ブラックアリゲーター狩り
ちょうど満腹になった頃、グリズリーの肉は全て食べ終わっていた。どうやらリアルよりもかなり大食いになっているようである。それはアックスも同じようで、
「いつの間に全部食ってしまったんだ!?」
と驚いていた。
空腹度は当然満タン。ただし料理スキルを持っていないので、味はいまいちだった。こんなことなら持ち込みで料理してもらうんだった、と後悔した。
「料理スキル持ってないと想像以上に美味しくないな」
「ああ、儂もそれは思った」
「途中からでも、料理してもらうんだったなぁ」
「同感だ」
「今日はどこかへ行くあてがあるのか?」
アックスが聞いてくる。
「ああ、沼地へ行ってみようと思う」
「沼地は確かガラントの街の向こう側にあったな。なにか獲物がいるのか?」
「もちろん。狙いはブラックアリゲーターだ」
瞑想中に聞いてしまった話だ。攻略組はもうそこまで行っているらしい。
ブラックアリゲーターを標的にするのには理由がある。おそらく格上であること。そのため、無属性魔法が上がりやすいんじゃないかと思ったからだ。普段は大人しいブラックアリゲーターだが、一度敵や獲物だと認識されると凶暴化するらしい。ちょっと怖い。
「それなら日が暮れる前に行こう、急ぐぞ!」
アックスに先導される。
「そうだな。行こう」
行きの荒野では、ウルフマンにもロックマンにもハゲタカにも構わず通り過ぎていく。どうしても戦闘になるときは二回あった。一回目はハゲタカ二体に気づかれた時。この時は、アックスがハゲタカ二体を倒してくれた。二回目はウルフマン五体に前方を塞がれた時。この時は、ウルフマン三体の視界をダガーで奪い、敵視を使って二体注目を集めた。その間に注目を集めた一体に斬りかかったのが、アックスだ。両目を狙い、斧を振るう。上手くいったようで、両目を潰せたようだ。残り一体は片目ずつ、俺とアックスで潰した。そのまま去っても良かったが、せっかくなので五体とも倒しておいた。俺は五体ともにダガーを当てたので、ドロップ品は1250ゴールドと、ウルフマンの毛皮、爪、牙がそれぞれ五枚、三枚、一本だった。
ガラントへ着いた。ここからが問題の沼地だ。ブラックアリゲーターは見た目はゴツいが、魔法に滅法弱いらしい。無属性魔法のレベル上げに、最適な敵だ。
アックスと共に沼地へ入っていく。足を取られそうになるが、そこは気をつける。沼地に入ってすぐに、ブラックアリゲーターが出てきた。
「無属性魔法」
一発では倒れない。
「無属性魔法」
二発目でブラックアリゲーターは倒れた。噂通り魔法には滅法弱いようだ。
だが、魔法を使わないアックスには強敵のようだ。かろうじて、氷の斧の魔法ダメージが入っているようだ。
「助太刀はいるか?」
「いや、大丈夫だ。この一匹は儂が倒す」
気合いが入っている。そう俺は感じた。
その後のブラックアリゲーター退治は順調だった。具体的には、ダガーを何本か投げて少し弱らせたところで
「無属性魔法」
を浴びせて、倒している。ブラックアリゲーターを10体倒して、ドロップ品は3000ゴールドとブラックアリゲーターの皮五枚と肉10切れだった。
「そろそろ本格的に暗くなる前に帰ろうか、アックス」
「うむ。儂もそう思っていたところだ」
沼地を後にする二人。帰り道、攻略組と思われる人達三人に会った。
「どうだい?成果は?」
「まあまあってところです。それよりも今から狩りに行くんですか?」
「ああ、この沼地には、夜限定でボスモンスターが出現するからな」
「良ければ詳細を教えてくれませんか?」
「狩りが終わった後なら良いぜ」
「では御武運を」
それとなく聞いておいて良かったー。夜間にボスモンスターが出現するのか。どんなボスモンスターなんだろうな。
ガラントへ着くと、
「さっきの三人組を待つか。だが儂は、ゴールドがかかってもいいから、シャワーを浴びてきたいんだよな」
「それなら俺が広場で待っているよ。アックスはシャワーを浴びてきたらいい」
「本当か?ではお言葉に甘えるぞ」
そう言って、アックスはシャワーを浴びにいった。
頭の中でポーンと音がする。そういえばスキルの確認がまだだった。敵視レベル17、遠投レベル18、曲芸師師範レベル16、無属性魔法レベル19になっていた。無属性魔法は後1レベルで上位魔法に転向出来る。楽しみだ。
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