スピアの料理
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ギッシュには、田んぼや畑で生活を成り立たせている人達が大勢いた。農耕が盛んなのだろう。そこらで野菜が、売られていた。
何はともあれ、まずは冒険者ギルドへ行く。
「どうぞ、お席についてお待ち下さい」
「はい」
7番の番号札を握りしめて待つ。と言っても一分後には、呼ばれたわけだが。
「トゲトゲイノシシとブラウンパンダの討伐ですね。合わせて650ゴールドです」
「ありがとうございます」
表に出て野菜を吟味して選ぶ。スピアに料理を作ってもらうためだ。
スピアが買い物しようとしたので、三人で必死に止めた。そしてお互いの顔を見合わせると、うんと頷いた。
「今日はスピアは野菜買うの禁止」
「ええー、何それ。楽しみにしてたのに」
と、スピアは口を尖らせる。
「そこは儂らで購入するから、良い野菜を教えて欲しい。参考にするから」
とアックス。
「そうですね。スピアさんには、料理を作ってもらいたいので、代わりにお買い物させて下さい」
ナイスアシスト、ユミに感じる。
「それならまあいっか」
スピアも納得している。
大根、人参、こんにゃく、ごぼう、長ネギを買う。しめて600ゴールドだ。一人当たり200ゴールドを出して割り勘にする。
これにトゲトゲイノシシの肉を入れて豚汁を作ってもらう予定だ。
「これで豚汁お願いします」
「「お願いします」」
「分かりました。作ります。でも、そんなに期待しないでね」
「あと、お味噌を買ってきてくれる?」
「それなら儂が買ってこよう」
爆速でお味噌を買ってくれたアックスに感謝するスピア。
早速料理を始めるスピア。
あたし、スピア。みんなにお願いされて、豚汁を作ることになっちゃった。トゲトゲイノシシの肉が難易度が高いと思うので、上手くいくか分からない。それに野菜を調理するのも初めてだ。
ザックザックと野菜を切っていく。野菜を切る時に音ゲーのように判定があるのだが、割りと緩めの判定だ。
最後にトゲトゲイノシシの肉を四切れ入れたのだが、こちらは判定がシビアだった。それで、少し失敗してしまった。
どんな味になっているんだろう?ワクワクとドキドキが入り交じる。
「あっ、案外美味しいかも」
トゲトゲイノシシの肉が多少固くなってしまったが、失敗と言えるのはそれだけで、お味噌と野菜、こんにゃくは非常に美味しかった。みんなの反応を見てみると、
「美味いな」
「スピア、料理上手いな」
「本当に美味しいです」
と好評を頂いた。
すっかり機嫌を良くしたあたしはルンルン気分だった。みんなに料理の腕を褒められるのがこんなに嬉しいとは、思いもしなかったからだ。
「でもちょっと難しくて、トゲトゲイノシシの肉は固くなっちゃったけどね」
「十分だ」
「噛みごたえがあって、儂は好きだぞ」
「うんうん、美味しいです」
とフォローまでされた。
これならまた、料理を作ってみても良いかなと思える。料理のスキルレベルも上がるしね。料理レベルは17、職人レベルは15に上がっていた。
それにしても一人で料理を作るより、四人分の料理を作った方がレベルが上がりやすいのはなぜだろう?やはり数をこなしているからだろうか、それとも四人分自体の難易度が高いからだろうか?今のあたしには分からない。
料理屋を開いていないのに、こんなに料理レベルが高いのは珍しいだろう。普段から自分の料理は作ると決めていたから、レベルが上がるのは当たり前なんだけど、嬉しい。
これからもみんなの料理を作るぞー、と心に決めたあたしだった。
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