああ、正当な報酬だ。モンスター一体当たり300ゴールドの報酬だからね」

「私のもお願い、リンさん」

「はいよ、玉乗り150ゴールド、火吹き1500ゴールドだね」


その後、火吹きようでない酒をリンに注文して、出てきた酒を見てにっこりするケンとユミ。150ゴールド払っている。

「それじゃあ祝杯をあげましょう」

「「「かんぱーい」」」

酔いながら三人は色んな話をする。やれケンがウルフマン相手に玉乗りしたこと、二人でホーンラビットを火吹きで倒したこと。火吹き用の酒は蒸留の、し過ぎで出来た、本来は廃棄物なこと。そして酔いが覚める一言をリンが言う。

「それにしても二人とも匂うな」

「なにっ!?」

「本当ですか?」

「ああ、本当だ。汗の匂いがプンプンするな。最近の冒険者はみんなそうだ。ホテルに泊まってシャワーでも浴びれば良いのに」


これは重要なことを聞いた。今まではすぐにログアウトしていたが、宿をとってシャワーを浴びることの重要性を学んだ。

評価よろしくお願いします。

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