アクセサリー作り2
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「宝石が欲しいだぁ!?」
ガラントの商人に宝石について、聞いてみたらこの反応だった。
「宝石はな。とても貴重な物なんだぞ。国の重要人物からの依頼でもない限り、持ち出すことは出来ねぇ」
「それはどこから持ち出せないってことですか?」
俺は丁寧に聞く。
「そりゃあ、二つ離れた街からだよ。そこは鉱石も宝石もたくさん産出されるんだ」
「だけど利権が絡んでいて、その街から宝石を持ち出すことは許されねぇ。ただし、個人的に購入する分には問題なしと言われている。もちろん持ち出すこともな」
「分かりました。ありがとうございます」
後二つ先の街か、これは今日、明日ではどうにもならないようだ。
それにしてもフランクな商人だったな。商人はお客様商売なので、物腰の丁寧な人が多い。にも関わらず、ざっくばらんに話してくるということは、それでも成り立っているということだろう。
さてLG内だが、もうすぐ夏を迎えようとしていた。そのためビールを持ち歩く冒険者が増えていた。水は水筒からいくらでも出るが、喉を潤すのにビールを呑む人達がいるのだ。かくいう俺もビールを持ち歩く一人だ。いつでもビールが呑めるとあっては、テンションも上がるものだ。
ということで、商人に宝石の購入を断られた俺は、朝からビールを呑んでいた。二リットルで300ゴールドとは、安いものだ。
そしてやることのなくなった俺は瞑想をすることにした。瞑想は良い。嫌なことも忘れられる。お酒の力を使って、嫌なことを忘れる人もいるだろうが、俺はそうはしなかった。純粋にお酒を楽しみたい人だからである。後で日本酒や焼酎、ウイスキー等も買っておいて損はないな、と思った。おっと、今は瞑想中だったんだ。集中しないと、集中。そうすると頭の中がすっきりしてきた。工具を使う音がする。
そこでアクセサリー作りをしなくちゃいけないことを、思い出した。指輪はあと六個はめられる。瞑想をやめて、指輪作りに取りかかる。
使うのはウルフマンの牙三本だ。メーターが振り切ったところで、打つ。しかし三本とも壊れたウルフマンの指輪×3になってしまった。まだウルフマンの装備を作るには早すぎたか?いやしかし、今の失敗でアクセサリー職人のマイナス値が下がっている。
アクセサリー職人レベル-6だ。またしてもウルフマンの牙三本を使って、指輪作りをする。一個だけ成功した。
ウルフマンの牙の指輪 火傷状態 強
これは成功だが、失敗とも言える。火傷状態が強すぎてHPが回復しないからだ。もし、もう一個、火傷状態 強 の指輪をはめたら、HPが減少してしまうだろう。
しかしそう考えると、武器につけた火傷状態でもHPが減少することを考えれば、アクセサリーは随分良心的だ。
今日はもうアクセサリー作りをするのはやめた。お酒を買いに行こう。日本酒の大吟醸の1.8リットルを五本買う。一升瓶をそんなに呑むのか、思われそうだが、みんなが集まった時に呑むようだ。一本はリンと一緒に呑むことに決めている。
値段は合わせて1500ゴールドだった。次に焼酎を買う。麦焼酎芋焼酎だ。こちらは三本ずつ買って1800ゴールドだった。
せっかく購入したのだ。呑むに限る。でも一人で呑むのは嫌だから、リンと呑むことにする。またマグナスへ帰ることになった、俺だった。
帰る途中、ウルフマン三体に囲まれてしまったが、空中浮遊と反射神経で、攻撃せずに乗りきった。空中浮遊はレベル4に、反射神経はレベル11になっていた。
マグナスのギルド通りをコツコツ歩く。これって装備品を全部取ったら、STR(筋力値)が物凄いことになっていて、初期装備の人間相手ならワンパン出来そうだ。
薄暗くなってきた空を見上げて、曲芸師ギルドへ急ぐ。
「おーい、リン。お酒を買ってきたぞ。一緒に呑まないか?」
するとそこには、先客がいた。ユミである。随分酔っているようだ。
「あれー?ケンさん。よく見るとリンさんと同じ髪色と目ですね。この前は驚きましたけど、リンさんに合わせた髪型ですかー?」
「いや、どうだろうな?秘密だ」
俺はスルリとユミの質問を受け流した。
「このリンに向かって求愛行動をとっているかもしれないぞ、ユミ」
「それも十分ありえますね。でも髪色も目の色も急に変わったような気が・・・」
ここでユミの気を散らすかのように
「いったい、何の酒を買ってきたんだ?」
とケンに聞くリン。
「まずはこれだ。日本酒の大吟醸」
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