ウルフマン狩り
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そうして広場に戻った俺は、腕立て伏せとスクワットを開始した。STR(筋力値)を上げる為である。一時間も続けると、腕も足も上がらないほど、疲れていた。
汗を大量にかいていたため、一度ホテルに戻って、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びている途中、
「こんな辛いことを毎日続けられるなんて、アックスは凄いな」
と独り言が出た。
ベッドに横になり、今日はもう動きたくないと思いながらも、目覚ましをセットする。三時間後にセットした。これで筋肉痛も少しは癒えるだろう。
うるさいなぁ。三時間後に鳴ったアラームの音に愚痴愚痴言いたくなる。筋肉痛にはなっていなかったが、四肢を動かすのが辛い。
シャワーを浴びて、外へ出る。スピアがログインしているようだ。噴水前の広場へ行くと、瞑想しているスピアを見つけた。どうせならと、俺も瞑想を始める。
静かで良いな、と思ったが、実は瞑想しているから外の音が聞こえなくなっているだけで、マグナスは喧騒に包まれていた。
「・・・っと、ちょっと!」
スピアの声で瞑想が終わった。
「来てたなら、声かけてよね」
「悪い、悪い。集中してると思ったからさ。邪魔したくなかったんだ」
「そう。それならいい」
スピアは明るい声で言った。
「何か予定ある?」
スピアが聞いてくる。
「特にないけど・・・そういえば第四の街に行きたいんだった」
「うんうん。それなら沼地のビッグヌマエビを倒してからが良いんじゃない?」
「それならもう倒したぞ」
「ええー、早いよ。ちょっと攻略手伝って」
「良いぞ」
スピアが困っていたら助けるつもりだったので、何も問題はなかった。
「じゃあ、まずはガラントへ行かないとね」
「おう、出発だ!」
マグナスの石畳をコツコツ歩く。そして荒野へ向かった。
「道中の敵モンスターは極力無視しよう」
「分かった」
そうスピアに提案して、受け入れてもらった。
ウルフマンに出会わないようにしつつ歩いていくと、意外と会わないものだった。しかし、ウルフマンに出会わない本当の理由は別にあった。
前の方を歩いていたパーティーがウルフマンを片っ端から駆逐していたのだった。
「ウルフマンは格上だと思っていましたが、案外弱いものですね」
「だねー。楽勝とはいかないまでも、完勝は出来るようになったし」
「俺達も強くなったものだな」
と、会話が聞こえてくる。
確かにウルフマンは完勝出来る相手だが、どう戦っているのか気になった。俺達は他のパーティーがどうモンスターと戦っているのか見るのは初めてだったのだ。
見学させてもらおうと、声をかける。
「すみませーん。ウルフマン狩りをされているのでしたら、参考までに戦い方を勉強させてもらっても良いですか?」
「はい、良いですよ」
素直に許可が下りた。よっぽどウルフマン狩りに自信を持っているのだろう。
先ほどの会話から数分後、ウルフマン五体が出てきた。
「五体か、どうにかなるか」
「五体相手はちょっとキツイよ。一体ずつおびき寄せて戦おう」
「そうですね。それでいきましょう」
と三人のパーティーが相談している間に、ウルフマン五体がこちらの存在に気づいてしまった。
「ちょっと、どうする!?」
元気な女の子が慌てている。
「良ければパーティーを組みましょうか?」
と俺が提案すると
「是非お願いする」
と男性が頭を下げてきた。そして
パーティーの申請が来ました 受ける 受けない
当然、受けるを選択して、俺とスピアは戦闘に参加する。
向かってきたウルフマンにダガーを二本ずつ投げる。見事全てウルフマンの眼球に刺さった。避ける動作もないから、これくらい朝飯前だ。
「す、凄い!」
大人しそうな女性が驚いている。
スピアと俺が前線に出て、槍と逆刃刀を振るう。スピアの炎の槍はウルフマンを二体倒した。一方俺の方は、逆刃刀であるからゆえに、叩き倒すという状態になっていた。うずくまるウルフマンに、逆刃刀の内側の方を喉元に当て、引いて出血死させていった。三体をだ。
ポーンと頭の中で音がする。遠投がレベル20になったようだ。進化させて精密遠投にする。
「二人とも強いんですね!」
元気な女の子が言う。
「勉強させて欲しい、なんて言うから足手まといかと思ったが、とんだ杞憂だったな。むしろ天狗になっていて恥ずかしいくらいだよ」
と男性が言う。
「お二人は武術の経験でもおありになるのですか?」
大人しそうな女性が聞いてくる。
「いや、別に」
「あたしも特には」
「凄い人達ですね。攻略組ですか?」
大人しそうな女性の質問だ。
「そういうわけでもないんだよなぁ」
「そうそう。違うよー」
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