告白
レストランで俺はステーキを、奈央はハンバーグを注文した。
「楽しみだね」
「ああ」
ここは地元でも有名な、ちょっとお高めのレストランだ。奈央とは、もう何度も足を運んでいる。
「あたしさ、LG始めた頃、VRMMOってどんなゲームなんだろうって、心配だったんだよね」
「へえ、そうなんだ。今はどう?」
「うん、今はとっても楽しい。VRMMOってこんなに綺麗だったんだ、とか。感覚や匂いまでリアルに近づけてるんだなぁとか思ったりするよ」
「だよな。LGはそこのところが良く作り込まれていると思うよ」
「今日のスポーツジムでの球技、デートっぽくなかった?」
「ああ、言われてみればデートだったよな。二人きりでまわったし」
「で今は、レストランで夕食デートでしょ?」
「おう」
「んもう!いい加減付き合おうよ」
「良いぞ」
「えっ!?」
「だから告白の返事はオッケーだ」
「そういうのは健二の方からして欲しかったな」
「すまん。じゃあ改めて、俺と付き合って下さい。奈央さん」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
告白の返事が終わったところで、料理が運ばれてきた。
健二はステーキを、奈央はハンバーグを切り分けている。
「ねえ、このことってユミちゃんとアックスに言って良い?」
「別に良いんじゃねーの?」
「うわぁ、緊張する。喜んでもらえるかな?」
「流石に祝福くらいはしてくれるだろうよ」
そう言ってステーキを一切れ食べる。美味い。奈央もハンバーグを食べている。
「美味しいね」
「うん、美味いな」
「LGでも同じようにレストランデートしようね」
「可愛いな、奈央は」
「えへへ、そう?」
「あれ、今声に出てた?」
「バッチリ声に出てたよー。可愛いな、奈央は。こんな感じ」
「声真似するなよ・・・恥ずかしい」
「照れちゃって可愛いー」
こういう時は、黙って飯を食うに限る 。ステーキとご飯をバクバク食べる。
「そんなに慌てて食べなくても良いじゃん。食べるの待ってよー」
そうか、奈央と夕食を食べに来ているんだから、相手を気遣って食べなきゃな。
「悪い、悪い。からかわれたのが恥ずかしくてさ。でも夕食を食べるペースは、ゆっくりで大丈夫だからな」
「うんうん、ナイス気遣い」
それから俺達はゆっくりと夕食を堪能した。デザートにチョコレートのかかったアイスが出てきた。注文したのは奈央だ。チョコレート食べてこなくて良かったー、っと安堵した。
「このアイス美味しいね」
「おう」
チョコレートを我慢したから、尚更美味い。ということは黙っておこう。
「ちょっとトイレ」
と言って、会計を済ませておく。これは健二が、よく使う手だ。
デザートを食べ終わって、レストランを出る。
「これから、どうする?」
「公園でも行ってみようよ」
という事で、公園デートの始まり始まり。
二人でブランコに乗った。ギーギーとブランコの軋む音がした。
「これってまさか子供用か?」
「ただ老朽化しているだけじゃない?」
その答えに納得する俺。
にしても公園デートなんだから、もっとすることあるだろ、俺。
「なあ、せっかく恋人になれたんだから、キスでもしないか?」
「良いよ。ちょっぴり恥ずかしいけどね」
唇と唇が触れるだけの柔らかいキス。それだけで奈央は頬を赤らめた。
「やっぱり恥ずかしいもんだね」
「そうだな、恥ずかしいな」
よし、上手く話を合わせられたぞ、俺。実際は恥ずかしくも何ともないけどな。
「そんなに見つめないでよ。馬鹿」
「奈央が可愛いのが悪い」
「な!?」
赤面する奈央。
「よし、そろそろ家に帰るか。今日泊まっていくだろ?」
「うん、そうしよっかな」