アックスの活躍
みんなで集まったところで、第四の街へ向かう方法を確認した。
「攻略組の話によれば、竹林を抜けていけば良いんだよな?」
「はい。確かにその通りです」
俺の言葉にユミが反応してくれる。
街の中にいれば嫌でも耳にする攻略情報。俺達四人組は基本的に発信しないが、他の冒険者達は違うらしい。どうやら、どこまで攻略したというのはステータスになると考えているようだ。おかげでどのルートを抜けたら良い、何て言うのも聞こえてくるのだった。
「それじゃあ行こうか!」
気持ちを乗せて言う。
「オッケー」
「分かりました」
「承知」
と、言葉が返ってくる。
ガラントを出て竹林を進む。トゲトゲイノシシというハリネズミのようなイノシシに遭遇した。何が弱点なのか分からないので色々使ってみる。ダガーを両目に突き刺したが、猪突猛進。一気にこちらに近づいてきた。ただし、みんな事前に回避行動を取っておいたので、被害はゼロだ。
「星魔法」
魔法を試してみたが、あまり効いていないようだ。ユミの矢も効いているようには思えない。スピアの炎の槍はまあまあ威力を発揮しているようだ。
トゲトゲイノシシに一番効いていたのは、アックスの斧だった。身の丈以上の斧を使って、トゲトゲをカットしていく。
「あれ?アックス。斧を新調したのか?」
以前までは、手斧だったはずだ。
「おう。それよりも今は戦闘に集中しようぜ」
「ああ。分かった」
アックスがトゲトゲをカットしてくれた部分をめがけて、ダガーを投擲する。その際ジャグリングも忘れない。
「そいや!」
アックスの一撃でトゲトゲイノシシは倒れた。
「意外と苦戦したな。アックスがいなかったらどうなっていたやら」
「本当ですね。アックスさん、お見事」
「いやぁ、それほどでも」
謙遜しつつも、耳が赤くなるアックス。褒められ慣れていないのか?
ドロップ品は300ゴールドとトゲトゲイノシシの肉一切れだった。
ポーンと頭の中で音が鳴った。精密遠投のレベルが5に上がった。
次に出会ったのはブラウンパンダ。パンダの黒い部分がブラウンになっている。
「ここって竹林だよね?」
「笹も混じっているかもしれないぞ」
現に今、笹を食べているブラウンパンダがいる。
「取り敢えず、倒すか、迂回して逃げるか決めようぜ」
アックスの一言でみんな考え始める。
「俺は倒した方が良いと思う」
「儂も倒すのに賛成だ」
「私は迂回するのを選びます」
「こういう時は、戦うに決まっているでしょ!」
三対一でブラウンパンダは倒すことに決まった。
「ううう、不安です」
そうユミが呟くと、
「大丈夫だって!」
とユミが慰めている。
「ユミ、ブラウンパンダの片目を頼めるか?」
「はい、任せて下さい」
戦闘自体には、協力的なユミだった。
ユミと俺でブラウンパンダの両目を狙ったが、俺のダガーは腕で弾かれてしまった。その際、腕に刺さったのが、せめてもの救いだ。
今度は二本同時にダガーを投擲してみた。一本は防がれたが、二本目は片目に刺さった。
「メェメェ」
と鳴いている。
そこからは一方的な攻撃だった。両目が見えないのを良いことに、みんなでブラウンパンダを襲った。ダガーを投げては引き抜き、星魔法をくらわせる。矢が腕や足に突き刺さる。槍が胴を突く。極めつけは、斧がブラウンパンダの首を落とした。
耐久力は凄かったが、みんなの連携もあって、ブラウンパンダの技を出させずに完封出来た。これならトゲトゲイノシシの方が苦戦したと言っていい。
ドロップ品は350ゴールドとブラウンパンダの皮一枚だった。
そうして俺達は第四の街ギッシュへたどり着いたのだった。