星星の人達
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銀髪に灰色の目?これってリンのことじゃないか?借りた本を返して、曲芸師ギルドへ向かう。
「リン。いるか?」
「ああ、いるぞ。ケン」
しかし、続きが続かない。
「どうした?なにか用があるんだろう?」
そう急かされると
「じゃあ単刀直入に聞くが、リンは星星の人達なのか?」
「ああ、そうだ」
リンは大して驚きもせずに言った。
「この前来た時から、いつか気づくと思っていた。月の剣について話したときからだ」
「そうか。図書館へ行くことも匂わせていたしな。それにしても、気づくの早くなかったか?」
「うむ。相当なスピードだったな」
「灰色の物、もしくは銀色の物が星星の人達に関係している。これで合っているか?」
「正解だ」
だから月の剣は灰色なんだ、と気づいた。それに前に図書館で読んだ本に、グレーダイヤモンドは星の力を司るんだっけ?
「ケンもいづれ、星魔法を使えるようになったら見た目が変わるぞ」
「それは銀髪や灰色の目にか?」
「正解だ」
今の俺の見た目は黒髪に青い目。正直そこまで思い入れはない。
「銀髪や灰色の目になると、交遊関係はどうなるんだ?」
「星星の人達と仲良くなれるぞ。ただしケンの場合は純血ではないと分かってしまうがな」
「純血?星星の人達の中には純血の人がいるんだな?」
「ああ、というかほとんどが純血だ。それほどまでに星星の人達は虐げられていたのだよ」
「純血同士じゃないと、結婚出来ないとか?」
「それもあるな。でも一番の原因は星星の人達が殺されたことだ」
そこで一息入れて
「誰もが忘れてしまっているが、星魔法を使う人は殺されていった。それは後天的に星魔法を取得したものもだ」
「そうか。そんな過去があったのか。リンは復讐したいと思うか?」
「いいや、そんなくだらないことはしない。ただし、星魔法で星星の人達以外を助ける気はない。時間の無駄だからな」
「じゃあ、俺が星魔法を使えるようなったら・・・可能性の話ではあるけれど、人助けをしてもいいか?」
「勝手にすればいい。後天的に星魔法を使えるようになったものには、関係のない話だ」
もうリンの中では、俺が星魔法を使えるようになるのは、決定事項らしい。
「俺だって星魔法を使えるか、分からないよ」
と、弱音を吐くと
「いいや、大丈夫だ。ケンならきっと星魔法を使えるようになる」
太鼓判を押されてしまった。
「もう星魔法を使える人は現れたのか?」
「いいや、そんな話は聞いたことがない。ケンが星魔法を使える冒険者の一人目になるだろう」
「今日はお酒はいいのかい?」
「遠慮しとくよ。無属性魔法を鍛えたいからな」
「ほら、やっぱり分かってるんじゃないか!」
今のリンの発言で、確信した。やはり無属性魔法を鍛えることで、星魔法が使えるようになるのだと。
「じゃあな」
と曲芸師ギルドを離れて、噴水前の広場へ行く。そこには筋トレするアックスの姿があった。
「よう、アックス」
「おう、ケンじゃないか」
「リアルの時間の今日は、スピア用事があって来れないってさ」
「了解した」
「筋トレはまだ続けるのかい?」
「あと一時間はやるつもりだ。ケンはどうする?」
「それなら俺は横で瞑想していようかな。筋トレが終わったら声かけてくれ」
「うむ、分かった」
俺は瞑想することに決めた。集中していくと周囲の雑音が聞こえなくなる。ここまではいつもと一緒だ。今日はアックスに集中のターゲットを当ててみよう。荒い呼吸が聞こえてきた。それと同時に、背中を伝う汗まで分かる。正直俺はこんなことまで分かるのか、と気味悪がってしまった。だって相手のことなんだから。でも戦闘中なら相手の動きを読めて便利だなと思った。
それから二時間後。アックスに声をかけられた。
「筋トレ終わったぞ。シャワー浴びてきていいか?」
「それならここで待ってる」
「了解した」
十分後、アックスが現れた。
「ひとまず、飯でも食おうぞ」
「良いな。何にする?」
「ここは焼き肉といこうぞ」
「オッケー。グリズリーの肉結構余ってるから、それを焼いてもらおう」
「うむ。儂もちょうど肉が余っていたところだ」
焼肉屋に着いて、交渉をする。
「肉は持ち込みでも良いですか?」
「ええ、構いませんよ。ただし、サラダの注文を条件とさせていただきます」
「分かりました。サラダ二つ下さい」
「はい、どうぞ」
まるで事前に用意していたかのように、出てくるサラダ二つ。
「じゃあ食うか!」
アックスの一言でいただきますをした。