健二と奈央のリアルでの一日
そうして朝を迎えると、今日もいい天気だな、と思う。
「健二ー、起きたなら朝食食べてー」
奈央の声が響く。
「はいよっと」
寝室を出て、リビングに向かう。
「材料、勝手に使っちゃったけど良いよね?」
「ああ、大丈夫。美味しそうな朝食ありがとう」
「それは食べてみて、本当に美味しかったらお礼を言って」
「分かった」
そういうと、コーヒーにベーコンエッグの乗ったトーストを食べてみる。
「うん、美味しい。ありがとう」
「どういたしまして」
「あたし、そろそろ健二の家に住む準備をしたいんだけど、どう思う?」
「別に良いぞ」
「じゃあ午前中は日用品を買いに行こう」
「了解」
という事で、スーパーに日用品を買いに来た。歯ブラシ、歯磨き粉、タオルなどを買っていく。ついでに消臭剤も買った。
お昼までに奈央の家から必要なものを持ってくることにした。
「VR機も忘れずにね」
と言って、奈央は忘れず持ってくる。
お昼ご飯を一緒に食べる。ラーメン屋さんではない。奈央の手料理だ。
「美味い!」
「それは良かった」
「今日は一日外で遊ぼうか?」
「そだね。一日中LGばっかりっていうのも不健康そうだし、乗った」
お洒落なカフェに行って、ケーキとコーヒーを飲み食いする。カップル割引デーでちょっぴり得をした気分になる。
ショートケーキ、ガトーショコラ、モンブラン。色々なケーキを食べていく。そこで思った。俺は最近糖分が足りていなかったんじゃないかと。チョコレートを食べたりしていたが、LGで消費されるカロリーは相当のようだ。ケーキを食べる手が止まらない。
「あんまりケーキばかり食べていると、糖尿病になるよ」
「今日一日でどうこうなる問題じゃないだろ、それ」
「あたしみたいに適度にコーヒーも嗜まないとさ」
「へいへい」
口調は荒くても、心配してくれているのが分かるので、素直にコーヒーに手を伸ばす。コーヒーを飲み終わったところで
「ちょっとトイレ」
と言い、お会計を済ませる。実際トイレにも行っているので嘘ではない。
コーヒーをおかわりして、LGについてお話する。最近の話題と言えば、もっぱらLGについてだった。
「図書館に行くかどうかが、LGの分岐点だったな」
「でも図書館に行っても、読書出来ないんでしょ?」
「ああ、自動翻訳を取らないとな。ここもケチると隠しルートがふさがってしまう」
「序盤に図書館に行こうとは思わないし、わざわざスキル枠を一つ消費するのももったいないから、基本はスルーしちゃうわね」
「そういえば、普通に武器を直すと回復するのは耐久値だけなのな」
「うん、それでも壊れないことって重要だから」
「マイナス値で修理すると、面白い能力がついてきて楽しいぞ」
「どうせデバフでしょ?」
「ああ、その通りだ」
「でもデバフは偉大だぞ。自分にデメリットがあるだけじゃなく、相手に攻撃すると、デバフが機能するんだからな」
「はいはい、後には引けないってことでしょ」
「むー。そういう言い方はいじわるだぞ」
カフェを出て、漫画喫茶へ向かう。ペアシートで三時間借りることにした。最近の面白い漫画を読む。ペアシートなのでイチャイチャし放題だった。ただし、キスなどはしていない。こういうのは従業員に見られているからだ。
帰り道、総菜屋でコロッケを買った。本日の晩御飯のサイドメニューになったが、美味しかった。